MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『ロストケア』

2023-09-16 00:59:41 | goo映画レビュー

原題:『ロストケア』
監督:前田哲
脚本:前田哲/龍居由佳里
撮影:板倉陽子
出演:松山ケンイチ/長澤まさみ/鈴鹿央士/坂井真紀/戸田菜穂/峯村リエ/加藤菜津/岩谷健司/井上肇/綾戸智恵/梶原善/藤田弓子/柄本明
2023年/日本

複雑化していく「介護」について

 長野県にある訪問介護センター「フォレスト八賀ケアセンター」で訪問介護士として勤めている斯波宗典は相手に親身になってくれるということで評判の良い職員だったのだが、ある日、訪問先の羽村の家で羽村本人と何故かセンター長の団が死んでおり、事件になる。当初は団が借金返済のために合鍵を使って深夜に羽村に家に盗みに入った際に足を踏み外して階段から落ちた転落死と見当づけられたものの、検事の大友秀美が調べていくうちに防犯カメラの映像や勤務シフト表を照らし合わせていくうちに、斯波が42人殺していると自供を始めるのである。
 介護職に就くまでに斯波は脳梗塞で半身不随になった父親の正作の介護を一人でしていたのであるが、アルバイトもできなくなり役所で生活保護の申請をしたものの断られ、認知症も進行していた正作から「お前を忘れる前に殺してくれ」と頼まれた斯波はニコチンの液を注射することで正作を殺し、警察には自然死と認められたためにその後、自分と似たような境遇に置かれている人たちのために介護士として働きながら殺す相手を選別していたのである。それぞれの家族に事情はあるだろうから、斯波を恨む者もいれば密かに感謝している者もいるであろうが、斯波が人を殺していたことにショックを受けて、足立由紀が身を沈めてしまったことに斯波は気づいているだろうか?
 ここで話が終わるならば、斯波に同情することはなかったと思うが、大友秀美が斯波と面会した際に話したことが問題を複雑にしてしまう。大友の両親は離婚しており、母親の加代に育てられたのであるが、大腿骨を骨折してから高齢者介護施設に入居して、最近では認知症も進行していた。そんな時に父親から電話があったものの、大友は電話に出ることもなく無視している内に警察から電話を受け、父親が孤独死していて死後二ヵ月経過していることを知ったのである。
 父親に頼まれて殺した斯波と父親の連絡を無視して父親を死に追いやった大友。手を下すことが殺人であるならば、大友は「上手いことやったな」と思われても仕方がない。斯波は大友と同様に「逃げる」こともできたのだから。
gooニュース
https://news.goo.ne.jp/article/news1242/trend/news1242-426279


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