この舞台は、簡単に言えば、俳優さん達のバックステージの話。
ベテラン女優マーゴ(美波里さん)がいて、そこに最初は1人のファンとして近づいてくるイヴ(貴城けいさん)が現れる。
最初こそは、気が利く可愛い子だと思われるのだけど、このイヴは利用できる人はどんどん利用して、頂点を目指す、とってもしたたかな女なのよ。
プロデューサーやら、脚本家、舞台監督など皆、利用されて捨てられるんだな。一番振り回されるのはマーゴかな・・・・と思うけどね。
そんな嫌な女でものし上がり成功しちゃう話なのね。舞台はそこでおわるんだけど、同性としては、このイヴがどん底に落ちるところを知りたくなっちゃうのよ。そんなにうまくいかない、絶対ひどい目にあうぞって言うか・・・・あって欲しいと思っちゃう。これってねたみかないやいや・・・・・・汚いやり方でのし上がった事が許せないんだわ・・・・・・。
そう思わせるイヴなのです。このイヴ・・・・途中でマーゴの代役のオーディションを受けるのだけど、その時にマーゴ達とひと悶着あるのね。今までお世話になったマーゴを怒らせて、初めは後ろを向いてうなだれて泣いているんだけど、だんだんその背中がシャッキと伸びてくる・・・・これさぁ~~~~嫌な人の典型。泣くフリをして何を考えているのと思わせる場面だった。そして、そのあとまさしくニヤリと笑っていなくなるのよ。なんと恐ろしい女です。
1回だけの代役を無事に成功させて、鼻高々になる。役者を夢見ている卵達が集まる酒場にやってくる・・・・・・・ここで、別人のようにお高くとまるんだわ。このシーンもイヴが嫌われる場面の一つだと思う。本当に嫌な感じよ。
イヴが嫌な人だから、マーゴが一層可愛らしく見えます。その対比の仕方も面白いと思ったよ。
前田美波里さんは、華のある方ですね。舞台に出てくるだけで、とっても華やかになります。ダンスといい、歌といい、本当に素敵でした。舞台ではあんなに大きく見えるのに、楽屋口でお会いした時は、あまりの細さに驚きました。魅力的な人です。
阿部よしつぐさんは、舞台監督バートと、おかまちゃんカリーの役。
おかまちゃんね・・・・・チャーミングでした。手のたたき方といい、走る時の手の位置といい、ふふふっ・・・って笑いがこみあげましたよ。時々聞こえる、『・・・・・・だわ』って言うセリフにも笑ったな。
マーゴのヘア担当の佐野瑞樹さんもゲイ?の役なんだけど、その佐野さんによしつぐさんが、飛びつくシーンがあります。たぶん、マーゴを連れてきてくれた喜びだと思うのだけど、この時激しく佐野さんに拒絶されるんだけど、このシーンがとっても好きでした。←久々、マニアックです。
おかまちゃんカリーは、役者を目指す仲間『ジプシー』の一人です。ダンスシーンもふんだんにありまして、『シャル ウイ ダンス』で女性と踊るシーンがあります。これ好きでした。ちょっとだけ、レミゼの結婚式を彷彿させます。
舞台監督バートのよしつぐさんは、完全にイヴに利用されているわけです。その怒り・・・・お酒を飲みながらのシーン、この人を怒らせたら怖いだろうな~~~~と思った。だいたい、あの目が怖い・・・・・まあね、そんな個人的に怒られる事は絶対ないだろうから、安心だけど・・・。
イヴの代役がうまくいった夜の楽屋で、上機嫌で笑いのシーンから入るところがあるんだけど、これ初日からだったかな1回目の観劇では気がつかなかったのよね。笑いの演技って、すっごく難しいと思うのだけど、すっごく自然な感じでよかったな。役者さんだから、当然と言われればそうなんだけどさ。
すごい長い文になったので、ひとまず終了です。