森の案内人 田所清

自然観察「独り言」

ヤブマメ

2014年10月26日 | 自然観察日記
ヤブマメが目に留まりました。花が比較的遅いせいでしょうか、どこにでもありそうな種なのに気づきにくい気がします。そして、花が少なくなってくるころに人目を惹きやすい色で誘います。ツルマメよりはずっと花が大きいせいもあって同じような性質があるにもかかわらず好印象。いや、ヤブマメの方がずっと性質は穏やかですね。ツルマメがはびこると悲惨な状態になるのにヤブマメの暴れているところはおもいだせませんから・・。名前の印象がよくないのは否めません。林の縁にあってものに絡まってはいるもののどことなく遠慮がちになっていました。その垂れ下がった一本の蔓に咲く花、ちょっといい景色です。

秋のエコミュージアム 若いブナ林

2014年10月26日 | 自然観察日記
魚沼市の入広瀬にあるエコミュージアムに出かけました。浅草岳の山麓にある自然教育園です。あいにくの空模様でしたが静かな秋のたたずまいが満ち足りた一時を与えてくれました。この浅草岳山域はかつてはブナの大木が生い茂る大原生林であったであろうとおもわれます。今はさまざまな開発によって見る影もない状態になっています。ブナの大木は切り出され、あるいはスギの植林のために切り倒されてその片鱗がわずかに点々と残っているにすぎません。一昨年の大雨で道路の崩壊があったということで足が遠のいていましたが、その後の様子をうかがいに久しぶりの散策です。
開発によって失われた原生林のあとには新たなブナの芽生えが成長して若い林をつくっています。これを園内に取り込んで整備されている県立の教育園になります。

スギの植林地

2014年10月26日 | 自然観察日記
戦後の大造林時代といわれる時期があります。戦後の日本の荒廃を復興させる目的で全国的に植林が推奨されました。この流れに乗ってこんな山深く雪も多い場所にも植林がなされたと知ると驚きです。しかし、絵のようなうまく育っている林はそれほど多くはなく幹が折れて無残な状態のスギの木がなんと多いこと。森を整備するにも道はヤブで覆われて踏み込める状態ではありません。若いころになんでこんな愚かなこと行ったのか疑問を抱いたじきがありました。その問いに、実は終戦直後の都市部への人口流入を防ぐ目的で中山間部に仕事を作るために国が行った政策が大造林だったという答えが返ってきました。つまり、木材の生産という目的以外のところに荒れ果てた植林地があることを知り切ない思いをしたものです。今後この地域がどう遷移していくのでしょうか。一度人が手を入れたところは原始の状態には戻らないと言います。
少なくともこのスギ植林地はまがいなりにも整備され育っていますから材としての価値は維持しているようで誇らしげに看板には記されているのですが、これから10年後100年後どう評価されるのでしょうか。

ツリフネソウ

2014年10月26日 | 自然観察日記
秋の花としてはどこにでもあるごく普通の花。ここエコミュージアムや周辺にも多く自生しています。見慣れてはいるものの里山にあるものとはちょっと様子が違います。そのうちの一つがとても小さい花が存在することです。二つ並べて写した花で下は大体一般的な大きさの花(といっても里山で見るものに比べて小柄です。)、上はその1/3程度のものです。2cmには満たない非常に小型の花です。これが、実に多く存在していて単なる栄養状態では片付かない現象のように見えます。花の色も赤紫ではなく桃色に近い色彩です。奥山のツリフネソウと里山のツリフネソウは今まで気付かなかった差異があることが分かりました。なぜだろう?この疑問がまた自然観察の好奇心を湧き立たせてくれます。

オヤマボクチの群落

2014年10月25日 | 自然観察日記
しらびそ平の宿の広場に接した草むらにオヤマボクチのちょっとした群落ができていました。最初は今まで見たことがない何か新しい種と考えていたのです、図説などで調べるとオヤマボクチになります。オヤマボクチなら丘陵公園の里山フィールドミュージアムにも自生しているので見間違うことなどないと高をくくっていたのですが、見事に打ち砕かれてしまいました。同じ種でもところ変われば見え方が違って別のもののようになっています。頭では分かっていても実際にそれを体験するると大きな驚きです。また、同時に面白さも湧いてきます。

オヤマボクチの若い花

2014年10月25日 | 自然観察日記
オヤマボクチの若い花、というより色づき始めたつぼみとでも言ったほうがいいようです。いわゆる「咲いた」状態になるのはもっと時間が必要です。ここのオヤマボクチは栄養が良いせいか大型で茎も高く花数も多い系統のようです。里山で見るオヤマボクチのつぼみはもっと苞が紫色を帯びるのですがここの個体は緑色。別の名前を与えてもよいくらいです。

ヤマトリカブト

2014年10月24日 | 自然観察日記
トリカブトの仲間は変異が多くあって、またその変異種にいろいろな名前がついていますから特定するのがなかなか難しいものの一つです。しらびそ平にも綺麗に咲いているトリカブトがありその美しさに魅了されました。葉の裂片の形や切れ込みからヤマトリカブトでよいと考えています。そうすると新潟県内で見られるものと同じと言うことになりますが、たくさん撮った写真を見比べると佐渡の個体とかなり違った形態をしているように思えます。また新たな疑問が出てきてしまうのですが、自分なりに納得する結論が出るまでまたしならく落ち着かない時間ができてしまいました。

ニシキウツギ

2014年10月23日 | 自然観察日記
この仲間の花は普通は終わっている季節ですが、遅い残り花か狂い咲きしたものでしょうか。太平洋側の山地に分布するニシキウツギです。日本海側に分布をするタニウツギとすみわけをする種として扱われます。一見、同じような花で判別がつきにくいのですが細部を比較すると差異が明白で別の種であることが分かります。

ニシキウツギの花

2014年10月23日 | 自然観察日記
花の形状は基部から先端に向かって次第に広がっています。タニウツギは先端部の傘の部分はぷっくりと膨らむようになるはずですので、これはニシキウツギの特徴になっています。がくと花冠の長さも比もニシキウツギです。色は内部が濃くなっているのですがこの絵では分かりません。ピンクのタニウツギに見慣れているためでしょうか、花冠が白い花はとても新鮮に見えます。

ヤブレガサ

2014年10月22日 | 自然観察日記
山野草の展示にはよく登場するので比較的見慣れてはいるのですが、新潟県内で自生するところをいまだ出会っていない種です。魚沼の一角や糸魚川地方にわずかに自生をするそうなのですが県内では珍しいものです。下栗の里を展望するヒノキなどの植樹帯で見ることができました。ごく普通に生育している様子を見て地域の違いを思い知らされました。鉢植えではありませんから大きく育っていて、小物に慣れている人は別種と思うかもしれません。しかし、葉の切れ込みの深さはヤブレガサの特徴です。