神保町の試聴室(2021/5/4)。
Taiichi Kamimura かみむら泰一 (ts, ss)
Yasuaki Kowa 古和靖章 (g)
Fumi Endo 遠藤ふみ (p)
Masatake Abe 阿部真武 (b)
最初は微かに擦れさせる音量のソプラノサックス。他の3人も音を散りばめ置いてゆくのだが、減衰音を減衰するままにさせず、ピアノは旋律へ、ベースは音を持ち上げてプラトーへ、ギターもE-bowで連続音へと発展させる。それによるサウンドがもつ時間は停滞するものでもあって、かみむらさんが曲(遠藤)の旋律を吹き始めると時間も流れ始めた。古和さんのギターはかみむらさんのソプラノと同様に音の中心から逸脱する。
次に、テナー、ギター、ベースの各々がなにかを演り離合集散する。遠藤さんはペンをぶらぶらさせて鍵盤を触り、いきなり手を叩いて音の発散に一役買っている。そしてふたたび即興から曲(阿部)へと移り、阿部さんのエッジが柔らかいベースがサウンドを駆動させる。遠藤さんは多くの音をつまみ上げるようにして局所的には激しい演奏を行うがあくまで繊細でじつにおもしろい。ギターがサウンドを包み込み、それと並んで、かみむらさんのテナーがよれる高音を出した。
セカンドセットの始まりはピアノ、ギター、ベースの3人が金属片を弄びつつ強度を高めてゆく。かみむらさんはステージの端に裸足で立ち、サウンドの場に外部から音を与え、サウンドという球体を撫でるようにして発展させるありようが独特。かみむらさんは球体の中心に戻り、すこし間を置いて哀切な曲(かみむら)をテナーで吹いた。ここでも遠藤さんのピアノはじつに繊細。擦れとともにテナーが音を出すのをやめると、ベース、ギター、ピアノの音が前面に出てきたのが印象的だった。
次はピアノとベースが音を置くなかで、かみむらさんが玩具で遊び、仰向けに寝そべってソプラノを吹き、立ち上がって裸足でステップを踏む。ここからの曲(古和)は明るく狂騒的である。
続くタンゴ的な曲(かみむら)では全員が力強くテンポを刻み、しばらくして小唄の旋律に移行した。だがなかなか終われない。かみむらさんはソプラノを尺八のように使い、次に風を発生させ、このギグを収束させた。
Fuji X-E2、7Artisans 12mmF2.8、XF60mmF2.4
●かみむら泰一
『ツ・ナ・ゲ・ル・ヒ・ト』@千歳烏山TUBO(2020年)
クリス・ヴィーゼンダンガー+かみむら泰一『山の猫は水脈をたどる』(JazzTokyo)(2019年)
長沢哲+かみむら泰一@東北沢OTOOTO(2019年)
李世揚+瀬尾高志+かみむら泰一+田嶋真佐雄@下北沢Apollo(2019年)
かみむら泰一+永武幹子「亡き齋藤徹さんと共に」@本八幡cooljojo(2019年)
クリス・ヴィーゼンダンガー+かみむら泰一+落合康介+則武諒@中野Sweet Rain(2019年)
徹さんとすごす会 -齋藤徹のメメント・モリ-(2019年)
かみむら泰一+齋藤徹@喫茶茶会記(2018年)
かみむら泰一+齋藤徹@本八幡cooljojo(2018年)
かみむら泰一+齋藤徹@本八幡cooljojo(2018年)
かみむら泰一session@喫茶茶会記(2017年)
齋藤徹 plays JAZZ@横濱エアジン(JazzTokyo)(2017年)
かみむら泰一+齋藤徹@キッド・アイラック・アート・ホール(2016年)
齋藤徹+かみむら泰一、+喜多直毅、+矢萩竜太郎(JazzTokyo)(2015-16年)
かみむら泰一『A Girl From Mexico』(2004年)
●阿部真武
池田陽子+阿部真武+岡川怜央@Ftarri(2021年)
●遠藤ふみ
徳永将豪+遠藤ふみ@Ftarri(その2)(2021年)
本藤美咲+遠藤ふみ@Ftarri(2021年)
徳永将豪+遠藤ふみ@Ftarri(2021年)
池田陽子+遠藤ふみ@Ftarri(2021年)