神保町試聴室(2021/5/24)。
Ami Yamasaki 山崎阿弥 (voice)
Mitsuhisa Sakaguchi 坂口光央 (p, electronics)
はじめは山崎さんは脇をしぼって音を絞り出し、坂口さんがそれに音を重ねる。そのときすでに、ピアノとはサウンド全体の支配に向けてずいぶんと人為的な楽器なのだなと思ってしまう。山崎さんが連続的に拳の動きに連動させ、また掌をスライスすることによって音を中心から逸らせることで動的・連続的なサウンドを作っていくのに対し、坂口さんは旋律のパターンを作りそれを発展させるという対照的なところからも、その印象が強くなる。つまりピアノは「音楽」なのだなあ、と。
対照的な音の作り方を観察するのも悪くはないが、ピアノよりもエレクトロニクスでコズミックなサウンドを漂わせたほうが、山崎さんのありようにはマッチするようにみえた。
山崎さんは上半身だけでなく、踵で重心をコントロールすることにより、楽器を全身へと拡張させた。ここにスピードや分散やパーカッションやマチエールの要素が加わった。スピードやヴェクトルが定まっていれば、運動性をもつピアノはじつに強力。
●山崎阿弥
山崎阿弥『quantum quantum』(JazzTokyo)(2019年)
フローリアン・ヴァルター+石川高+山崎阿弥@Bar subterraneans(JazzTokyo)(2019年)
山崎阿弥+ネッド・ローゼンバーグ@千駄木Bar Isshee(2019年)
ローレン・ニュートン、ハイリ・ケンツィヒ、山崎阿弥、坂本弘道、花柳輔礼乃、ヒグマ春夫(JAZZ ART せんがわ2018、バーバー富士)(JazzTokyo)(2018年)
石原雄治+山崎阿弥@Bar Isshee(2018年)
岩川光+山崎阿弥@アートスペース.kiten(2018年)
●坂口光央
中村としまる+山本達久+坂口光央@新宿ピットイン(2020年)
植村昌弘+ナスノミツル+坂口光央@千駄木Bar Isshee(2014年)