メーカーの販売予定を遥かに上回り、生産が追いつかない事を理由に二度も販売を中止した幻のガム、「オトコ香る。」。
昨年7月10日に販売開始したが生産が追いつかずに販売を一旦中止、8月7日に販売再開するも先の販売中止が過剰な熱を引き起こして再び9月2日に販売休止の発表をするという事態を引き起こした。今年の3月19日に販売を再開。この時点では首都圏のみでの販売であったが、6月4日より我が地元でも発売を開始し、最近は全く普通にコンビニなどで入手できるようになった。
それどころか大量販売を見込んでか店頭に必ず並んでいるので、有難みは全くなくなってしまったな。生産が追いつかなかったのは、この商品自体が別の商品から副産物的に生まれたスキマ商品的な位置づけだったらしく、当初の販売予定個数が極端に少なかったからであるらしい。この大化けガムを販売するクラシエフーズ、6月1日より社名変更した元カネボウフーズである。八月末に購入した「オトコ香る。」には間違いなく「カネボウフーズ」と印刷されていた。それが何を意味するのか・・・? まあいいけど。
このガムは食べた1~2時間後、身体・・・というか皮膚よりローズの香りを発散する事が目的の商品である。要するに華麗臭(敢えて変換ミス)を紛らわせる為の画期的な発明である。なるほど、パッケージは「チョイワル」をイメージするデザインで、中年以上の年齢層の男性をターゲットにしている事を窺わせる。
このガムを購入する俺、中年域の華麗臭を大気放出している可能性が高い事は言うまでも無い。但し、俺自身にはほぼ自覚は無い。
さて、この「オトコ香る。」には重大な欠点がある。
それは、「マズイ」事である。
・・・イヤ、少々言い過ぎた。「美味くない」事である。嗜好品ではなくクスリだという事か。正に良薬口に苦し。
味が薄いんですわ。そして口の中で長持ちしない。すぐに味がなくなるから、コンビニで買ってきても10分後には完食できるね。何かの間違いかと疑って、何故かフーセンのできるこのガムを連発して食った(パッケージには『フーセンガム』との記述は無い)。すると、遠い昔の、どこかで記憶のある味である事を認識した。そしてその後、キシリトールの影響でゲリゲリ・・・。
この「オトコ香る。」、既に販売中止となって久しいロッテの「EVE」を思わせる味がする。
日本のガムの歴史は「ロッテ」が作ったと言っても過言ではない。常に新しい味を提案し、逆に時代の荒波に飲まれて消えていったガムも数多い。
代表的なのはクイッククエンチ、スペアミント・・・。
その中で個人的に最も印象深い商品、それが「EVE」である。
昔から全然変わってない草刈正雄氏が泣かせる当時のCM。(1981年とあるが、俺が良く口にしていたのは1975~1976年頃かと思われる)
たしかこの頃、普通のガムは50円であった。その中で「EVE」は60円だったように記憶している。 ※子供の頃の記憶なので間違っているかも・・・。上のリンクの映像では「70円」と出ているんだが、どうも俺が食べていた頃は60円だったような気がする。まあ他のガムよりも高かった事だけは確かだ。 そもそも包装が他のガムと異なり、箱であった。箱は上部が切られて開閉できる形状・・・つまりポッ○ーのような・・・で、パッケージ色は金色。このパッケージの色が子供の頃から最も金色が好きだった俺の、幼い心を擽った。「セレブ」などという言葉が未だ日本に無い頃、10円分背伸びをしてEVEを買う。それが小学校低学年生であった俺の、ささやかなステータスであったのだ。
検索してみると、実は「EVE」は女性向けに発売されたものらしい。味が似ている「オトコ香る。」が中年男性をターゲットにしているのと対照的だ。当時は女性向けの「EVE」に対して男性向けの「LOB=ロブ」というガムもあったらしいが、こちらは全く記憶が無いな。
もう一つの関連性、それは「オトコ香る」が1つ150円もすることである。個人的な意見だが、どうせならもっと高く設定したら? 200円位かな。それ以上だと誰も買わないだろう。
この系統の味には、何か郷愁を誘うものを持っている。だから多分「オトコ香る。」も文句言いながら買うんだろうなあ。
本当はEVEを再販してくれればいいのだ。意外と市場の評価がメーカーの意図と裏腹にあまり高くなかったのが販売中止の理由のようだが、ファンも多いと思う。実際、一頃は限定復活した事もあったようだ。そして現在も韓国(同社の創業当初より密接な関係がある)では販売されているのだそうだ。