Sightsong

自縄自縛日記

秘密基地『ぽつねん』

2020-04-05 21:45:08 | アヴァンギャルド・ジャズ

秘密基地『ぽつねん』(2019年)。

Yusei Takahashi 高橋佑成 (synth, p)
Tokutaro Hosoi 細井徳太郎 (g)
Ryotaro Miyasaka 宮坂遼太郎 (perc)
Manami Kakudo 角銅真実 (vo) (track4, 6)

先日ライヴのときに細井徳太郎さんから購入した。四隅にそれぞれがサインをするのだということになり、とりあえずひとり分。細井さんはそのときに中のCD-Rにも何やら書いていて、「くたばれ」とかだったりしてとわくわくして後で見たら、「ぽ ひみつきち」とあった。しかしこのコロナ騒動で四隅が埋まるのはいつの日か。

秘密基地のライヴはいちどだけ観た(アルバムと同様に、角銅真実さんがゲスト)。密かに愉しむぞという静かな決意みたいなものがあって、それがとても良かった。

このアルバムも衒いがない。2曲目の「tobichiru」もストレートとも言える遊びだし、3曲目の「Kioku」は昔視た宇宙空間の夢のようで、そんな宇宙の浮遊から、「ホコリヲハイタラ」での角銅さんの声の浮遊に移行する。ここではピアノを急に歌伴のように弾き始めて、その変化もおもしろい。それまで音への距離がパーカッションだけ近い(室内のそのへん)ように思えていたが、ここで全員が近寄ってきた。そしてまた遊びの電子音に戻っていく。5曲目は脈動みたいだなと思って曲名を見たら「Myaku」だった。

静かな「ぽつねん」、そのまましみじみとエピローグ。

●高橋佑成
秘密基地@東北沢OTOOTO(2019年)
謝明諺+高橋佑成+細井徳太郎+瀬尾高志@下北沢Apollo(2019年)
森順治+高橋佑成+瀬尾高志+林ライガ@下北沢APOLLO
(2016年)

●細井徳太郎
坪口昌恭+細井徳太郎@下北沢No Room For Squares(2020年)
細井徳太郎+松丸契@東北沢OTOOTO(2019年)
WaoiL@下北沢Apollo(2019年)
李世揚+瀬尾高志+細井徳太郎+レオナ@神保町試聴室(2019年)
細井徳太郎+君島大空@下北沢Apollo(2019年)
秘密基地@東北沢OTOOTO(2019年)
謝明諺+高橋佑成+細井徳太郎+瀬尾高志@下北沢Apollo(2019年)
WaoiL@下北沢Apollo(2019年)
ヨアヒム・バーデンホルスト+シセル・ヴェラ・ペテルセン+細井徳太郎@下北沢Apollo、+外山明+大上流一@不動前Permian(2019年)
合わせ鏡一枚 with 直江実樹@阿佐ヶ谷Yellow Vision(2019年)
SMTK@下北沢Apollo(2019年)
伊藤匠+細井徳太郎+栗田妙子@吉祥寺Lilt
(2018年)

●宮坂遼太郎
秘密基地@東北沢OTOOTO(2019年)

●角銅真実
秘密基地@東北沢OTOOTO(2019年)
The Music of Anthony Braxton ~ アンソニー・ブラクストン勉強会&ライヴ@KAKULULU、公園通りクラシックス(JazzTokyo)(2019年)
角銅真実+横手ありさ、田中悠美子+清田裕美子、すずえり+大城真@Ftarri(2018年)
網守将平+岡田拓郎、角銅真実+滝沢朋恵、大城真+川口貴大@Ftarri(2017年) 


大西英雄『ヒデヲの間』

2020-04-05 18:02:56 | アヴァンギャルド・ジャズ

大西英雄『ヒデヲの間』(地底レコード、-2020年)を聴く。

Hideo Onishi (ds, vo)

いきなり「いぬ」に心を掴まれる。何ワンワンって!そこから先はちょっと悶絶する。ゲシュタルト崩壊するまでモウモウと呟く「うし」とか最高。「カタツムリ」なんてコロナ時代を予測していたのか?

話すように叩くドラマーと言えばアメリカのアリ・ホーニグを思い出すが、これはそういうものとは全く違い、伸び縮みする日本語のノリそのものだ。どちらかと言えば、喋りの断片をそのままボクシングのリズムに置き換える板垣学(『はじめの一歩』)である。

バンドでもソロでもライヴを観てみたい。


ハン・ベニンク+ウィレム・ブロイカー『New Acoustic Swing Duo』

2020-04-05 16:27:04 | アヴァンギャルド・ジャズ

ハン・ベニンク+ウィレム・ブロイカー『New Acoustic Swing Duo』(Corbett vs. Dempsey、1967、68年)を聴く。

Han Bennink (ds, perc, voice)
Willem Breuker (reeds)

超愉楽の2枚組。1枚目が同タイトルのオリジナル盤、2枚目が発掘録音。このタイトルとか、たぶんげらげら笑いながら付けただろう。

2回通して聴いた限りだが、どちらかと言えば2枚目のライヴ録音の方が好みだ。2曲目の「とにかく糸を切らさずに吹き続ける」ところはコレクティーフのキャラ相似形(大矢内愛史さんはブロイカーのような祝祭型ではないが、意識したことはあったのだろうか)。5曲目のバスクラを使って東洋のダブルリード楽器のような裏声を出し、小節もなんも無視して自分に時間進行を引き寄せた世界を展開する時間なんておもしろくて悶える。

かように、ブロイカーは如何に変な音を真面目な顔で出し続けるのかに挑戦する超人である。しばしば喉を開いて下品な音を出してみせるが、それが表現として祝祭要素にもつながっている。そしてどうしてもヨーロッパ的な印象がある。

一方のハン・ベニンクもやはり超人的に継続する(=継続そのものが超人的だ)。ひとつひとつのパルスが笑いと活力に満ちていて、その全体が大いなるうねりを創り出している。

脳内再生しただけで笑える偉大な音楽。聴いてよかった。

●ウィレム・ブロイカー
ウィレム・ブロイカーの映像『Willem Breuker 1944-2010』
ハン・ベニンク『Hazentijd』(2009年)
ウィレム・ブロイカーの『Misery』と未発表音源集(1966-94、2002年)
ウィレム・ブロイカーが亡くなったので、デレク・ベイリー『Playing for Friends on 5th Street』を観る(2001年)
レオ・キュイパーズ『Heavy Days Are Here Again』(1981年)
ウィレム・ブロイカーとレオ・キュイパースとのデュオ『・・・スーパースターズ』(1978年)
ウィレム・ブロイカー・コレクティーフ『The European Scene』(1975年)
ギュンター・ハンペルとジーン・リーの共演盤(1968、69、75年)

●ハン・ベニンク
ICP+Waterlandse Harmonie@アムステルダムBimhuis(2019年)
ハン・ベニンク『Adelante』(2016年)
ハン・ベニンク@ディスクユニオン Jazz Tokyo(2014年)
ペーター・ブロッツマンの映像『Soldier of the Road』(2011年)
ハン・ベニンク『Parken』(2009年)
ハン・ベニンク『Hazentijd』(2009年)
イレーネ・シュヴァイツァーの映像(2006年)
ハン・ベニンク キヤノン50mm/f1.8(2002年)
ハン・ベニンク+ユージン・チャドボーン『21 Years Later』(2000年)
エリック・ドルフィーの映像『Last Date』(1991年)
ICPオーケストラ『Bospaadje Konijnehol』の2枚(1986-91年)
レオ・キュイパーズ『Heavy Days Are Here Again』(1981年)
レオ・キュイパーズ『Corners』(1981年)
ペーター・コヴァルトのソロ、デュオ(1981、91、98年)
デレク・ベイリー+ハン・ベニンク+エヴァン・パーカー『Topographie Parisienne』(1981年)
アネット・ピーコック+ポール・ブレイ『Dual Unity』(1970年)
ウェス・モンゴメリーの1965年の映像(1965年)
ミシャ・メンゲルベルク『Driekusman Total Loss』(1964、66年)


『アマミアイヌ』、マレウレウ『mikemike nociw』

2020-04-05 13:51:19 | 北海道

『アマミアイヌ』(Chikar Studio/Tuff Beats、-2019年)はなかなか驚きのメンバーである。何しろ奄美の朝崎郁恵、アイヌ音楽からはRekpo(マレウレウのリーダー)、KapiwとApappoの姉妹、トンコリのOKI。さらに2004年に亡くなった安東ウメ子の声のサンプリング。

ヴィブラートなどというものを一万倍も逸脱した朝崎郁恵の外れた声を聴くたびに、脳を揺さぶられるような動揺を覚えるのだが、これがアイヌの曲に入り込み、何人もの独立しつつ手をつなぎつつ立ち上がる声と重なり干渉する。ときにトンコリの音が聴こえると、それはまた別次元のものとして驚く。

沖縄とアイヌということであれば、長く続く中野のチャランケ祭もあるし、OKI meets 大城美佐子『北と南』という素晴らしい成果もあった。だがチャネルはそれにとどまらない。奄美の歌声を、朝崎さんのみならず他の唱者の参加にも拡張したらどうなるだろう。

改めて、同時期にリリースされたマレウレウ『mikemike nociw』(Chikar Studio/Tuff Beats、-2019年)も聴いてみると、常に声と声とのずれを生じさせながら、静寂の中からぬっとおもしろくも奇妙でも懐かしくもある貌をみせるコーラスのおもしろさが、なおさら感じられる。

朝崎郁恵 (vo)
Rekpo (vo)
Kapiw & Apappo (vo)
OKI (tonkori)
安東ウメ子 (vo)
etc.

rekpo, hisae, mayunkiki, rimrim (vo)

●アイヌ
マレウレウ『cikapuni』、『もっといて、ひっそりね。』(2016年)
MAREWREW, IKABE & OKI@錦糸公園(2015年)
OKI DUB AINU BAND『UTARHYTHM』(2016年)
OKI meets 大城美佐子『北と南』(2012年)
安東ウメ子『Ihunke』(2001年)
『今よみがえるアイヌの言霊~100枚のレコードに込められた思い~」』
新谷行『アイヌ民族抵抗史』
瀬川拓郎『アイヌ学入門』
植民地文化学会・フォーラム「内なる植民地(再び)」
新大久保のアイヌ料理店「ハルコロ」
上原善広『被差別のグルメ』
モンゴルの口琴 

●参照
朝崎郁恵@錦糸公園(2015年)
西沢善介『エラブの海』 沖永良部島の映像と朝崎郁恵の唄


松丸契+永武幹子+マーティ・ホロベック@なってるハウス(JazzTokyo)

2020-04-05 10:13:43 | アヴァンギャルド・ジャズ

入谷のなってるハウス(2020/3/11)。レビューをJazzTokyo誌に寄稿した。

>> #1124 松丸契+永武幹子+マーティ・ホロベック

Kei Matsumaru 松丸契 (as)
Mikiko Nagatake 永武幹子 (p)
Marty Holoubek (b)

Photo by m.yoshihisa

●松丸契
松丸契@下北沢No Room For Squares(2020年)
松丸契+片倉真由子@小岩コチ(2020年)
細井徳太郎+松丸契@東北沢OTOOTO(2019年)
松丸契『THINKKAISM』(2019年)
纐纈雅代+松丸契+落合康介+林頼我@荻窪ベルベットサン(2019年)
m°Fe-y@中野Sweet Rain(2019年)
SMTK@下北沢Apollo(2019年)

●永武幹子
吉野弘志+永武幹子@アケタの店(2020年)
酒井俊+纐纈雅代+永武幹子@本八幡cooljojo(2019年)
かみむら泰一+永武幹子「亡き齋藤徹さんと共に」@本八幡cooljojo(2019年)
酒井俊+青木タイセイ+永武幹子@本八幡cooljojo(2019年)
古田一行+黒沢綾+永武幹子@本八幡cooljojo(2019年)
蜂谷真紀+永武幹子@本八幡cooljojo(2019年)
2018年ベスト(JazzTokyo)
佐藤達哉+永武幹子@市川h.s.trash(2018年)
廣木光一+永武幹子@cooljojo(2018年)
植松孝夫+永武幹子@中野Sweet Rain(2018年)
永武幹子+齋藤徹@本八幡cooljojo(JazzTokyo)(2018年)
永武幹子+類家心平+池澤龍作@本八幡cooljojo(2018年)
永武幹子+加藤一平+瀬尾高志+林ライガ@セロニアス(2018年)
永武幹子+瀬尾高志+竹村一哲@高田馬場Gate One(2017年)
酒井俊+永武幹子+柵木雄斗(律動画面)@神保町試聴室(2017年)
永武幹子トリオ@本八幡cooljojo(2017年)
永武幹子+瀬尾高志+柵木雄斗@高田馬場Gate One(2017年)
MAGATAMA@本八幡cooljojo(2017年)
植松孝夫+永武幹子@北千住Birdland(JazzTokyo)(2017年)
永武幹子トリオ@本八幡cooljojo(2017年)

●マーティ・ホロベック
マーティ・ホロベック「Trio I」@蔵前Nui Hostel(2020年)
渡辺翔太+マーティ・ホロベック@下北沢Apollo(2020年)
SMTK@下北沢Apollo(2019年)


ウェバー/モリス・ビッグバンド『Both Are True』(JazzTokyo)

2020-04-05 10:06:26 | アヴァンギャルド・ジャズ

ウェバー/モリス・ビッグバンド『Both Are True』(Greenleaf Music、2018-19年)のレビューをJazzTokyo誌に寄稿した。

>> #1970 『Webber/Morris Big Band / Both Are True』

Angela Morris (conductor, ts, fl)
Anna Webber (conductor, ts, fl)
Jay Rattman (as, ss, fl)
Charlotte Greve (as, cl)
Adam Schneit (ts, cl)
Lisa Parrott (bs, bcl)
John Lake (tp, flh)
Jake Henry (tp, flh)
Adam O’Farrill (tp, flh)
Kenny Warren (tp, flh)
Tim Vaughn (tb)
Nick Grinder (tb)
Jen Baker (tb)
Reginald Chapman (b-tb)
Patricia Brennan (vib)
Dustin Carlson (g)
Marc Hannaford (p)
Adam Hopkins (b)
Jeff Davis (ds)

●アンナ・ウェバー
「JazzTokyo」のNY特集(2019/7/6)
マット・ミッチェル『A Pouting Grimace』(2017年)
ハリス・アイゼンスタット『Recent Developments』(2016年)