アントニオ・ダス・モルテス
1969年/ブラジル=フランス
やはり善悪は判別できない
総合
80点
ストーリー
0点
キャスト
0点
演出
0点
ビジュアル
0点
音楽
0点
『アントニオ・ダス・モルテス(ポルトガル語の原題:戦う聖者と対決する邪悪なドラゴン)』(1969年)は『黒い神と白い悪魔』(1964年)の‘姉妹編’とされている。‘続編’ではなく‘姉妹編’である理由は、『黒い神と白い悪魔』では脇役であったアントニオ・ダス・モルテスが主役になっているからであるが、それだけではなくこの2作品は複雑に絡み合っている。
冒頭のシーンから『アントニオ・ダス・モルテス』は西部劇を装っているが、その直後、教師が生徒たちにブラジルの歴史を教えているように、あくまでも‘現代劇’である。『黒い神と白い悪魔』では目立たなかった盲目の男が『アントニオ・ダス・モルテス』では町の大地主の陸軍大佐として権力を振るっている。その妻のラウラは夫が盲目であることをいいことに警官のマトスと恋仲になっている。マトスはラウラにそそのかされて大佐の右腕であるバチスタを殺すのであるが、煮え切らないマトスに嫌気がさしたラウラはマトスを刺し殺す。
アントニオ・ダス・モルテスは黒人の司祭と聖バーバラと義賊カンガセイロの一人であるコイラナが率いる集団を弾圧するために大佐に呼ばれ、300コントスの報奨金を600コントスにさせて引き受ける。民衆たちの前でアントニオはコイラナと戦い、コイラナに深手を負わせるが、聖バーバラやプロフェッサーと呼ばれる男に諭される(このプロフェッサーが『黒い神と白い悪魔』ではアントニオの敵だったコリスコ役のオトン・バストスだからややこしい)。
クライマックスで、命を落としたコイラナの剣を取ってアントニオと一緒に戦うことにしたプロフェッサーは大佐が呼び出したマタ・バカが率いる義賊たちを相手に死闘を演じることになる。最後は聖バーバラと一緒の馬に乗った黒人の司祭が放つ矢で一突きされて大佐は絶命してしまう。
ラストシーンは戦いを終えたアントニオがシェル石油の看板の下をとぼとぼと歩いていくことで、観客は現代の中の西部劇であることを認識させられる。やはり冗長なシーンが目立つ。
子の才能わかる?遺伝子検査つき本 専門家は否定的(朝日新聞) - goo ニュース
宝島社が5月に発売した1600円もするムック本「潜在能力がわかる!遺伝子検査」の
実物を見たことがないので、はっきりしたことは言えないのであるが、「どの論文が根拠かや
遺伝子のどの部分を調べているのかが不明」と指摘されているところをみると、どうやら
ムック本には詳細なことは書かれていないようである。さらにそれを検査するところが
中国の政府機関が出資する会社というのも怪しさが増す。ムック本のタイトルも絶妙で
あくまでも“潜在能力”がわかるだけであり、それを開花させられるかどうかはあくまでも
個人の努力ということになるのであるが、仮に開花させたとしても、それが遺伝子のおかげ
なのか、本当に努力の賜物なのか分らないため、結局、検査の結果の正否は分らない。
黒い神と白い悪魔
1964年/ブラジル
神と悪魔は判別できない
総合
80点
ストーリー
0点
キャスト
0点
演出
0点
ビジュアル
0点
音楽
0点
『黒い神と白い悪魔(ポルトガル語の原題:太陽の大地の中の神と悪魔)』はギターの弾き語りを通して物語の粗筋が語られていくという特異な演出のみならず、作品の冒頭で、主人公で貧しい牛飼いのマヌエル・バケイスが飼っていた牛が死んだために、地主の牧場へ行き、金の工面を求めたところ自分の責任にされたために、マヌエルは地主を殺してしまうのであるが、その諍いの最中にいつの間にか場面がマヌエルの家の前に変わっているという大胆(無謀?)な‘ジャンプカット’が使われている。
その際にマヌエルは母を殺されたために、妻のローザを連れて、多数の人々を引き連れていた聖セバスチャンに救済を求める。聖セバスチャンを脅威に感じた地主たちはアントニオ・ダス・モルテスを殺し屋として雇う。
聖セバスチャンを盲信しているマヌエルは彼に言われるままに石を担いで山の斜面の坂道を降りていくような‘修行’をこなしていくが、生け贄として赤ん坊を殺されたローザは聖セバスチャンを刺し殺し、再びマヌエルと逃げることになり、その直後、アントニオ・ダス・モルテスは‘信者たち’を皆殺しにする。
マヌエルとローザは逃げる途中で出逢った、盲目の男の仲介で義賊カンガセイロの長であるコリスコと彼の妻のダダの一味に加わるが、マヌエルが周囲を探索している間にローザとコリスコは密通してしまう。
ラストで4人はアントニオ・ダス・モルテスに見つかってしまい、コリスコは呆気なく殺されてしまう。マヌエルは子供を作って幸せになろうと約束していたローザと必死になって走って逃げるのであるが、何故か最後は転んだローザを置き去りにして一人で走って逃げていってしまう。
ユニークな演出で、その粗さが魅力だとは思うが、マヌエルが石を担いで山の斜面の坂道を降りていくシーンなど意味も無く妙に冗長なシーンがある。この作品はグラウベル・ローシャ監督が1969年に制作した『アントニオ・ダス・モルテス』に繋がる(のか?)。