Sightsong

自縄自縛日記

謝明諺+大上流一+岡川怜央@Ftarri

2018-06-27 07:22:31 | アヴァンギャルド・ジャズ

水道橋のFtarri(2018/6/26)。

Minyen Hsieh 謝明諺 (ts)
Riuichi Daijo 大上流一 (g)
Leo Okagawa 岡川怜央 (electronics, contact mic)

大上・岡川デュオ。大上流一はスライドから始めるが、音の出し方からは一貫性が端から棄てられており、頻繁なペグの操作により周波数も次々に変えられる。つまり最初から意図的な断絶があって、それを集めて続けるという演奏。それを岡川怜央は受けてサウンドに包んでいるようにみえた。刺激剤や起爆剤として前面に提示する音ではなく、逆に、断片の合間にそうと気付かされる音やノイズのあり方。最後に大上さんは、ギター「ならでは」の抒情的な音をいくつか出した。 

謝ソロ。かすかな音を積み重ねてゆく。吹いているだけでなく吸う音も表現手段としている。音のクラスターの合間にはそれなりに長いインターバルがあり、次の展開を組み立てている過程が直接的に出されていた。音がサックスの中で次第に共鳴してゆき、やがてブロウへと移行する。やはり奏法がジャズのイディオムから出来ているように思える瞬間が多々あった。この謝さんの巧みさが、インプロの領域を明らかに拡張していたのだが、逆に言えば、試行という場に固執するタイプのインプロとは異なっていた。

トリオ。三者三様の活動があえて重ならないようになされていた。とは言え、謝さんのサックスが岡川さんのエレクトロニクスを模倣する愉し気な場面もあった。また、岡川さんは素子に触れたりケーブルを持ち上げてノイズを発生させたりして、かなり繊細な音を創出していた。意識をそこに向ければ聴こえ、潜っていても断絶のときにまた意識下に現れるサウンドは面白いものに思えた。

Nikon P7800

●大上流一
Shield Reflection@Ftarri(2017年)
リアル・タイム・オーケストレイション@Ftarri(2016年)

●岡川怜央
『Ftarri 福袋 2018』(2017年)


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