外国産の高山種もいくつかあって、開花しているものは少ないのですがそのうちの一つが「プリムラ・シネンシス」。中国雲南省のサクラソウです。この種をもとに多くの園芸種が作出されたとあります。確かに、園芸店で見る鉢物のプリムラ類に共通するものを感じます。
名板に「ケショウザクラ」という表記。日本のサクラソウに近い種でこれも雲南省に自生している種だそうです。大きさは日本のサクラソウを一回り大きくしたサイズです。ところで、在来のサクラソウはこの季節花は見られないのが普通ですが、ガラスハウス内に植栽展示されているとはいえ気候は初冬。雲南省産のプリムラ類は花がよくついています。なぜなのでしょうか?
富山県中央植物園の「高山絶滅危惧植物室」の一角の展示ですからそれなりの意味があってのこと。とはいえわたしにこのノハラワスレナグサがどういう位置づけなのか迷いました。花のない季節ですから花が咲いている個体はそれだけで存在の意味は十分あります。しかし、この種はときおり空き地や土手などで見かける帰化植物か植栽していたワスレナグサの逸出の個体と同じように思えるのですが・・。ヨーロッパ原産の種のはずです。高山種という意味でここに展示されていると理解しました。
小笠原諸島の固有種でシソ科の多年草。生育している地域が限定的でノヤギの食害や生育地の土砂崩壊で激減している種だそうです。自生地での個体は300株ほどという超一級の貴重な種です。絶滅危惧IA類(CR)(環境省レッドリスト)になっています。「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」で国内希少野生動植物種に指定(環境省)されたため、自然状態で安定的して存続できる状態にために国(環境省、農水省、国交省)の「シマカコソウ保護増殖事業計画」といのができているのだそうです。
花は11月から1月にかけて咲く種なので私が訪れた時がちょうど花の季節。周辺に植栽されているものの多くが冬枯れの状態なのにこの一角だけが異彩を放っていました。絶滅危惧種ではあるものここでは生育は順調なように見えます。花付きの良い株が育っていました。各地の植物園などに分散育種して種の保存を図っているケースがありますが、シマカコソウもその対象のものかもしれません。増殖がうまくいき現地に戻されるような状態になることを期待しています。
冬咲きの種のようで枯れたものが多い中でこの種だけは輝いています。九州のトカラ(吐喝喇)列島と屋久島に自生しているのだそうです。サツマノギクの変種となっていますが、残念ながらどこがどう異なるのかの知識がありません。キク属の一種で海岸の岩場などに生活するため綿毛が目立ちます。花は個体のわりに大きな感じで見ごたえのある野生のキクです。環境省の純絶滅危惧種に指定されています。
野菊といわれるものは実に多くの種があります。ヨメナやノコンギク、リュウノウギクなど。ヒメジョオンなども入れるならかなりの数になってしまいますが、「キク属」となるときわめて限定されます。キク属の葉は野菊の中では群を抜いて凛々しい感じがするのですが・・。
ベンケイソウの仲間がいくつか展示してありました。花筒を伸ばし開花した個体も見られました。普段見ることが難しい種で興味深く観察することができました。やや花は枯れかかっていて新鮮な状態ではないのですが、岩や礫で荒地を再現した場所にうまく適応しています。およそ植物が生育しないだろうと思われる場所に生きている種です。それだけに個体数は多くなく絶滅危惧種の仲間入りになるのでしょう。
多肉植物として鉢植えなどでも見かけることが合うようですが、コモチレンゲの自生は北海道の海岸の岩場なのだそうです。ランナーがでて小さな植物体が沢山出来るために「コモチ」という名があるようです。花序が伸びていて花が咲いた跡がありましたから、失敬して接写しました。花弁も枯れて、果実もよくわからない写真になってしまいましたが、ここには「ムカゴ」のようなものは存在していません。
花序がないときのツメレンゲとはまるで印象が違います。多肉植物として小さな鉢に収まっている姿に比べ、その何倍にもなった姿が忘れられません。自然界でいまだこういう姿を見た経験がないのが残念です。新潟県内に自生地があるのかどうか?あるのなら教えていただきたいところです。