名前のように古くなると茎は黒ずんできますが極端に黒くなることはありません。いろいろな樹木に絡んで覆いつくすのですが、場所によってはオオシラビソなど大木を覆いつくすこともあるのだそうです。雪国新潟の山地で見る姿は低木に絡まって上より横に広がる姿です。
赤く色づくのは葉ではなく果実でした。翼果と呼ばれる対になった翼を持つ果実が何とも言えない美しさで輝いています。何度もカラコギカエデは見ていますが、こんなに輝く姿を見たことがないのが情けない話でまだまだ知らないことが多いとつくづく思います。自然の懐の深さにますます頭が下がります。
カラコギカエデは湿地を好むカエデです。湿地にみられるカエデ属ならまずこの種であると考えても間違えではないと思います。葉も赤く紅葉しなかなか美しいのですが、晩夏から初秋の翼果の姿が大いに気に入りました。
琵琶池の隣に一の沼という小さな湿地があります。その水際にエゾリンドウが綺麗な花を咲かせていました。花の大きさや株の大きさなどからエゾリンドウと考えていますが、これ以降志賀高原の各所でエゾリンドウに出会うのですが様々なタイプがあって混乱の始まりでした。
実は亜高山にはオヤマノリンドウという種がありエゾリンドウとの違いの一つが花の付き方です。上部の葉腋にのみ花がつくのがオヤマノリンドウで数段下から花がつくのがエゾリンドウとするのが一般的です。したがってこの個体は数段下の葉腋から花が見られますからエゾリンドウと考えます。
かつて巻機山で見たオヤマノリンドウは全体に華奢で草丈は低く葉なども細く花は開かず頂部にのみ花をつけるというものですが、志賀高原の個体には大きさや開花の様子はエゾでも花の付き方がオヤマというものがかなり頻繁にみられました。この群落は田ノ浦湿原周辺で見たものです。
一ノ瀬のスキー場で見たエゾリンドウの群落です。この場所の形質はほとんど典型的なエゾリンドウタイプでわずかにオヤマノリンドウタイプのものが混在していました。ただし、花付きという点だけで大きさはかなり大きな個体です。
全体に華奢で花も固くオヤマノリンドウとしてもよさそうな個体でした。しかし、志賀高原を歩いていてオヤマノリンドウがポツンとあるのもおかしなもので、このエリアにはさまざまに変異をしている個体が存在していると考え一つのタイプとして理解したほうが自然な気がします。