夢Duo『蝉時雨 Chorus of cicadas』(Wildcat House、2017-2018年)を聴く。
Akemi Shoomy Taku 宅Shoomy朱美(vo, p)
Takayuki Kato 加藤崇之 (g)
Keiki Midorikawa 翠川敬基 (cello) (track 6)
やはり今年録音された、エレクトリック渦『yellow vision』(Full Design Records、2018年)はギンギンに過激で演者も面白がっているようで良い作品だったけれど、同じくShoomyさんと加藤さんとが吹き込んだ本盤はまるで対極にある。(『yellow vision』はこのふたりと藤巻鉄郎のドラムスとのトリオ)
本盤は埼玉県越生市の山猫軒が出しているレーベル「Wildcat House」の第3弾。いちどだけ行ったが、森の中の素敵な手作りの家である。
ここでもまさに夏の山猫軒、蝉の声に取り囲まれて演奏が行われている。「So in Love」ではたぶん誰かのスマホのシャッター音が聴こえるのだが、まったく気にならない。むしろあの山猫軒に座っているような感覚で、とても気持ちが良い。
もちろんShoomyさんの存在は知っていたし評判も聞いてはいたのだけれど、実際にライヴを観たのはようやく今年になってからである。思わぬ世界でちょっと動悸動悸して、それまで観なかったことを後悔した。本盤でもその世界が展開されている。抒情的な和音をゆっくりと独特の時間進行で連ねてゆき、そこに、微妙にかすれ微妙に揺れる、不思議感もなくはないヴォイスが重ねられている。どの曲も好きになるのだが、特に「So in Love」や「歩こうよ」にグッとくる。
そして加藤さんのガットギターによる軋みが、夢から別の夢に、またこちら側の世界に、揺り動かし連れていってくれる。悠然と弾いていたかと思いきや、終盤の「まわる まわる 目がまわる」では激しく遊び、最後の「歩こうよ」ではもっと前面に出てくる。
超オススメ。
●宅Shoomy朱美
原田依幸+宅Shoomy朱美@なってるハウス(2018年)
impro cats・acoustic@なってるハウス(2018年)
●加藤崇之
松風鉱一カルテット@西荻窪Clop Clop(2018年)
松風鉱一カルテット+石田幹雄@新宿ピットイン(2018年)
松風鉱一カルテット+石田幹雄@新宿ピットイン(2016年)
松風鉱一@十条カフェスペース101(2016年)
松風鉱一カルテット+石田幹雄@新宿ピットイン(2015年)
松風鉱一カルテット@新宿ピットイン(2012年)
松風鉱一カルテット、ズミクロン50mm/f2(2007年)
加藤崇之トリオ『ギター・ミュージック』の裏焼き(1989年)