毎年失敗していたインゲンの栽培だった。しかし、和宮様が好きな野菜だったのでダメもとで栽培し始めたのだった。やはり今年も葉が褐色になり落葉してしまう。正直、あきらめていた夏の終わり、ちろちろと実ができ始めてきたではないか。葉は相変わらず茶褐色だったが、秋になったらどんどん順調に収穫できた。和宮様も好きなインゲンの天ぷらに腕を振るうこともできた。初めてのことだった。
寒さがじわじわと感じ入る晩秋の今、そんなインゲンもいよいよ大団円となる。葉はほとんど残っていない。霜が降りる前にインゲンの片づけをしようとしたら立派なインゲンができていた。ありがたいと手を合わせて最後の収穫となった。ツルなしのインゲンよりツルありのインゲンのほうが収穫期が長いというがその通りだった。
紀元前5000~4000年前から南北アメリカで栽培されていたインゲンは、16世紀ごろコロンブスが欧州に持ち帰った。それが回りまわって中国出身の帰化僧・隠元さんのおかげで17世紀以降日本に定着した。なんというダイナミックな循環なのだろう。