蓼科浪漫倶楽部

八ヶ岳の麓に広がる蓼科高原に、熱き思いあふれる浪漫知素人たちが集い、畑を耕し、自然と遊び、人生を謳歌する物語です。

スカイツリーの照明   (bon)

2013-01-19 | 日々雑感、散策、旅行
東京スカイツリーのライティングデザインを担当した若きデザイナー(戸恒浩人氏)の苦心話しが、
先の会報に語られていましたので、抜き読みでご紹介したいと思いました。

これまでもそう思っていましたが、何事によらず“そのことを語ろう” “企画しよう”などと思った時には、
やはり、そのことの「本質」を見極めて、その上で何かを始める・・というのが“スジ”なんですね・・。

 それでは、彼の苦心談を・・・

 デザインで目指したもの  
彼は、常々“建築物のライトアップは、その建物が立つ土地ならではの意味を持つべきだ”と考えていたという。
まず「江戸」というキーワードを根本に据えることとしたそうだ。

 では、そこに映し出される「江戸」とは・・? あれこれ考えた末、「心意気」と「美意識」を軸にすることにした。
心意気とは、“ちゃきちゃきの江戸っ子” “宵越しの銭はもたない”と表現される感性や競い合う人々の
エネルギーが生む気分のことです。
美意識とは、かって江戸では版画・錦絵・浮世絵など優れた芸術が数多く生まれ、今日でも最先端のデザインや
ファッションを発信し続けている。これらを「粋」と「雅」で表現することにしたのだ。

 心意気の「粋」 
イメージしたのは、お祭り好きの江戸っ子が褌をして法被を着ている姿です。

一方の美意識の「雅」は、気品ある江戸紫を用いた。 
粋とは対照的に、柔らかで優雅な印象を狙って、和服姿の女性がこちらを向いてすっと立ち、着物の裾が広がっている
イメージです。 第一展望台を和服の帯に見立てているのだそうです。

時を刻む光 
「過去100年・未来100年というが、先人から未来の子孫まで連綿と受け継がれて今の私たちが生きている・・
その大切さを、ずっと変わらなく進み続ける時間を感じさせる光で表現したいと思いました。」
哲学的ですが、素晴らしいですね。

 「夜の富士」でありたい   
「ビルとビルの合間にツリーの上半分が夜の富士のように浮かんで見えれば、江戸の原風景を東京の夜空に再現することになるのでは・・」

 全部を照らし出さないライトアップ  
やはり“省エネ”というのも重要で、エネルギー効率の良い蛍光灯を使うなど、ハード面での省エネもあるが、
これに加えてデザインというソフト面での省エネも考えて、「デザインのエコ」と名付けた設計を模索した。
ではどうすればよいか・・? 日本古来の光の文化にその答えを探し、
「陰翳礼讃」という谷崎潤一郎の言葉に出会ったという。


いよいよ照明設計  
ここからが現実的な、技術的苦労が続く。 
光源の設計を開始した2008年当時、LEDはまだ暗く光も悪く、住宅内をようやく照らせる程度だった。 

一番の問題は、江戸紫の発色でした。 色のついた光は、ランプの上にガラスフィルターを載せて作るのですが、
煌々と光る白色ランプの上に紫いろのフィルターを載せると、まるで蓋をしたかと思うくらい暗くなってしまう。
人工照明は太陽光と違い、光のスペクトルが限られているからだそうです。
江戸紫の色も悪く、意図したとおりに出なかったという。

 (ネットから拝借しました。)                 


オールLED化への挑戦  
そんな時、4ワットの紫色のLEDを試作したというメーカが現れ、わずか4ワットながら空間が美しい紫色に
染まったという。 LEDは遥かに少ないワット数で明るさが出せる上、原理的には永遠に点灯する。
スカイツリーの照明はオールLEDで行こうと決心した。

各メーカの間でLEDの開発競争が始まった。 当初、3m先までしか届かなかった光が、10m、50m、200mと
届く距離が徐々に伸びて、最終的には600mも光を飛ばすことに成功した。
スカイツリーの開発競争で、普段なら3年かかるところを1年で出来た。
日本には、技術があり、根性があり、夢を実現する実行力があると・・感銘を受けたとあります。

CGシミュレーションによる光の検証  
通常なら建築物が完成した後、現場でスポットライトを動かしたりして最終的に照明デザインを完成させるのだが、
スカイツリーの場合は、照明効果を現場で確かめられないため、今回初めてCGシミュレーションを採用した。

約2000個の照明器具をCG上のスカイツリーに設置し、灯数や配置や角度を様々に変えてツリーを照らす試みを繰り返したという。 
また、スカイツリー周辺は住宅地なので、敷地内から光が漏れないよう厳密に制御する必要もあった。

事前検証から完成まで  
CGシミュレーションだけではやはり不安だったそうで、まだ、500mに到達する前に一度点灯実験をした。 
その後、2011年クリスマスと年末には、634mに到達してから初めてのライトアップをした。 
2012年3月には、赤、ピンク、群青などさまざまな色による照明テストを行った。

 スカイツリーは、「粋」の水色と「雅」の紫色以外にも、イベントに合わせて様々な色でライトアップできるのです。
   (**以上、記事の抜き読みとして記載しました。**)






クリマスシーズンの限定バージョンもきれいですね。

コメント (1)
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