MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

森法務大臣と「宿敵」の関係について

2020-03-13 00:11:04 | Weblog


(2020年3月12日付毎日新聞朝刊)

 議論がとっ散らかっているので整理してみたい。

 とりあえず3月11日の衆議院法務委員会での山尾志桜里議員の質問から始めてみたい。山尾議員は検察官の定年延長と再任用に関して「解釈」を変えることでできるとした森雅子法務大臣に改めて尋ねている。

「そこでずっとじゃ解釈を変えるに当たっての事情の変化とは何ですか? ということを問われているわけですけれど3月9日の予算委員会の森大臣の答弁を見るとこういうふうにあります。これは小西委員がこう聞いていますね。どのような社会情勢の変化があって検察官に勤務延長が必要になったんでしょうかと。それに対して森大臣が昭和56年当時と比べどのように変化したかということでございます。例えば、東日本大震災のとき検察官は……福島県いわき市から国民が市民が避難していない中で最初に逃げたわけです。そのときに身柄拘束している十数人の方も理由なく釈放して逃げたわけですと。これは事実なのかということと本当に今回の解釈変更に関係しているんですか?」と山尾議員に訊かれた森大臣は

 「事実でございます」と明言し「2点目については私は自然災害が近年頻発しているという例で挙げました。今回ですね解釈変更して勤務延長するという場合に人事院が示した規則の中に三つの例がございますけれども離島等にいる場合というのは一つの例として定められると思いますけれども、このように大規模な災害がある時に大変混乱をしていたんだと思いますけれども、そういう時にですね果たして人数が少ないわけでございますけれども地方の場合にその時に勤務延長を一日たりともどんな場合でもしないということがあり得るのかというふうに私はその当時も思ったわけでございますけれども、そういった例として一つ挙げさせていただきました。」

 山尾議員が検察官が逃げたことが事実なのか再度訊ねると森大臣は

「そのとき政権は民主党政権であったんですが、私が野党議員として国会でも質問をしておりますが、最初に逃げたというふうにおっしゃいましたけれどもどれが最初かという逃げた人はたくさんいると思いますが市民が市民に対して(失礼いたします)市民に避難指示が出されていない時に国家公務員たる検察官が福島地検いわき支部から郡山支部のある方へ移動したそのときに身柄拘束をされていた十数人の方が同時に釈放されたということで当時報道でもあったと思います。」と前半半笑いで答えている。最初に誰が逃げたかなんて誰にも分からないのだから本人が言いながら笑っているのである。

 その後山尾議員は森大臣が3月9日の予算委員会での発言を読みあげる。

「検察官が福島県いわき市から国民が市民が避難していない中で最初に逃げたわけです。その時に身柄拘束をしている十数人の方を理由なく釈放して逃げたわけです」

 この認識が政府見解かを問われた森大臣は

「当時の政府は民主党政権でございましたので私が野党委員として質問した時には答弁は裁判所が移ったので検察庁も移ったというふうにその旨のご答弁があったというふうに承知をしております。私の今ご指摘の予算委員会での言及は当時の個人的な見解でございます。」

 質疑が止められた後に改めて聞かれた森大臣は

「東日本大震災と原発事故当時福島県いわき市の福島地検いわき支部の検察官がいわき市から移動したということについて私が当時民主党政権下であった法務省に国会で質問したところ、との答弁として法務省として検察官が移動したこと身柄拘束をしていた十数人を一度釈放したことについては認められたものでございますが、それについて私が個人的に当時理由なく釈放した、そして検察官が逃げたというふうに感じたことを申し上げたことであり理由なくということと逃げたというところについては個人的見解でございます。」

 舞台は変わって3月11日の参議院予算委員会で石橋通宏議員が改めて森大臣に訊ねている。森大臣はその理由を以下のように述べている。

「私が野党議員として当時の政府に対して質問をした時に平成二十三年十月二十七日の参議院法務委員会において当時の法務大臣、平岡秀夫法務大臣において福島地検いわき支部の移転の状況というのは、この支部管内において死者行方不明者が多数にのぼり建物等にも甚大な被害が及ぶとともに水道などのライフラインも途絶えた状況にあってさらに余震も相次ぐという状況の中でこのいわき支部の支部庁舎に関係者を呼び出して取り調べを行なうということが事実上困難になるというようなことでいわき市内の庁舎での執務執行が大きな支障が生じるようになったということが大きな避難の原因であったというふうに思いますというふうにご答弁なされ避難というふうにご答弁なさったこと、また平成二十三年四月二十六日に当時の江田五月法務大臣が福島地検による被疑者の終局処分をしないままの釈放について大変地域の皆様にもご心配をかけたことを、これは率直にお詫びしなければならぬと思っておりますとの答弁を受けてこれが政府見解であるということと私自身問題意識を持っていたことによるものでした。三月九日参議院予算委員会における私のこの答弁は私の個人的見解を述べたものですが、検察を所管する法務大臣として検察の活動について個人的見解を述べたことは不適切でありました。また個人的見解を個人的見解であるという旨を示すことなく述べたことについても不適切でありました。撤回をさせていただきます。」

 その後、蓮舫議員が、森大臣が二時三十分、小川委員の質問中、与党の理事の許可を得て離席をして化粧室に行っておられますが、その時自らメディアに声掛けをされて寄って行ってぶら下がりに応じており、ここの国会で喋っていない釈明をメディアに対してしているとバラされている。

 とっ散らかった議論をまとめようとしたのだが、こんなに長くなってしまった。しかし元々のテーマは東京高等検察庁の黒川弘務検事長が2月に検事長としての定年63歳を迎えたにもかかわらず、その後も延長したことに関する法的根拠で、森大臣が「解釈変更して勤務延長するという場合に人事院が示した規則の中に三つの例がございますけれども離島等にいる場合というのは一つの例として定められると思いますけれども、このように大規模な災害がある時に大変混乱をしていたんだと思いますけれども、そういう時にですね果たして人数が少ないわけでございますけれども地方の場合にその時に勤務延長を一日たりともどんな場合でもしないということがあり得るのかというふうに私はその当時も思ったわけでございます」という極めて特殊な事例が果たして一般的な定年延長の根拠たりえるのかということであるが吹っ飛んでしまった。

 今後、個人的な見解を吐露してしまった森法務大臣が「宿敵」である検察官と仲良くやっていけるのかどうかが心配になってきた。


gooニュース
https://news.goo.ne.jp/article/sankei/politics/sankei-plt2003110044


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