キック・アス
2010年/アメリカ=イギリス
父親からの独立としてのヒーロー像
総合
100点
ストーリー
0点
キャスト
0点
演出
0点
ビジュアル
0点
音楽
0点
最近の‘ヒーローもの’の作品はよりリアルなヒーロー像を描こうとすればするほど、それまで理想としていたヒーロー像から遠ざかりつつあるように見える。
『キック・アス』の主人公であるデイヴ・リゼウスキはあからさまに「何故誰もスーパーヒーローになろうとしないのか?」と疑問を呈し、実在するスーパーヒーローになる決心をする。デイヴは学校で好意を寄せている美少女のケイティには‘男性’としては気持ち悪がられるにも関わらず、‘ゲイ’と認識されると優しい人とみなされる。‘男性’の部分を否定されるデイヴは、さらに酷い暴行を受けた結果、‘無神経’になってしまうのであるが、このことによってキック・アスは強くはないが弱くもないという特異な性格を得ることになる。
他方、デーモン・マクレディは自分を罠に嵌めて彼の妻を自殺に追い込んだフランク・ダミコ率いる犯罪組織を潰すために、自身はビッグ・ダディとなって、娘のミンディ・マクレディをヒット・ガールとして訓練していた。しかしこの父と娘には気持ちに‘温度差’があって、父の復讐心に娘のミンディは仕方なく付き合っているような感じで、防弾チョッキを着て、おとなしく父親の銃撃を胸に受けている。このシーンは父親が怨念を晴らそうとすることが結果的に子供を犠牲にしてしまうという暗示が含まれているのだが、よくよく考えてみるならば、一番弱い立場にいる小さな女の子こそが‘ヒーロー(ヒロイン)’であるべきなのである。
このようなミンディ・マクレディの父親に対する態度と正反対の態度をとる人物が後にレッド・ミストとなり、父親の仕事に拘りたいためにあらゆる手を尽くす、フランク・ダミコの息子のクリス・ダミコである。
一見、ヒーローのように見えるデーモン・マクレディであるが、結局、やっていることはフランク・ダミコと変わらない人殺しである。そして仕方がなく父親の怨念に付き合っていたミンディは父親亡き後に、自己防衛できるだけの能力を備えた‘普通’の小学生になり、父親のことが大好きだったクリスは父親の‘悪’を引き継ぐことになる。そしてその2人に挟まれるような立場にいる‘強くなく’て痛みに耐えられる‘優しい’デイヴが父親から完全に独立した‘究極(=スーパー)’のヒーローとして浮かび上がり、本懐を遂げるのである。
KAGEROU読者は40代女性? 取り次ぎ大手調査(朝日新聞) - goo ニュース
水嶋ヒロ作『KAGEROU』 Amazonレビュー炎上中(R25) - goo ニュース
俳優の水嶋ヒロさんが本名の斎藤智裕名義で書いた作品『KAGEROU』に関して幻冬舎
の見城徹社長が、郷ひろみが1998年に書いた作品『ダディ』と「似た動きをしていて、
話題作りが先行の売り方」とコメントしているが、似ているのは“動き”だけではなく、妻を
ネタにしているところや、お寒いギャグまでそっくりである。Amazonレビューが“炎上”して
いるようであるが、学術書ではなく、正誤が問題となるわけではないのだから、楽しめる人
だけ楽しめば済むことである。ただ昔から小説家というものは内容よりも顔によって
売れ行きが左右されがちであり、例えば辻仁成や島田雅彦などの小説が全く面白くない
にも関わらずそれなりに小説家を続けていられる理由は正に40代あたりの熱心な女性
の読者によってアイドルのようにして支えられているからであって、結局、残る小説を
書くような小説家は松本清張のような“立派な”面構えをした人なのである。