アルド・ロマーノ『Complete Communion to Don Cherry』(Dreyfus、2010年)は、文字通り、ドン・チェリーに捧げられた1枚だ。
Aldo Romano (ds)
Henri Texier (b)
Geraldine Laurent (sax)
Fabrizio Bosso (tp)
この「元ネタ集」は、たとえば、ドン・チェリー『Complete Communion』(Blue Note、1965年)、『Art Deco』(A&M Records、1988年)の2枚。前者からは「Complete Communion」、「Remembrance」、「Golden Heart」、後者からは「Art Deco」、「When Will the Blues Leave」、さらにオーネット・コールマンの「The Blessing」が選ばれている。
Don Cherry (cor)
Gato Barbieri (ts)
Henry Grimes (b)
Ed Blackwell (ds)
Don Cherry (tp)
James Clay (ts)
Charlie Haden (b)
Billy Higgins (ds)
ドン・チェリーのコルネットやトランペットの音は、相変わらず間合いが独特で、バンドメンバーと一緒に走っていくつもりがあるのかないのか。天然とか野生とか自由ということばに結びつけることは間違っていないのだ。
したがって、バンドとしての一体感よりも、チェリーのインスピレーションにより発せられる音の佇まいにばかり気を奪われてしまう。もちろん、エド・ブラックウェルも、ガトー・バルビエリも、チャーリー・ヘイデンも、個性満開のいい音を出しているのではあるが。
そういった唯一無二の音楽と比べると、ロマーノの盤は同じ曲を演っていてもまるで違うように聴こえる。色っぽいテキシェのベースも、マニッシュにともかく前を見据え進撃するロマーノのドラムスも良い。しかし、何しろファブリツィオ・ボッソが端正でストレート過ぎて、違うものは違うとしか言いようがない。これはこれで素晴らしい演奏なのに、「なんだかヘン」なチェリーを聴いたあとでは分が悪い。
アルド・ロマーノ(2010年、パリ) Leica M3、Summicron 50mmF2.0、Tri-X(+2増感)、フジブロ4号
●参照
アルド・ロマーノ『New Blood Plays "The Connection"』
アルド・ロマーノ、2010年2月、パリ
オーネット・コールマン集2枚
ジャズ的写真集(5) ギィ・ル・ケレック『carnet de routes』
ダラー・ブランド+ドン・チェリー+カルロス・ワード『The Third World - Underground』
ドン・チェリーの『Live at the Cafe Monmartre 1966』とESPサンプラー
ウィルバー・ウェア『Super Bass』(ドン・チェリー参加)
エド・ブラックウェルとトランペッターとのデュオ(ドン・チェリー参加)
富樫雅彦『セッション・イン・パリ VOL. 1 / 2』(ドン・チェリー参加)
『Interpretations of Monk』(ドン・チェリー参加)
『Jazz in Denmark』 1960年代のバド・パウエル、NYC5、ダラー・ブランド(ドン・チェリー参加)
ザ・ジャズ・コンポーザーズ・オーケストラ(ドン・チェリー参加)
シャーリー・クラーク『Ornette: Made in America』 再見(ドン・チェリー登場)
シャーリー・クラーク『Ornette: Made in America』 オーネット・コールマンの貴重な映像(ドン・チェリー登場)