今パレスチナで起きている惨劇に関して、バビロン捕囚だのディアスポラだの、あるいはイギリスの三枚舌外交だの中東戦争だの、これまでの歴史をなぞることはいくらでもできる。また、今現在はどういう力学で状況が成立しているのかは(ヒズボラやイラン、アメリカやEUの動向など)よく見ておかねば事態を見誤る可能性が高い・・・とは思いつつも、なかなかまとまって情報を集約する機会がなく、断片的に見た情報を少しづつ積み上げるぐらいしかできない状況だった。
で、今回の動画を掲載してみたわけだが、改めて出発点として必要な発想だと思うのは、ハマス=パレスチナでもないし、ネタニヤフ政権=イスラエルでもない、ということ。それを踏まえた上で、「どっちもどっち論」のようにバランスを取ったつもりで思考停止に陥るのではなく、それぞれの行動原理と問題点を是々非々で見ていかなければならないと思う。
つまり、ハマスの行ったテロ行為は許しがたいし、厳しく非難した上で今後の対処をしていくべきではあるが、それはパレスチナ人に対するイスラエルの非人道的行為を正当化はしない(この点、例えばユダヤ人であるスピルバーグが2005年の映画「ミュンヘン」の中で復讐の連鎖とその虚しさを描いていることなどを想起したい。ちなみに2001年が米国同時多発テロとアフガン侵攻、2003年がイラク戦争である)。その意味で、イスラエル側の非人道的行為もまた厳しく非難するとともに、それを正当化しようとする言説についても、懐疑主義的に見ていくべきだろうと思う。
ところで、今回の動画ではアメリカ国内でのロビーイングや親イスラエル(ユダヤ)的傾向の背景についても説明がなされている。中絶論争やバイブルベルトなどでもしばしば言及されるキリスト教福音派(エヴァンジェリスト)の影響力がここでも取り沙汰されているが、ただ熱心なキリスト教徒と言えば、イエスを弾圧したユダヤ人に対し嫌悪感を持っているという印象を私は持っていたのに対し(まあイエスもユダヤ人なのだけど)、必ずしもそうではないどころか、むしろ自身の宗教のルーツとして捉え親近感を持っている、という指摘は興味深かった(まあこういう繋がりを意識すること自体は、イスラームにもユダヤ教徒やキリスト教徒を同じ神から啓示と聖典を授かった人々、すなわち「啓典の民」として一種の同朋としてみなす発想がもともとあるのだが)。
この理由として、アメリカにおいては、ユダヤ人がメディア関係に大きな影響力を持っている(つまりイメージ戦略などが意識されている)ことや、かつてアメリカではユダヤ人が親ナチスの輩たちと実力行使で対抗したような歴史もあるので、そのコミュニティの存在感が他国とはまた違っている、ということなのかもしれない(この辺りはそこまで詳しくないので、一度しっかり勉強してみたいものだ)。
というわけで今回は以上。
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