糸魚川の海岸にはアオツヅラフジと同属のツヅラフジも見られました。新潟県内では富山県よりの糸魚川地域にみられる種でかなり珍しい種です。アオツヅラフジと似た形質を持ちますが葉はかなり丸く葉柄が長いのが大きな特徴でしょうか。花は見られませんでしたがすでに終わっていて雌株なら果実があってもよいのですが歩いた範囲では出会えませんでした。
新潟から石川県の北陸地域にみられるホクロクトウヒレンが見られました。花期が9月ですから残念ながら花を見ることはできません。以前弥彦山塊で初めて知って以来花を気にしているのですがなかなか花のタイミングが合いません。意図的に時期を合わせるように出向かなければならないようです。
花はまだですがつぼみの段階の様子を観ることができました。トウヒレンの仲間は変異が多く地域の種が次々に発表されていてなかなか詳細を把握することができません。とはいえトウヒレン属の花はだいたいのイメージは似ていますからホクロクトウヒレンもその範囲だと思います。花弁のない筒状花と総苞片が目立つ頭状花を付けます。
8月下旬、糸魚川の海岸を散策したときに絶滅危惧種のエチゴトラノオに出会いました。日本海側の海岸沿いに東北から北陸辺りまで見られるらしいのですが、個体数は絶対的に少なく貴重な種です。柏崎近辺では確認したことがありますが、糸魚川の海岸でも生育していることがわかりました。
エチゴトラノオが生育する場所は簡単には近づけない海岸の崖ですからと気に危険な思いをしないとまともな写真が手に入らないことがあります。運よく手近な場所で花がありましたので心置きなく見ることができました。
エチゴトラノオは以前はゴマノハグサ科のルリトラノオ属に分類されていましたが、APG分類ではオオバコ科ルリトラノオ属になっています。ゴマノハグサ科はなくなったわけではありませんが、いくつかの属が移動した形になっています。果実の先端に長いめしべが残存しています。
沢を横切る散策路周辺にいろいろな種が見られました。その中でつぼみ状態のオクトリカブトも見られました。もう少したつと青い花で彩られるのですが、まだ夏から秋への移行期間です。味気ないのですが、つぼみも成長段階の一つでしっかりと観察しなければなりません。トリカブトの仲間は識別が難しいのですが、葉の切れ込みが深くなく全体に丸みがあるところからオクトリカブトにしました。
別名トウギボウシともいうようです。里山ではとうに花は終わっているのですが、野反湖周辺ではコバギボウシと一緒に咲いているという景観を作ります。高海抜に来ると春と夏がほぼ同じにやってくるのでこんなことが起こります。