山頂のつながる尾根筋の一角の南西斜面にこのルートでは最大の草付きがあります。いわゆるお花畑になり短い夏の間次々にいろいろな花が咲いては散っていきます。私が登った初回はキオンが目立ちました。かなり豪壮な感じのするキオンでジョウシュウキオンという名前も付けられているのだそうです。気温は里山から高山帯まで広く分布する種として知られていますが、各地の個体はかなり個性があるようです。平標山の高山帯に生育している種はどっしりタイプの個体と理解したほうが良いようです。
決して大きな群落を作っているというものではありませんが、笹原に数株ずつ突き出ていて花を咲かせているという光景です。延々と続くササ原ですからところどころキオンの黄色い花の塊が適度なアクセントになっています。里山で見るようなほっそりとした感じではなく幹の太いずんぐりした感じで花を沢山咲かせていました。
低山に生育するキオンはだいたい大きな群落を作ります。しかし、この平標山のキオンはこのような弧生に近い生育状況です。「ジョウシュウキオン」という種の特性なのかもしれません。霧の中にポツンポツンと浮かぶさまはちょっと幻想的です。