毎年、ギンナンを採らせていただいているイチョウが、黄色い絨毯を見事に敷いてくれた。ここは近隣の通行の要となっている。ほとんどはここを車で通過してしまう。自然豊かな中山間地のわりには歩く人はあまり見かけない。わが家もつい車で通過してしまい、ときどき歩くことにしている。
ギンナンも落ち始めているはずだが、落葉のおかげでよく見えない。それにしてもまもなく、ここを車が往来するとこの鮮やかな絨毯に二本の轍ができてしまう。あと数日したらこの絨毯は分断されることになる。つまり、ゴミ状態になってしまう。スピードを出すとすべってしまい危険ですらある。
わが家の裏の畑には大きな「ホウノキ」が鎮座している。この落葉を集めて堆肥にしている。落葉する前にホウバ味噌用の葉を確保しようとするがいつも時期を逃してしまう。成長が早く大木になってしまうので畑がその陰になってしまうのが残念なところだ。しかしこの落葉の上をかさかさと歩くのが快感でもある。都会ではまず経験できないばかりではなく近隣からのパッシングにあってしまうのは間違いない。都会にいると落ち葉を観たり踏んだりする喜びを感じる余裕を捨ててしまった。
イチョウやホウノキらは落葉することで自らの肥料を自前で生み出すとともに、寒さに耐えることによって新たな「生」を生み出していく。その自立の姿は都会では公園や寺院しか見られず、まさに過疎地でこそ輝いているのではないか。