掘り炬燵で暖をとっていたら、上からスルスルと何かが落ちてきた。すぐにそれは蜘蛛だとわかった。というのもときどき小さな蜘蛛が天井からおりてくることがあったからだ。しかし、大きな蜘蛛は初めてだった。模様に赤い色があったのでそれはジョロウグモであることがわかった。蜘蛛は益虫なのでそのままにしていたら、次は台所にも降りてきた。同じ蜘蛛が移動したのだろうか。わが家にはタランチュラのようなでっかいアシダカグモが居候しているが、上から降臨するとはうかつだった。わが家はそんなに獲物がいるのだろうか。いるんだなー、確かに。いよいよ蜘蛛屋敷になり果てるのか。

ジョロウグモの名前の由来は、派手な模様ということだった。これには二つの説がある。ひとつは遊郭女性、もう一つは大奥の高級女官の「上臈」、の派手さということだ。模様の上品さからは上臈か、いや花魁のことか。
大きさがメスの三分の一しかないオスは、カマキリじゃないけどメスに食べられないよう慎重に交尾の機会をうかがう。オスの交尾も命がけなのだ。
しかし、ジョロウグモが目の前で突然スルスルと降臨したときはドキッとする。そのスピードが意外に早い。昆虫食では、ジョロウグモは素揚げの天ぷらがうまいという。台所に出てくるんなら食っちゃうぞ!!