2021年の映画④:『花束みたいな恋をした』(土井裕泰 監督)
★★★★☆
【Amazonの内容紹介】
ある晩、終電に乗り遅れた
大学生の山音麦(菅田将暉)と八谷絹(有村架純)は、
東京・京王線の明大前駅で偶然出会う。
お互いに映画や音楽の趣味がよく似ていたこともあり、
瞬く間に恋に落ちた二人は大学卒業後、
フリーターとして働きながら同居を始める。
ずっと一緒にいたいと願う麦と絹は、
今の生活を維持することを目標に、就職活動を続ける。
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映画館にて。
映画館のチラシを見たときには、
「美男美女のキラキラした恋物語なんていらねー!!」
とスルーしてたんだけど、Twitterで劇薬扱いされていたので
見てしまった……。
※ 以下、ネタバレ含みます
序盤はサブカル好きの選民思想みたいなのが
こっぱずかしくて直視できず、中盤は、
「学生時代に実績も出さず、イラストレーターで
食ってこうなんて、やめとけ、なっ!」
「最寄り駅から30分っていったって、
こんな広い部屋。大丈夫?」
とおせっかいおばさん視点でハラハラ。
結論から言うと、見に行ってよかった。
恋人たちの出会いと別れ、
好きなこと(夢)と生活(現実)の衝突を
描いているという点では『ラ・ラ・ランド』と同じ。
あっちで免疫ができてたために
「ちょっと涙ぐんじゃった」で終わったけど、
最初にこれだったら泣いてたわ……。
序盤のさりげない仕込みが終盤で活きているとか、
小道具の使い方がうまいとか、
感心するところもあったのだけど、
映画としてどうなのかはよくわからない。
ただひたすら、
「恋はいつか終わる。どんなに美しくても、楽しくても、
その季節が二度と戻ってくることはない」
ということをストレートに描いていたと思う。
いざ別れるという段になって、
楽しかった時間を手放すのが惜しくなってしまい、
結婚すれば家族としてうまくやっていけると
思ってしまうのだけど、
かつての自分たちのようなカップルを見て
「いや、もう、あの時間や気持ちは戻らないのだ」
と思い知らされる展開とか、
出来すぎなんだけど、泣いてしまう。
イラストを安く買いたたかれていた麦くんが
会社に入ってきちんと給料をもらい、
それなりに達成感も得て、
仕事に依存していってしまうのもわかるし、
それと並行してかつて好きだった
映画も漫画もゲームも摂取できなくなって
パズドラしかできなくなっていくというのも
「あるある」なのでは。
(これはサブカル好き設定が効いていた)
「好きなものや考え方がこんなに一致するなんて、
こんなことある!?」
と運命を感じて付き合い始めふたりが、
「人は変わっていく」というシンプルかつ残酷な現実に
負けていくのが切なくてね~。
似た体験をしたかどうかで、
共感の度合いとか評価が変わりそう。
こんな長々とした記事を書いてしまうあたり、
わたしにとっても好きな映画だったんだろうか……。
単純に「好き!」と言えない複雑な気分。
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