牛込・神楽坂 酒問屋 升本総本店の別館「涵清閣」 主人が語る

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「旅をしない」イタリアワイン@イタリア貴族養成講座

2008-07-10 12:45:47 | 酒の本棚(書評?)
ワインやら日本酒やら、サミットの晩餐会(夕食会)ネタが続きましたが、これは晩餐of晩餐、ともいえる、本場イタリアの饗宴の記録本です。

彌勒忠史(2008):イタリア貴族養成講座(集英社新書0449D)、集英社、207p.


著者は古楽を中心に活躍されているカウンターテナーの声楽家。

統計を取っているわけではありませんが、バロックをはじめとする古楽の音楽家の方というのは、研究熱心なのか、布教熱心なのか、コンサートでちょっとしたトークをされることが少なくありませんし、筆が立つ人も多いですね。

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この本は、16世紀に出版された貴族のための饗宴(開催の)の心得本・記録本を読み解く形で、当時のセレブの生活を描いたもので、図書館の資料を読み込まれたという、著者の研究熱心さがうかがえます。

ところで、amazonの紹介文では、、

セレブな社交術の深謀遠慮とは、かくも凄い
「イタリア貴族養成」とは、中世イタリアの宮廷文化と貴族たちの「おたのしみ」を知ることで、真にノーブルな人間を養成するという意味です。セレブな生活の驚愕の数々。ウンチク満載です。


となっています。これ、カバー裏の紹介をコンパイルしているようですが、カバー裏にもある「中世イタリア」という言葉、もうチョイ昔をイメージしてしまうんですよねぇ。。。。

さて、実際の本の内容。
当時の饗宴は、まさに饗宴でメニューも長大
例えば1529年1月24日のメニューは、8つの料理群とそれに続くデザート等で、一つ一つの料理群が5~10の料理からなっています。

(例えば、第一の料理群)

これが8群もあるんです!!!
とにかく、権力とは料理だ、という、昔文化人類学で学んだクラとかポトラッチとかの世界が展開されています。

で、お酒は?というと、これが面白いことに、そもそもこの本の中にほとんど出てこないのです。

わずかに出ているのは、「心得本」の引用として、

ワインについては、ブドウの種類もしくはそのワインの名前を具体的にあげている。マルヴァジーア、ロマニア、バスタルド、グレコ・ディ・ソンマ、グレコ・トスカーノ、シルオーロ、トレッビアーノ、、、、、。

とまさに、種類が列挙されているのみ。「時と場所に応じて選ばねばならない」とありますが、それだけです。
結局、

現代でも「旅をしない」と言われているイタリア・ワインには、ルネサンスの昔から「地ワインを味わいべき」というアドヴァイスが有効であったのだ。

ということのようです。

確かに、ワインは地域のものですし(本当は日本酒もそうなのに、サミットでは!!!としつこく愚痴)、あくまで料理がメインで、それを楽しく、というのがワインなのかもしれません(もちろん、宗教的な背景は別として)。

もう一つ、あり得るのは、著者の彌勒さんがお酒があまり好きでない?という可能性もあると想像するのですが、、、、、この辺りはさすがにご本人でないとわかりませんね?(お好きだったら、出版祝いにお酒でもお送りするのに!!)。

古楽の方は、話好き、書き物好き、ですが、お酒好き、ではないのかな?


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