MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『窮鼠はチーズの夢を見る』

2020-09-22 00:10:59 | goo映画レビュー

原題:『窮鼠はチーズの夢を見る』
監督:行定勲
脚本:堀泉杏
撮影:今井孝博
出演:大倉忠義/成田凌/吉田志織/さとうほなみ/咲妃みゆ/小原徳子/小柳友/国広富之
2020年/日本

「主体性」の欠如の罪について

 主人公でサラリーマンの大伴恭一の人生は言われるがままで、2年付き合った知佳子と何となく結婚したのだが、押しに負けたためなのか井手瑠璃子と不倫の関係にあり、そんな時に興信所の調査員として大学の2年後輩の今ヶ瀬渉が現れるのである。
 その後、大学時代のサークル仲間で交際していた夏生と再会し、恭一と渉の関係を怪しみ、自分が恭一と別れた原因が渉の企みであることを知って、無理やり渉と別れさせたものの、ホテルに行っても恭一は勃起することなくそのまま別れてしまうのである。さらに会社の部下の岡村たまきと婚約するのだが、渉と関係を断つことができず、恭一はたまきと別れることになる。
 流されやすい恭一の性格は罪なもので、芯が強ければどの女性も悲しませる必要はなかったはずで、あるいは人間に興味が無いのかもしれないが、逆に言うならば渉の愛情が強烈だからこそ恭一は愛を知ることができたのかもしれない。
 『オルフェ』(ジャン・コクトー監督 1950年)が引用されているのだが、ゲイの渉が告白してノンケの恭一と寝る直前に渉が見ていたシーンの字幕が「これからすることを理解しようとしないで」というもので、渉の恭一に対するモノローグのように受け取れるし、そもそもジャン・コクトーも主演のジャン・マレーもゲイであり、引用するならばこれくらいの芸を見せてもらいたいと思う。


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