ジョン・アバークロンビー+アンディ・ラヴァーン『Timeline』(SteepleChase、2002年)を聴く。
John Abercrombie (g)
Andy LaVerne (p)
コンセプトは、ビル・エヴァンスとジム・ホールとの共演に挑むことか。
『Undercurrent』(1962年)からは、「My Funny Valentine」、「Darn That Dream」、「Skating in Central Park」の3曲が、また『Intermodulation』(1963年)からは、「Turn Out the Stars」と「All Across the City」の2曲が採用されている。その他6曲。ジャケットは『Intermodulation』へのオマージュだろうね。(というか、『Undercurrent』のパクリをしたら、ギャグにしかなりようがない。)
もとよりアバークロンビーの太くくっきりとして空中に漂流するようなギターは嫌いではないし、チャールス・ロイドとの共演盤なんて今すぐにでも出してきて聴きたいくらいなのだが、まったくこの盤では刺さってくるものがない。
やはり偉大な作品を前にして分が悪いし、また創り上げていくときの過程は結果にも影響するに違いない。何しろ、『Undercurrent』では、ゆっくりとしたテンポでふたりのコード楽器による和音を大切にしようとしていたところ、早いテンポでの「My Funny Valentine」で丁々発止の演奏を行うことになり、それを冒頭にもってきたというのだから、緊張感もただならぬものがあっただろう。その再現がオリジナルと同じ高みに到達できるわけがない。
そんなわけで、あらためて『Undercurrent』を聴いてみると、どの演奏もやはり素晴らしい。特に、ジム・ホールの音に秘められた綾はなんだろう。
Bill Evans (p)
Jim Hall (g)
ところで、CDジャケット裏側のメンバー記載。ここにも緊張感のなさがあらわれている(笑)。これはないだろう、という・・・。いや、SteepleChaseのアルバムには誤記が多いような気がするし、amazonで確認すると、いまでは修正されているようなのだけれど。
●ビル・エヴァンス
『Stan Getz & Bill Evans』(1964年)
ビル・エヴァンス『The Complete Village Vanguard Recordings, 1961』(1961年)
スコット・ラファロ『Pieces of Jade』(1961年)
マイケル・ラドフォード『情熱のピアニズム』 ミシェル・ペトルチアーニのドキュメンタリー(2011年)
チャーリー・ヘイデン+ジム・ホール(1990年)
ミシェル・ペトルチアーニの映像『Power of Three』(1986年)
ジム・ホール『The Complete "Jazz Guitar"』(1956-60年)