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京セラという企業は、創業者稲盛和夫の哲学を共有しつつ運営されていく会社です。
稲盛哲学は広範にして深いので、社員も消化するのが容易ではない。
彼らは哲学のエッセンスを集めた「京セラ手帳」で確認しながら活動しています。
システム手帳のリフィル用紙サイズのその手帳は、ポケットに入れて持ちあることことも出来ます。
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<会社は君、ゴマンとあるぜ>
この会社に新しく入ってくる社員には、これに面食らうものも少なくないそうです。
特に、銘柄大学を出てエリート気質満々の若者は、これを批判する。
のみならず、「こういう宗教団体のような会社は良くない」と思うのもいる。
民主主義思想を身につけた彼らは会社を変えてあげたいと願います。
だがこういう若者は、会社の一体性にとっては害を与えて良くないわけです。
稲盛さんも「余計なお世話」といいたいのです。
そこで稲盛さん、あるとき彼に対面してこう言ったそうです。
「キミ、世の中には会社はゴマンとあるぜ。キミの哲学に合う会社に行ったらええやないか」
その後この若者が出て行ったかどうかは鹿嶋には定かではありません。
でも、こういうことがいえるのは企業だからです。
国家ときたらそういうわけにはいかない。
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<簡単に受け入れてくれる隣国はない>
こういう異端分子を簡単に受け入れてくれる国家など、外部に存在しないのです。
だから不満分子も社会集団にとどまり、国内に蓄積します。
彼らのうちには同じ志の仲間を見つけて、同志となって国家改造を望むものも出ます。
そこでは現行法では認められない案も練られます。
だからこれはアングラで密かに行われることにもなります。
これすなわち陰謀です。
だから統治者側では警察に、これに対応する部門が必然的に出現します。
公安警察がそれです。
彼らもまた、密かな行動でもって対処せざるを得ません。
つまり、そちらも治安のために陰謀でもって対応します。
陰謀・対・陰謀の世界です。
陰謀は「騙し合いの世界」を形成します。
そこでは仲間うちでの裏切りもアリになります。
陰謀には偽りが含まれます。そして人間は偽りに満ちた世界にいると、
徐々に人間不信になっていって、仲間も簡単に裏切ることアリになっていきます。
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<統治は「野獣の世界」も対象に含む>
野獣の世界です。ドロドロした泥沼の世界です。
そこでは命知らずの団員を持った暴力団も関与してきます。
他国の工作員も近づき、出来れば臨時政府をつくらせ、自国の軍隊に
援助を要請させたいと夢見る。
クーデターを起こさせて、自国の味方になる国家を増やすのです。
国家を統治、運営する仕事は、こうした世界も対象に含みます。
これが企業経営にない、国家運営の本質的な特徴です。
もちろん国家にも企業のような仕事、予算を立てたり、執行したり、役人の活動を管理したり、
調整したりする仕事はあります。サービス(公的)生産もします。
だが、それに加えてこうした野獣的世界も対象に含むのです。
企業運営と国家運営とは別と言ってもいいのです。
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<トータルに有能な政治家とは>
これらのすべてに通じて、対応できる政治家が「トータルに有能な政治家」です。
だが、現実には、こういう人材は少ないです。
少ないのですが、政府(統治者集団)にはある程度いなければなりません。
彼らはこの泥沼世界に通じていることによって、その目つき・表情にもドスのきいたところがでてきます。
かつての大野伴睦や田中角栄、金丸信はそうでした。
小泉純一郎にも彼らほどではありませんが、それがありました。
彼の祖父はヤクザの親分だったと伝えられています。
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中曽根康弘は外務官僚上がりのエリート政治家でしたが、野獣世界は知っていました。
彼はそれを戦争での体験を通じて知ったようです。
彼の乗っていた輸送船が米国潜水艦に襲われて、可愛がっていた部下が死んだといいます。
はらわたをえぐられて大量出血で死んでいった。
「先輩(先に逝って)すまない・・・」という部下を抱いて、中曽根は国家運営の野獣性をしかと悟ったでしょう。
彼は総理大臣に選ばれ内閣を組織するとき、真っ先に官房長官を後藤田正晴に依頼しました。
後藤田は警察庁長官を歴任した政治家です。まさに国家の物的暴力手段の頂点に立って、これを運営してきた。
国家側の闇世界の帝王でもありました。
後藤田は渋りましたが、中曽根は三顧・四顧の礼を踏んで、これを頼み込んだと言います。
彼は政治の最大責務は国家の非常事態に適確に対処することと悟っていたのです。
後藤田の顔もまた、ドスがきいています。
http://www.youtube.com/watch?v=-w9AyFAyjMw
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<対・国家世界では野獣性はさらに大きい>
国対国の世界、つまり国際社会では、この野獣性はもっと激しい形で現れます。
だから軍隊の持つ武器も、警察の何倍と強力なものになっているわけです。
そこでは陰謀も騙しも裏切りもスパイ・諜報活動も常時なされています。
中国の留学生とか商事マンが、実はスパイであったという記事が時たまマスコミで流れていますが、
あんなものは、氷山の一角どころか、ひとかけらです。
国際社会は陰謀だらけです。
もちろん、国際社会でも文化的・理性的な外交交渉の領域はあります。
だがそこには、暴力沙汰になる危険が常時はらまれています。
だからまた、国家は軍備力を背景にして交渉するのです。
こういう世界はこれに関わる当事者の官僚はかなり知っているでしょう。
だが、一般国民は自然な状態では知り得ません。
今述べたように、マスメディアに載る情報は氷山の一角ですけれど、
国民はそれが事実のすべてと受け取るしかないからです。
そして、その国民が、民主選挙制の国家においては、最終決定権を持ってしまうのです。
なんと危ないことでしょうか。
ホントに、中国のように、選び抜かれた9人の賢人に独裁権を与えて運営させた方がいいかもしれない。
でも、日本はすでにそんなこと簡単にはできなくなっています。
そのなかで、我々一般国民に、この世界にかろうじて目を開かせてくれるものがある。
それがウェーバーの名概念「物的暴力手段」です。
このメガネをずばり与えられることによって、我々は、体験のない世界に、
知性でもってかろうじて認識の目を開けられるのです。
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