森の案内人 田所清

自然観察「独り言」

アリアケスミレ

2021年06月09日 | 自然観察日記

深い渓谷の中でも所々広い場所があり集落が点在しています。その右岸では最奥に当たるのでしょうか温泉施設もあって観光スポットにする意図があったようです。残念ながら志を継がれた方がおられないのでしょう放置された田畑ともつかぬまた雑木林でもなく草地が広がっていました。その中に野芝の生えるなかに細々と生きているアリアケスミレをみつけました。アリアケスミレは低地の比較的湿った田畑の土手などによく見られるものですが、この山奥で出会うことの驚きと必死で生きているという姿に哀れを感じた次第です。


アリアケスミレの花

2021年06月09日 | 自然観察日記

付近には同じものは見当たらず唯一花を咲かせている個体であり唯一の花でした。この種は人とのかかわりが必要な種のように思います。農地などの付近には元気よく生育しているのですが放置された環境ではどんどん衰退していくようです。


ヒツジグサ

2021年06月08日 | 自然観察日記

丘陵公園の花湿地には展示用としてヒツジグサが植栽されヒツジグ。すでに開花が始まっていて例年になく早い開花です。ヒツジグサという名前の由来は「未の刻」に開花することからといわれています。未の刻は今でいう午後2時になります。


ヒツジグサの花

2021年06月08日 | 自然観察日記

実はこの時期は開花は午前中から始まりお昼の12時ころにはほぼ出そうろう感じになります。なぜそういうことになるのか分かりませんが夏の8月ころは確かに開花は2時ころになっています。気温(水温)の関係ではなさそうで、おそらく光の周期が関係しているのでは推測していますが納得いく説明ができません。5月6月は長日期間、7月8月は短日期間に入っていきます。開花タイミングのスイッチを入れる仕組みを研究すると面白いことがわかるかもしれません。


ヒツジグサの葉

2021年06月08日 | 自然観察日記

ヒツジグサは日本のスイレンです。尾瀬などに見られる水草ですから山野草の好きな方はよくご存じだと思います。公園の池などに外来のスイレンを入れて大繁茂している光景をよく見ます。在来の水草が生育できないくらいの繁茂ぶりでかなり困っているところも多いようです。しかし、ヒツジグサが大繁茂して困ったという話を聞きません。在来の種は大人し目です。しかし、アサザと一緒にすると生育を抑制するようでアサザはあまり生育できません。中央の切れ込みが入った葉がヒツジグサでその奥の葉がアサザです。ほかの場所ではアサザの葉が水面を埋め尽くしているのにこの場所はこのように水面が広々と広がっています。


アサザの花

2021年06月08日 | 自然観察日記

丘陵公園の花湿地の売り物の一つがこのアサザです。いくつかの池を覆いつくすように咲く黄色い花はあまり他では見ることのできない景観です。このアサザも5月6月は午後になっても時に夕方近くになってもまだ開花していることがあります。普通は6月後半から咲く習性があるのですが温暖化のせいでしょうか開花は早くなってきています。また、朝は気温が上がる8時9時ころから開花してきますが日中の気温があまり上がらないと午後の遅くまで花が見られるという感じです。したがって、ヒツジグサとアサザが一緒に見られるという面白い現象が6月の上旬・中旬に見られます。夏の暑いころはアサザは午前中の開花で終了し午後はしぼんでしまうからです。アサザがしぼんでヒツジグサが開花するというのが夏の景観になります。


オヘビイチゴの群落

2021年06月07日 | 自然観察日記

一塊の黄色い花はオヘビイチゴです。丘陵公園の花湿地の一角に姿を見せました。田んぼなどのあぜ道に見られるといわれていたものですが最近は農薬や仮払いでなかなか見ることができなくなってきています。そういう行為を全く行っていない丘陵公園の湿地環境ですから伸び伸びと生育しているように見えます。


オヘビイチゴの花

2021年06月07日 | 自然観察日記

バラ科キジムシロ属の花はどの種もよく似ていて花だけ見ていては区別がつかないことが良くあります。果実もヘビイチゴという名前が付いていますがイチゴ状果ではなく痩果(そうか)で乾いた状態の果実です。


オヘビイチゴの葉

2021年06月07日 | 自然観察日記

葉は普通5枚でまれに7枚の小葉でできていますから、ここを見ることで多種と区別することができます。里山に多いのはミツバツチグリで花はよく似ていますが葉が3枚と5枚ですから区別は容易です。


ヒメコウゾ

2021年06月06日 | 自然観察日記
ヒメコウゾは株立ちになる低木です。クワ科の種で越後の里山には普通にみられるものです。花が咲いている時期で花を観察するにはちょうど良いタイミングでした。

ヒメコウゾの花

2021年06月06日 | 自然観察日記
ヒメコウゾは雌雄同株で雄花と雌花が分かれて付きます。先の方にあるものが雌花で長いめしべがたくさん見られます。基部についている大きめの塊が雄花で葯が白く見えます。果実は赤く熟し甘いのですがこのめしべが固く残っているので口当たりがとても悪く口の中がイガイガになってしまいます。

ヒメコウゾの葉

2021年06月06日 | 自然観察日記
クワの葉と比較的よく似ていて時には間違えそうになってしまいます。しかし葉脈が隣の葉脈に合流するしないで差があり、ヒメコウゾは合流する葉でやマグワは合流しません。ちなみに紙をすくのに利用されるコウゾはヒメコウゾとカジノキの雑種とされます。