春の三国山を登ってみました。残雪はなかったもののまだカタクリの葉が生き生きとしているタイミングです。新潟と群馬の県境に鎮座する1636mの山です。三国峠はかつて越後と上州を結ぶ三国街道の要所で著名な人がここを歩いた記録が残されています。尾根筋に行くと鮮やかなムラサキヤシオの花が満開であたりを照らしているようにみえます。ヤシオと付く名のツツジは3種ほどありますが、新潟でも見られる唯一の種です。樹形も小型で尾根筋ではベニサラサドウダンやコメツツジと混在しています。
例えば草津の高原ではムラサキヤシオとミツバツツジが混在しています。それにアズマシャクナゲも見られますから似たような色彩の花があるれているのですが、三国山はミツバツツジの花は気づきません。しかし、近くにはユキグニミツバツツジという種が自生していますからどこかにあるのではと思います。
花が終わったミヤマカタバミです。本種は新潟県内では幾分山地のスギ植林地を含む雑木林などに広く見られます。深山に自生するコミヤマカタバミとは棲み分けしているように感じます。これは国上山山麓で見たものですがこの山域にも比較的普通に見られるものです。
今回気になったのは果実の様子です。ミヤマカタバミは雪解け後すぐに開花結実します。花の時期が終わると閉鎖花を盛んに作るという話を聞いたことがあります。6月初旬の果実はこの閉鎖花の果実ではないかという意識で観てみました。果実にはめしべの跡がありませんから開放花の果実ではなく閉鎖花の花実と考えました。
マンネングサの仲間で極身近に見られます。一見帰化種のようですが在来種として考えられていて日本全土で見られるようです。帰化種のツルマンネングサが裸地化したような場所に大繁茂しているのに比べ、コモチマンネングサはあまり生育の条件の悪そうな場所にどちらかというと控えめに生育している感じであまり人に嫌われていないようです。
ヒトツボクロを探しに行くついでにハナビラタケが出ているというので後をついていきました。栽培されたものを見たことはあっても自生している姿はありませんから、個人的にはヒトツボクロ以上に興味を持っていました。アカマツの林に行くのかと思いきやたどり着いたのはスギ林の外れで雑木林に変わろうとする当たり。意表を突かれましたがたしかに白い塊が地上にこんもりとあります。大きい塊は40cmほどでもう一つ20cmほどの塊もありました。近くにはカラマツの大木がありましたからおそらくこの樹と関係があるのだろうと類推しました。不規則なしわの構造で出来ていて弾力があるものでした。
途中カキノキの葉に似た低木に出会いました。シラキです。新潟県内ではシラキはこの当たりでないと出会えない種ですから馴染みの少ないものです。一瞬何かと戸惑いましたが、いろいろ思いめぐらしてシラキに辿り着きました。いまだに花や果実をしっかりと記録したことがなくまた紅葉の状態も確認していない近くて遠い存在です。(県内の分布は他に佐渡と笹川流れ沿いに採集記録があります)
昨年弥彦山塊でヒトツボクロを見つけました。その時は4月の中頃で葉一枚の時期。地元の山野草の好きな方に教えてあげたのですが、とても興味を示されその後の開花記録を残されました。そして、今年もまた花が咲いたのでぜひ見に来てほしいと催促されましたのでなんとか時間を作って駆け付けました。ヒトツボクロはラン科の多年草。地味な花の持ち主ですが葉がとてもユニークで一度見たら忘れないような存在感があります。かなり貴重種で新潟県内でもランをよく調べておられたTさんの資料によると佐渡と県の北半分を中心に十数か所の記録がありました。全県をくまなくといっていいほど歩かれた人ですから、その数の少なさからも貴重な種であることがわかります。
最初見つけたところは大体記憶していましたが、道案内人がいなければなかなかたどり着けなかったかもしれません。多年草だから毎年同じところに出てくるt思いますが、そういう個体もあるのですが次の年全く顔を出さないものもあるそうです。その代わり昨年なかった場所に出現したりするとその方がおっしゃっておられました
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