アザミの仲間はなかなか手こずるものが多いのですがこの種はホソエアザミかこれに最も近い種と判断。何枚かの写真を撮り図説などとみくらべました。関東西部から中部の東部に分布し形状も一致します。アザミの仲間ですからそれなりの棘がありシカも嫌うそうでこの地域にはよく見かけました。
しらびそ平の切り開かれた明るい場所にホソエアザミのまとまった群落ができていて一つの景観を作っています。高木の林床にはササ類が生い茂っていますからササ類とのせめぎあいで攪乱された場所に追いやられているふうに見えました。花はそれほど大きくはないのですが多数ついて幾分点灯気味に咲いていました。高密度で生育しているたこれをかき分けて奥に進む気にはなれません。
実に赤い実のイタドリです。こういう種をメイゲツソウといいますが、越後で見慣れているイタドリとはまるで異なった草姿で驚きを誘います。数少ない記憶なので間違えているかもしれないのですが、種子の赤いイタドリ(メイゲツソウ)を見かけるのはどういうわけか太平洋側の高山か亜高山ですから、そういう分布をしているのかもしれません。
赤みの強い花を見せているのはイタドリの雌株。新潟の平地に自生しているのは、実はケイタドリといい別種扱いされる種です。こちらの雌株は花は白でこんなに赤みを帯びることはないでしょう。くまなく見たわけではないのですが、しらびそ平近辺で見かけた雌株はどれも赤味の強い個体のようでした。
しらびそ高原の一角、南アルプスの展望がよい場所があります。その山肌にグミの木がありました。小雨が降っているときでもあり急峻な山肌でほかの樹種もたくさん入り乱れている場所ですから主幹がどれかはっきりしません。それほどの高木でもなさそうで、せいぜい4~5mの個体ではないかと思いました。ナツグミの仲間だろうと見当をつけて何枚か写真を撮って持ち帰って調べました。鱗毛など細かな点を調べることはできませんが、総合してニッコウナツグミと判断しました。東北南部から長野県あたりの太平洋側山地に自生する種となっていますからこの種に該当します。実の付き具合はまばらで長細い赤い実が散見されました。大体の見当がつきますので実を味わうことはしませんでした。
学生時代のころは南信州や甲州あたりに時折出かけていたことがあり、このころよく目にしていたフジウツギがたくさん見られました。花が豪華な房状になるものはフサフジウツギという外来の園芸化されたものとされますが、これが野生化したという話もあってかなり紛らわしい種です。今回見かけたものは多少花付がよい個体もありましたが、概して質素な感じで昔見覚えのある雰囲気でした。河原など荒地が好きでひとり株立ちになっている個体があちこちにありました。簡単には入り込めないような深山のガレ場に生育しているものですから、帰化した種とも思えません。
比較的花つきのいい個体ですが、ブッドレアというフサフジウツギに比べても見劣りのする花付です。とはいっても藤色の花管は注目を引きます。こういう株(2~3m)が河原に群生している箇所がいくつか見られました。あいにくの雨でくすんで見えましたが・・・。
細長い筒状の花がびっしりとついています。花弁は5枚です。分類的には新しいAPG分類体系では消えてしまうのですが、フジウツギ科を構成する基本種です。日本には数種あるそうです。また、新潟県内での採集記録は妙高など県南に数ヶ所ありました。
新潟と吸通な種も散見されます。ナンバンハコベは新潟県内では多くはないのですがまれに各所で見られます。同じ種ですが南信州では比較的普通に生育していると見えてわずかな移動期間で何か所か目撃しています。つる性でよく分岐しますからいろいろなものに絡みつくといった生態をしています。花は幾分大型で「ハコベ」といわれるとなるほどという感じです。実際はハコベ属ではなくマンテマ属になるそうです。
ムラサキ科の花とはすぐにわかりましたから車を止めて小さな涯に登り花を観察しました。ムラサキ科の花の多くはもうすでに花は終わっているはずですが、幸運にもこの株は今が真っ盛りの花の時期。ヨーロッパのワスレナグサを幾分大型にした種です。本州中部と北海道の山地に自生する在来種。なかなかお目にかかれる種ではなさそうで、これも幸運によるものです。わずか一ケ所で見た限りでほかの自生は気づきませんでした。