「悪魔的」キャラクターの誕生:でびでび・でびる編

2021-01-04 11:15:15 | Vtuber関連
Vtuberで興味を引いたキャラクターとして、鈴鹿詩子(その人間性がいかに構築されたか)と白銀ノエル(キャラ設定と素のギャップ)について書いてきた。今回はその続きとなるでびでび・でびる編である。
 
 
自分の中ではにじさんじ内で鈴鹿詩子と並ぶツートップの一角だが、一見するとただのイロモノキャラ=ゆるキャラ崩れ(失礼)にも見えるので、まずはその魅力が詰まった切り抜き動画を紹介したい。
 
 
 
 
 
 
 
かわいかろ~(契約者並感)?そのキュートなお声も併せた悪魔的魅力で人を癒し騙し続けているVtuberということがわかる。
 
 
え?それじゃあ別に見たまんまじゃねーかよって・・・ふぅ、やはりボーイです(いつもの)。とか書いとりますが、正直自分にもそう思っていた時期がありました。実際、でびでび・でびるが「一風変わったVtuber」以上の存在として強い興味が湧いたのは、確か「Vのから騒ぎ」に出演した時のコメント力がひと際目立っていた(この悪魔・・・ただのマスコットではない!!?)ことがきっかけだったからだ。またそれに加え、(うろ覚えだが)天開司が犬山たまきとのコラボ対談で、ピーナッツくんとともにでび様のことを称揚していたのも影響していたような気がする。
 
 
で、そんなでびでび・でびるの真骨頂が見れるのがこちら(ちなみに一つでは傍証として足りないという向きもあるかもしれないので、末尾に二つ別の参考資料を掲載しておく)。
 
 
 
 
長くなるので端的に言うと、コメントから抜群に頭がいいのがわかる。それを分解すると、問題分析力であり、メタ認知能力であり、わからないものは具体的にどういう点がわからないかを明確にし、その上で複数の可能性と選択肢を明示するクレバーさである・・・と表現できるだろう(もう一つ重要な要素があるが、それは後程述べる)。
 
 
誤解を恐れずに言えば、いわゆる「教養」とされるものであれば、比較的知識に属する部分が大きいので、一応は「正解」を出せるものが多い(その意味では「簡単」とすら言える)。しかしながら、今回扱われている人間関係の機微については、回避すべきケースは確かにあるけれども、グレーゾーンや多様性の領域がしばしば大きく、最適解を設定するのがなかなかに困難である(明確に回避すべきケースとして、例えば「相手の尊厳を破壊してくるような人間との関係は早急に清算した方がよい」といったことは言えるが、そんな場合でさえも、面倒なのはそのような関係性にいる被害者は「自分のためにやってくれている」と思い込んでしまっているケースもあり、その関係性を解除する・させる方法はとなると一筋縄ではいかない。まして、そこまでわかりやすいケースでない大半の場合、なおさら「絶対的に正しい判断」というものを措定しがたいのである。ちなみにそれだからこそ、人に相談するに際して相手から全き真理が聞き出せると思っているのであれば、それはそもそもの思考態度がナイーブなので改めた方が賢明だろう)。
 
 
でびでび・でびるのコメントの数々は、そういう前提を深く理解していることがよくわかるし、また相談者に欠落しているであろう視点への指摘は、人からの見られ方はもちろん、相手が第三者と恋愛関係にある可能性であったり、また相手の頭の中はそもそもわからない、という(当然だけれども)極めて重要なものを数多く含んでいる。その上で、様々な可能性を吟味するという意味では慎重でありつつも、ありうる可能性の提示と問題点の指摘などは直截に述べているのである(余談だが、こういう時にいわゆる「全肯定」ほど答える側として楽な態度はないことも言い添えておく)。
 
 
相談に関する優れたスタンスについては、このくらいでいいだろう。次にポイントとなるのは、でびでび・でびるがほぼ確実に自分のビジュアルがもたらす印象を知悉した上で発言してもいる、ということだ。これは先のメタ認知能力に深く関わる部分であるのだが、要するにその発言の直接性による衝撃が、かわいらしいビジュアルによって多少は緩和されるとともに、悪魔というキャラづけでRP的にも必然性を持たせることができるのである(ただ、これがRPとして、笑いながらではあっても成立しているのは、でびでび・でびるが一貫して高度なRPを続けていることの賜物でもあろう)。
 
 
その証拠として、でびでび・でびるも人間界においては、すなわち「彼女」としては、相談を受けた際に今回のような分析的で直截なコメントをせず、基本的に相手を肯定するようなコメントを多くしていると自分自身で述べている。それは人間のビジュアルである場合は「Vtuber=マスコット」としての緩衝材がない結果として、単に相談者に「ズケズケ言われた」とだけ受け取られ、真剣に可能性を吟味しても聞き入れられないばかりか、むしろ単に相手の中での自分の印象を悪くしてしまう(=戦略的コミュニケーションとしては失敗となる)ことを理解しているから、そういう対応の違いが生まれているのではないだろうか。
 
 
ともあれ、相談への辛辣な指摘についての精神的ショックを和らげる緩衝材を二重に作っているからこそ、これだけストレートなコメントをすることができ、かつそれが受け入れられているとも言えるのではないだろうか(占いの例を出せば、深刻な雰囲気で話し続けた最後に、笑顔で「こんなん出ましたけど~」とやるのに似ている。それは相手に占いの内容を印象付けながら、同時に「まあ占いではそうなったよ(100%そうなるとは言ってない)」という距離感をも示す効果があると言っていいだろう)。
 
 
まとめると、この恋愛相談の配信からわかるのは、でびでび・でびるが極めて頭の回転が速く、かつそれを適切に表現できる語彙力を始めとした高いスキルを持っており、またそれを今の自分の「ガワ」で話すことがどういう効果をもたらすかまでよく理解している、ということである。
 
 
逆に言えば、次のように表現することもできるだろう。今述べたようなでびでび・でびるの高い知性が、一朝一夕で身に付いたものとは考えにくく、つまりはオーディションに出た頃からこういうキャラクター性を持っていたと予測される。とするなら、特性はその頃も高めのアニメ声(以前地声に近いと思われるものを聞いた印象としては、「血小板ちゃん」の声をもう少し高くした感じ)+表現力や語彙力の高さ(戌亥とこと話した時のような関西弁だったかまでは不明)だったと考えてよいだろう。
 
 
すると、その声の印象からは幼い「ガワ」にすることもできるが新鮮味には欠けるだろうし、その能力値を発揮した場合幼いビジュアルだと声とのギャップで「解釈違い」になるリスクもある(まあ言うても、こないだ紹介した鬼灯わらべのようなキャラ設定=戦略もありえるので絶対ではないが)。しかし「悪魔」設定にした場合、トーク力を発揮すると声とのギャップが「解釈違い」どころか、むしろ「解釈一致」としてキャラを立たせるプラス要因になると踏んだのではないだろうか・・・?もちろんこれは私の憶測に過ぎないが、仮にこういった戦略に基づいて「でびでび・でびる」が誕生したのだとしたら、それは「神の采配」とすら表現しうるものだと言っていいのではないだろうか。
 
 
以上が知性溢れるRPマイスター、でびでび・でびるのキャラクター分析である。個人的には、可愛さが国境を越えやすいのと、また語学にもそれなりに適正があるのではないかと思う理由で、英語力を高めてもらった上で海外Vtuberとコラボなどしてくれたら、今後さらに飛躍していけるのではないかと期待している次第である(設定的には神話系キャラの多いホロライブENとかはおもしろそうだが、まあホロライブ側からしたら敵に塩を送るようなもんだから実現せんやろな・・・にじさんじも海外進出の動きを取ろうとしてるみたいだし、現メンバーでも夢追翔や健屋花那、リゼあたりは英語がそれなりに堪能なはずなので、最初はそこらとのコラボからスタートして云々というのもありかもしれない)。
 
 
 
[でびでび・でびるのエスプリ参考動画]
 
 
一つは恋愛相談(題名に反してちっとも冷たくないw)。もう一つは、その知性が人間関係のみならず、文学作品の構造把握といった非常に広範囲に及んでいることを示すものとして、鈴鹿詩子とのBL有識者会議(笑)を掲載した。
 
BLで知性???とか思うかもしれないが、例えば「基礎教養」として挙げられるような著名な文学だと、昨今いくらでも情報が出回っているため内容をそこまでわかっていなくても訳知り顔で語ることが簡単にできてしまう。
 
これに対し、BLにはもちろんそういった情報の蓄積はないし、それゆえある程度自分できちんとコンテンツに触れてそこにある共通要素を自身で考えないことには、分析的な思考はなかなか登場しづらい。ましてでびでび・でびるはあるジャンルのBLで描かれる関係性がどのようなものを背景・象徴しているのかまで踏み込んで話しているため、その賢明さが教養(この場合は作家や時代、登場人物と言った「単純な用語の知識」と言った方が正確か)というカテゴリーで収まるものではなく、表現意図や世界観を深く理解する知性にも及んでいることがわかる。これが恋愛相談で発揮しているメタ認知能力や多角的視点、そして認識したものを相手に伝える表現力に深く関係していると思うのは私だけではないだろう。
 
 
 
 
 
 
 
 

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