「肉の菊屋 東向島店」は「いろは通り」に入る手前にある。分店を幾つも持つ「玉の井」界隈の精肉店で近所の人が頻繁に買いに訪れる。肉の他に揚げ物も売っていたのでメンチカツ(120円)とコロッケ(70円)を買い求めた。
お金を渡そうとする私におっちゃんがボソボソと話しかけてきた。最初は何のことか理解できなかったが、「ソースかける?」と聞いていたのである。この大阪のような気遣いはうれしい。ソースを吸い込んだ熱々の揚げ物にかぶりつく。衣はサクサクだ。
しっかり味がついていてこれは飯のおかずになる。肉屋さんの作るメンチやコロッケが一味違うのはいろんな部位を混ぜてひき肉にしているからだろう。カットの際に出る端肉(味は良いが売り物にはならない)を無駄にしないのが「本当のプロ」である。
昔の台湾人は正月用の腸詰を肉屋さんに作ってもらう際に肉の部位と配合割合までを指定したという。日本人も肉についてもう少し勉強した方がよい。極めて悪質な「偽装表示」で食肉業界の信用はガタ落ちであるが、真っ当な仕事をしている業者も多数あることを忘れてはならない。
『騙す方も悪いが、騙される方はもっと愚か』なのである(中国人の有名な台詞)。賢い人は日頃から目と舌を鍛え、適正価格がどれくらいなのか常に調べている。安過ぎるのも高過ぎるのも非常に怪しいのである(笑)