金木犀、薔薇、白木蓮

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175:森谷明子 『千年の黙 異本源氏物語』

2019-11-04 10:24:32 | 19 本の感想
森谷明子『千年の黙 異本源氏物語 平安推理絵巻』(創元推理文庫)
★★★★☆

【Amazonの内容紹介】

帝ご寵愛の猫はどこへ消えた? 
出産のため宮中を退出する中宮定子に同行した猫は、
清少納言が牛車につないでおいたにもかかわらず、
いつの間にか消え失せていた。
帝を慮り左大臣藤原道長は大捜索の指令を出すが――。
闇夜に襲われた中納言、消え失せた文箱の中身。
縺れ合う謎に挑む紫式部を描いた
第一部「上にさぶらふ御猫」。
『源氏物語』が千年もの間抱え続ける謎のひとつ、
幻の巻「かかやく日の宮」――
この巻はなぜ消え去ったのか? 
式部を通して著者が壮大な謎に挑む
第二部「かかやく日の宮」。
紫式部を探偵役に据え、平安の世に生きる女性たち、
そして彼女たちを取り巻く謎とその解決を
鮮やかに描き上げた華麗な王朝推理絵巻。

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『春や春』のときにはそこまで感じなかったのだけど、
すごい作家さんだ。

道長・彰子・定子だけでなく、実資や元子のエピソードまで
文学に残る記述と史実を織り込みながら、
ミステリーに仕立ててある。
とくに「かかやく日の宮」消失の実行犯が明かされたときには
その幸運よりも恐ろしさの方を感じた。
あんな相手に手を下させた黒幕の罪悪感のなさに
恐怖を感じるのだけども、紫式部がささやかながらも
ちゃんと復讐するので、「ざまあ!」気分も味わえる。

清少納言の話を聞くたびに嫌な顔をする紫式部と、
源氏物語をひそかに愛読する実資のツンデレぶりが楽しい。

三部作で続編があるみたいなので、そちらも読んでみる。


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