亜高山帯の林下に生育するゴヨウイチゴです。葉が掌状に5枚の小葉からできているためこの名があります。葉は意外に大きく子ども手のひらぐらいはあります。花は咲いてかどうかわからないような感じです(花弁は発達しない)。実もなかなか見る機会がなくて赤い木イチゴのようになるはずですが現物を見た明確な記憶がありませんね。あれば口に入れる癖があるので味はそれなりの覚えていると思いますから・・・。
夏の後半には花が咲くサラシナショウマでこれは若いつぼみが並んでいる様子。無理に横を向かせたものではありません。この季節の若いつぼみを付けた花穂は逆のS字のように途中から横に伸びている部分があるのです。幾分紫色に色づいて面白い造形になります。白い花が一斉に咲いてボリュムームのある花になるころも素敵ですが、こんな時期の姿もいいものです。
ショウマは「升麻」で漢方の名前だそうです。塊根に薬効があるようでサラシナショウマは利用されたようです。この塊根かあるいは葉の様子がなんとなくサラシナショウマに似ているものはみんな「○○ショウマ」と呼ばれたのではないでしょうか。科や属が違っても「ショウマ」とつけられたものが多いこと・・・。昔は植物は薬としての価値が最優先だったようです。「升麻」は解熱、解毒、抗炎症作用があるのだそうです。
見慣れているツタウルシでも知らないことが沢山あります。例えば若い実の様子などほぼ初めて見るものかもしれません。ウルシというと構えてしまうことも手伝って近くでしっかり観察などほとんどしません。見れば何本もの溝があり果実は幾分歪みを持っていることがわかります。これはこれでなかなかの造形で新しい発見をした気分になります。知っているようで知らないことが多いものですから、できるだけ注意を払って身近なものでも見逃さないようにしたいものですね。
3枚の小葉はツタウルシの特徴で秋の黄葉は素敵な色に発色します。ヤマウルシよりは強烈な作用を引き起こすとされています。まだ被害にあった経験はありませんが・・・。(ヤマウルシは草刈りなどで樹液が付いたのかちょっとかゆくなった経験があります。)
亜高山帯に生育するユリ科の草本。小松原のブナ林やオオシラビソの林に点在していました。タケシマランは赤い果実の季節はしばしば見ていますがそれ以外の花の季節などはしっかりとした観察がありませんでした。今回は花の季節のようです。
大きくはこういう種名でいいようですが、県内に普通にある種をエゾイボタという言い方で学んできました。ミヤマイボタの基本形から毛のないタイプをエゾイボタとするようですが、毛の有り無しを現地で確認してきていませんから今回はミヤマイボタにしておきます。里山で見慣れているイボタと違いはないように思いました。
ところが花と思ってアップで見るとどこかおかしい・・。ユリ科の花のはずですがらしくありません。小さな花ですから目の悪い自分にはよく見えないものと考えてとにかく写真を撮って持ち帰ることにしました。やはり変ですね。つぼみでもないし果実でもありません。どうやら花が終わった直後の状態ではないかというのが結論です。
ミヤマイボタは低木で2m範囲で4mを超えるようなものは出会ったことはない気がします。いい花なのですがなぜか印象の薄い種です。実は黒く熟します。食べても害は無いようですが口に入れたことはなぜかありませんね。
イボタの近くにはサンカヨウがありました。もう果実が熟視気味で、いくつかをほうばってみました。たいして果汁はありませんが甘酸っぱい味や香りが疲れをいやすようなイメージを持っているためか山歩きをして出会うと必ずといっていいほど口にします。この当たりがイボタとの違いで、長い習慣になってしまっています。個人的には、サンカヨウの花は残雪があるような景色で見るのが好きで深山や亜高山の花という印象を抱いていますから、里山というエリアには植え込まないでほしい山野草です。
高所にくればコメツガの大木はしばしば見られますが、球果はなかなか目の高さでは観察できませんが今回は偶然にも低い位置での休暇に出会いました。図鑑などでは緑か褐色なのですがこの球果の色が不思議です。越後の個体はこういう色をしているのでしょうか。新たな宿題ができたようです。まだ若いものでこれから開花するものなのでしょうか。球果は雌花の塊り。雄花は別に枝先に付くはずです。この時は雄花は確認していません。
夏場深山に来ると必ず出会えるのがギンリョウソウ。他の花とは異質な存在で別名ユウレイタケといわれるくらい不気味さを人に抱かせるようです。沢山ありました。住み心地のいい空間なのでしょうね。腐生生活という変わったスタイルを持つ被子植物。葉で栄養を作ることをやめて、落ち葉などの腐食から栄養を取ることように進化した種です。何気なく見てはいますが、その過程の中にすさまじいドラマがあったことと思います。進化の不思議さですね。
ブナ林でよく見つかるキノコです。新鮮なものは真っ白で綺麗なな形をしていますが、すぐにとろけたようなだらしない状態になってしまいます。しかし茎は結構固く採集する時に傘と茎の硬軟の差が邪魔をしてきれいに取れないことがしばしばです。一応食用。特においしいという印象はありません。