Sightsong

自縄自縛日記

下町、鄙、水

2023-11-19 18:41:54 | 関東

川田順造さんの『母の声、川の匂い』(筑摩書房、2006年)というエッセイ集。このアフリカ研究で有名な人類学者が東京の下町のことを書いているなんて驚きだった。

小名木川についての話がおもしろい。もともと、西の隅田川から東の旧中川までを東西に結ぶ運河であり、行徳の塩などの物流のために徳川家康が開削させたのがはじまりだ。川田さんの記憶には、毎朝、伝馬船が行徳から「あねさんかぶりの女八百屋の一行」を乗せてきたり、自分自身も七輪を持って浦安に潮干狩に行ったりした風景がある。だから深川には行徳出身者が多く住んでいたらしい。

もっとも便利なだけではなかった。たしか行徳の地域史には、上りは3時間、下りは6時間を要した時代もあったと書いてあった。山本周五郎が浦安橋のたもとに住んだのは1928-29年のこと、そんなもので都内に通勤していたものだから勤務不良でクビになっている。当たり前だ。

それはともかく、川田さんが東京を「鄙」と見立て、深川あたりを「土地を媒介とする結びつきや血の紐帯が基礎になった、村落共同体の人情やしがらみとはまったくの対極にある、ニヒルでコスモポリットな性格のもの」なんて書くのはさすがである。稲荷が多いことに象徴される住民の迷信深さも、それゆえのことだろう、と。


矢部優子+山㟁直人+広瀬淳二@アトリエ第Q藝術

2023-11-19 10:16:17 | アヴァンギャルド・ジャズ

成城学園前のアトリエ第Q藝術(2023//11/18)。

Yuko Yabe 矢部優子 (p, melodica)
Naoto Yamagishi 山㟁直人 (perc)
Junji Hirose 広瀬淳二 (ts)

『影向』という墨絵と写真の展示にあわせたライヴ。小山康博さんの墨絵は透明なアクリル板にレーザーで焼き付けられてもいて、角度によって鏡のようにも見えて、墨絵の領域を超えている。佐久間雪さんの写真はつや消しの印画紙にプリントされており、それだけでも眼が吸い込まれるようなのに、暗闇に置かれてさらに存在が奇妙なものになっている。

音楽もまた闇の中でかれらの世界と交感しあうものだった。空間に広がり重なるありようから、特有の音を見出しそれが闇の中で浮かび上がってくるように変化していった。

Fuji X-E2, MC MIR-20M 20mmF3.5 (M42), Leica Elmarit 90mmF2.8 (Leica M)

●矢部優子
りら~雲を吐き、星を喰う homages to Tetsu~@山猫軒(JazzTokyo)(2023年)
古池寿浩+矢部優子+増渕顕史@水道橋Ftarri(2022年)
神田綾子+矢部優子+遠藤ふみ@大泉学園インエフ(2021年)
Dance x Music Session Vol. 01(2021年)
穢れ(JazzTokyo)(2020年)
ヒゴヒロシ+矢部優子、プチマノカリス/山我静+鈴木ちほ+池田陽子@なってるハウス(2019年)
815展でのパフォーマンス(矢部優子、広瀬淳二、池田陽子、渡辺隆雄、遠藤昭)@好文画廊(2019年)
謝明諺+秋山徹次+池田陽子+矢部優子@Ftarri(2019年)
大墻敦『春画と日本人』(2018年)

●広瀬淳二
吉田隆一+広瀬淳二@神保町試聴室(2023年)
瀬尾高志+広瀬淳二+高橋佑成+秋元修@神保町試聴室(2022年)
内橋和久+広瀬淳二@千駄木Bar Isshee(2022年)
広瀬淳二+あきおジェイムス+増渕顕史@不動前Permian(2022年)
815展でのパフォーマンス(広瀬淳二、池田陽子、渡辺隆雄、遠藤昭)@好文画廊(2020年)
広瀬淳二+カル・ライアル+クリスティアン・メオス・スヴェンセン+ダレン・ムーア@下北沢Apollo(2020年)
815展でのパフォーマンス(矢部優子、広瀬淳二、池田陽子、渡辺隆雄、遠藤昭)@好文画廊(2019年)
広瀬淳二+さがゆき@なってるハウス(2019年)
クレイグ・ペデルセン+中村としまる、エリザベス・ミラー+広瀬淳二@Ftarri(2018年)
広瀬淳二『No-Instrument Air Noise』(2017年)
ブライアン・アレン+広瀬淳二+ダレン・ムーア@Ftarri(2018年)
ロジャー・ターナー+広瀬淳二+内橋和久@公園通りクラシックス(2017年)
クリス・ピッツィオコス+吉田達也+広瀬淳二+JOJO広重+スガダイロー@秋葉原GOODMAN(2017年)
広瀬淳二+今井和雄@なってるハウス(2017年)
広瀬淳二+中村としまる+ダレン・ムーア@Ftarri(2017年)
広瀬淳二+今井和雄+齋藤徹+ジャック・ディミエール@Ftarri(2016年)
広瀬淳二『SSI-5』(2014年)
広瀬淳二+大沼志朗@七針(2012年)
広瀬淳二『the elements』(2009-10年)

●山㟁直人
「響む 其の六」@東北沢OTOOTO(2023年)
quintet@不動前Permian(2023年)
Ensemble 響む@入間市文化創造アトリエ・アミーゴ ホール(2023年)
やみのうつつ vol.1@神保町試聴室(2022年)
山㟁直人+石川高+アンドレ・ヴァン・レンズバーグ『翠靄(Suiai)』(JazzTokyo)(-2022年)
落穂の雨@稲毛Candy(JazzTokyo)(2022年)
新年邪気祓いセッション@山猫軒(2021年)
アンドレ・ヴァン・レンズバーグ+石川高+山㟁直人@喫茶茶会記(2020年)
ピーター・コロヴォス+川島誠+内田静男+山㟁直人+橋本孝之@千駄木Bar Isshee(2019年)
アレクサンダー・ホルム、クリス・シールズ、クラウス・ハクスホルムとのセッション@Permian(2019年)
池田陽子+山㟁直人+ダレン・ムーア、安藤暁彦@Ftarri
(2018年)


酒井俊+馬場孝喜@浦安Bar Seagull

2023-11-19 09:49:35 | アヴァンギャルド・ジャズ

浦安のBar Seagull(2023/11/17)。

Shun Sakai 酒井俊 (vo)
Takayoshi Baba 馬場孝喜 (g)

酒井俊さんが浦安に来るということ自体が意外で、そのブッキングをしたのがドラマーの岡山晃久さんで、前によく浦安で呑んでNY・Smallsの絵描きの話なんかで盛り上がった人。俊さんとは子どもの頃からの知り合いだそうで不思議な感覚。お店はやはり以前にときどき足を運んだロックバー・Speak Easyのあとに作られたところだった。

ギターとのデュオだとみんなで歌の世界を盛り上げるというよりもじっくり、しっとり。<Both Sides Now>も<ナーダム>も<回想>も<思ひで>も、それから<とんかつの唄>もよかった。

●酒井俊
酒井俊+田中信正+ファルコン+落合康介@本八幡cooljojo(2023年)
酒井俊+須川崇志+土井徳浩@下北沢Apollo(2023年)
STFSO@新宿ピットイン(2022年)
酒井俊+瀬尾高志+須川崇志+市野元彦@稲毛Candy(JazzTokyo)(2022年)
酒井俊+纐纈雅代+永武幹子@本八幡cooljojo(2019年)
酒井俊+青木タイセイ+永武幹子@本八幡cooljojo(2019年)
酒井俊+会田桃子+熊坂路得子@Sweet Rain(2018年)
酒井俊+永武幹子+柵木雄斗(律動画面)@神保町試聴室
(2017年)