山内桂『live at Futuro cafe』(jigen、2017年)を聴く。
Katsura Yamauchi 山内桂 (sax)
Syuichi Chino 千野秀一 (key)
Takashi Miyamoto 宮本隆 (b)
Fumihiko Kimura 木村文彦 (perc)
サックスが、少し新鮮なほどに衒いのない音に聴こえる。これまで山内氏のサックスに感じ取っていた、なにかのマージナルな音とは異なるような印象がある。
あらためて比べてみるつもりで、氏のデビュー盤『Salmo Sax』(2003年)のサックスソロもまた聴いたのだが、既にこの段階でスタイルも技術も、ひょっとすると即興演奏家としての姿勢も完成されているように思える。もっとも、ちょっと聴き齧っただけで進化や発展を云々するのはおこがましいことではある。しかしそれにしても、『live at Futuro cafe』は、『Salmo Sax』におけるショーケース的な要素がなく、それが今回の印象深さなのかもしれない。
最初はソロ、やがて他のメンバーの音と融合してゆくのだが、この融合における自然体もまた奇妙に感動的だ。ベースとパーカッションとが間欠的に励起するサウンドを作り出し、そこに千野秀一のキーボードが彗星のようにやってきては介入する。
録音はこれと同じく、澤居大三郎氏による。息遣いが捉えられておりみごと。
●山内桂
千野秀一+山内桂@Ftarri(2018年)
山内桂+中村としまる『浴湯人』(2012年)
山内桂+マーティン・ヴォウンスン『Spanien』(2010年)
山内桂『波照間』、『祝子』(2006、08年)
山内桂+ミシェル・ドネダ『白雨』(2004年)