栂池のゴンドラ山頂駅の前の草原にヒトツバヨモギの大株が目に留まりました。山地帯から亜高山帯に多くみられる日本海側に分布する種とされています。葉を見る限りヨモギの仲間にみえないかもしれませんがくも毛がたくさんありますからヨモギの雰囲気は出ています。
花はまだ咲かない段階で若い花序がでていました。花序を見ればヨモギの仲間と納得できる方も多いでしょう。ヨモギの仲間の花は鑑賞するような代物ではありませんから、ついつい観察もおろそかになってしまいます。個の花序が次にどうなっていくのか描けません・・。この次の機会には花の微細な構造にも気を付けて観察することにします。
平地にあるコウゾリナの高山種として扱われます。草丈が小さい程度かと考えていましたが、触ってもそれほどごわつかないのに驚きです。別種扱い咲いてもいい種だと納得です。コウゾリナは里山の道路わきに群生していますが、ミヤマコウゾリナの方は栂池自然園の中ではわずかな生育しか確認できずほとんど見かけませんでした。
分かるようで分からないせり科の花。普段見慣れているシラネセンキュウとはどこか違う印象を持って写真を撮り持ち帰って調べ、結論はやはりシラネセンキュウに収まりました。決め手は小葉片の様子。高山帯に来ると先入観が先にあって違うものに見えてしまうのでしょうか。それとも、わずかな変異がありそれが理由でそう見えてしまうのでしょうか。本種については基本的な形質がまだしっかり頭に入っていないせいか、見るたびに揺らいでしまう傾向があります。
タニウツギです。ここに生育するタニウツギは里山で見るものとの差異を感じません。エンレイソウと同じく里山との共通種で栂池自然園と越後の里山の類似性を考えるヒントになります。珍しいものも重要ですが、普遍的にあるものもそれなりに注視していく必要があります。
ショウジョウバカマも分布が広い種ですが、こちらは変異が多くあるように感じます。それぞれの地域に個性的な雰囲気を持った種があるようです。栂池で見たショウジョウバカマは里山の種に比べ幾分小型で花の色は紫色が強いようです。
エンレイソウは高山の花というより低地や里山の花の印象が強いのですが、栂池自然園にもかなりの個体が見られました。垂直分布の広い種ということになります。エンレイソウは個体変異も多くく各地に独特な形質を持った種があるようでそれらを集めておられるマニアもいると聞きます。
栂池の個体は花は濃紫色で里山で見かけるものによく似ています。有毒植物扱いですが薬草としても利用されるとのこと。延齢草の名前は薬効の方に注目した名づけなのでしょう。成長の遅い種だそうですから、里山にある種も整備という名で花をつけた個体をむやみに刈り取るような行為は慎まなければなりません。
ワタスゲ湿地から浮島湿原に渡るところに楠川が流れ込んでいます。この河原でタカネスイバを見つけました。里地にあるスイバとよく似た種で、高所に自生する種ということでタカネスイバと名が付いているくらいの認識で、直接この種と向き合った時どこがどう異なるのかが見えません。なんとなく・・で、花の付き方が貧弱で葉の形が少しおかしい・・・くらいのものでした。
スイバは雑草として身の回りにたくさんあったものですが、ふと気づくとその雑草ですら今は見当たらないのです。外来種に押されて生育できないようなかんじなのですが、それでも少し山手に行くとスイバもたくさんありました。タカネスイバの葉が普通のスイバに比べとても幅広だということが分かりました。耳部もかなり浅くかなり違います。