高木がまばらに立つ明るい草原という風情です。一見して特別目を引くようなものがありませんから目を凝らして樹の木陰やノシバの中などを物色しました。そこで見つけたのがこのカナビキソウです。花も葉も小さくあるいは細くとても見つけにくいものそこは野草ハンターです、しっかり見つけ出して観察することができました。
カナビキソウはビャクダン科の半寄生多年草とされます。全国的に明るい草原に見られるものとされますが私はこれが初めての出会いです。図鑑では見ていましたが実物を観る初めてですから大いに感激をしました。花は3枚の苞葉を伴います。短い2枚の苞葉は小苞葉といい長い1枚を大苞葉としているようです。とにかく変わった造りをしていることがわかりました。
垂れ下がる枝には花が付いていて少しタイミングは遅かったものの、カラマツの綺麗な色がまだ残っていました。松ぼっくり状のものは雌花の集合体で、もっと早い段階だとそれぞれの鱗片が外側に開いていてめしべの先が見えるはずです。下に付いている褐色の塊は雄花の枯れたものです。どこにでもあるカラマツですがなかなか花には気づかなくて見逃してしまうことが多いのです。個人的にはとても好きな造形で美しいなぁと感じてしまいます。
コロナが収まっていない中での出歩きはやや気が引けるのですが、調べたいこともあり動かざるを得ないことがあります。長野県との県境に信濃川に名前を変える千曲川に注ぐ志久見川という支流があります。この支流沿いをいったところに北野天満宮という社があるのですがこの辺りに長野県栄村の植物を集めようとされた方がおられました。すでに故人でその後がどうなったのか知りたくて見に行きました。手がけられ比較的短い期間で亡くなられてしまいましたから、ほとんど形になっていませんしかなり荒れていました。
天満宮社の川向に自然湧水がありとうとうと湧き出ていますが、それを六角堂のような建物で覆い保存しているようです。中に入ることはできず窓から覗くという体で自然湧水を見ることができました。