山里に生きる道草日記

過密な「まち」から過疎の村に不時着し、そのまま住み込んでしまった、たそがれ武兵衛と好女・皇女!?和宮様とのあたふた日記

わが建具と近代建築との関係は?

2019-11-10 20:51:00 | 読書

 オイラの民家内部もかなりレトロなものになっている。しかしいつごろの意匠のものなのかがわからない。建築構造の解説本も多い古民家だが、近代の建具のデザインを紹介している図書にはまだ出会っていない。そこで、まずは『図説・近代建築の系譜』(共著=大川三雄・川向正人・初田亨・吉田鋼市、彰国社、1997.6.)を読んでみた。図説というので手書きの図を思い描いていたが写真ばかりだったのが残念。

           

 日本と世界の各時代の建築分析は4人の深く端的な解説が光る。しかし、まさに手に余る専門書を読むような難解さにあきらめかけたが、きのこ仲間の気鋭の建築家の顔がしばしば浮かんできたのでなんとか読みきることができた。

 明治以降、日本が西洋建築を短期間で即応できたのは、比較文明学者・梅棹忠雄氏が指摘していたように近代を担う土台・技術が日本にあったということと一致する。

           

 できれば、図説のデザインがモダニズムや歴史主義建築の特徴がこの部分であるというコメントが素人としてはほしいが、それをやるには倍以上のページを裂かなければならないだろう。あらためて、建築とは哲学と生活との総合芸術であることを思い知った。

           

 読み始めた動機はわが家のレトロな建具などがいつの時代のデザインだったのかを知りたかったのだが、本書はまさに教科書であってそのディティールはまさに専門書を見なければならないようだ。そうした分野の手ごろな入門書はやはり見当たらない。近所のガラス戸にも現在では見られないレトロなデザインが散見できる。

 そういえば、戦前ドイツの前衛的な美術学校・バウハウスに興味をもって数十年ほど前、美術館を訪れたことを思いだした。日本からの留学生もいて、帰国後活躍していたようだが、本書にはその活動の記述はなかった。

            

 著作者らに注文するとすれば、自然と建築との融合・共生という項目が欲しかった。建築家というと時代の寵児のような華々しさがあるが、やはり圧倒的に庶民の暮しに心寄せるのが本当ではないか。優秀な著者たちのその生活感覚が欠落している気がしてならないのだ。その点、地域の自然素材の使用・環境との調和・自然との共生・庶民にも手が届く生活感と柔軟性などの観点から、藤森照信氏の果たしている役割が大きいが、そうした視座があまり触れられていないのが残念に思う。これはオイラの独善かもしれないけど。 

 

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