アザミの仲間はとても難しいグループで学べば学ぶほど分からなくなるところがあります。それでもなんとなくわかるアザミもあって難しいアザミにも挑戦しようと思うきっかけになっています。このノハラアザミものそういうなんとなくわかるアザミの一つです。花は夏から秋に咲き総苞はノアザミと異なり粘らない性質があります。
葉は花時にも根生葉が残り切れ込みのある葉になっています。棘はありますがあまり気にならない種です。新潟県内ではノハラアザミを確認した記憶がないのですが、かなり広く分布しているアザミということになっています。経験的に県外の高原で出会う機会が多くあります。
初秋の志賀高原を散策しました。一の沼から琵琶池に移動したときに20mもない至近距離でツキノワグマと鉢合わせ。一瞬お互い固まってにらみ合いが続きました。さてどうしよう?戦う武器を持ち合わせていませんから彼が向かってきたらどうやって戦うかということを考えをめぐらします。ふとNHKの放送にあった「ヒグマを叱る男」の映像を思い出していざとなったら大声で叱りつけてやろうかなどと思い浮かべながら彼の動きを注視していました。不思議と恐怖心は沸きません。数秒間にらみ合ったあと大声で叱りつけることもなくクマのほうから林のほうに立ち去っていきました。
長い間クマに出会っても不思議ではないところを歩き回ってきました。北海道の知床では新鮮なサケの食い跡を横目で見ながら沢歩きをしたこともあります。秋山郷ではクマの寝た跡だという痕跡を見ながら散策をしたこともあります。それなのにクマに遭遇しなかったのは縁がなかったのか運がよかったのか・・。とにかく初めての出会いです。彼が立ち去って終わりでは話にもなりませんから、カメラを取り出して刺激をしないように彼を追いカメラに収めました。子熊ではなく大きな成獣でもなく独り立ちしたばかりの若い個体という印象です。林の中に舗装された散策道が伸びていましたが私の気配を感じ振り返りながら奥へ去っていきました。
遭遇した場所です。琵琶池の湖畔に建っていた家でこの辺りで何やら物色していたようです。山奥から人の住むエリアに出てくるのはエサが山にないからではないと思います。人里に近いところのほうが簡単にエサにありつけるためだと思っています。若い個体ならなおさら一度簡単なことを覚えてしまうとそれが習慣になり頻繁に人里に出てくるのではと考えています。いずれ人との決定的な軋轢が生じたときに殺処分されるような運命になるような気がします。クマを捕獲し思い切り脅して虐めて「人は怖い」という学習をさせて山に戻すということを行っている軽井沢のピッキオの取り組みを思い出しました。
全国の山野の日陰に普通にみられるミズタマソウです。どこにでもあるのですが取り上げたことがほとんどないようなので紹介します。花の咲いていてもよい季節でしたが、この場所のミズタマソウはほぼ花が終わっているようでした。
ミズタマソウはアカバナ科の一種です。多くは子房下位という作りで花の下部に将来の果実をもって花を咲かせます。花が終わると落下し果実の部分があらわになります。花は小さく目立たないのですが、果実に水滴がつくとなかなか風情のある状態になります。ミズタマソウという名前が実にぴったりで良い名前です。果実の表面にはかぎのようになった硬い毛がたくさん見られます。熟すといわゆる「引っ付き虫」になります。
海岸の崖にはラセイタソウが旺盛に茂っています。大小さまざまですが大きな個体は150㎝くらいあります。豪壮なイメージがあるイラクサ科のカラムシ属に分類される多年草です。厚みのある葉はしわが多い雰囲気。細かな毛がたくさんあります。
イラクサ科の種は雌雄同株でも花序は別々で上部に雌花の花序下部に雄花の花序を付けます。風媒花なら雄花が上部にあるのが合理的なように思えますが、イラクサの仲間は逆を行っています。このあたりが面白いところ。
茎の下部には細長い雄花の花序がたくさん見られます。この個体は雄性先熟のようで雌花のめしべがはっきりしているのに対して雄花のほうはしべがはっきりと確認できません。すでに落ちてしまっているように見えました。