えーと・・・。XLRの純正部品を注文してから1週間以上経つのだが、まだ来ねぇ。バックオーダーだったりすると、運が悪いと坂内2DAYSエンデューロ本番の10月21日にギリギリセーフ位になりかねない。筋金入りアンチホンダの俺は不本意ながら、近年パーツ供給の悪い(と風評のある)ホンダ純正部品をかなり購入しているのだが、今のところ入荷まで1ヶ月掛かった事はない。なので間に合わないって事は無いと思うのだが、現在既にかなりの仕事の予定が・・・。うおーい、早く来い、純正部品よ。
仕方ないので、部品が揃ったら直ぐに組めるように準備を進める。
ガスケット剥がし。この作業、プライベーターが行う場合に最も苦労する作業の一つであるが、俺は全く苦労した事がない。何でかと言うと、常日頃から仕事で似たような事をやっているからなのである。
道具は普通ならばスクレーパーを使用するのだろうが、俺はナンとカッターナイフ一本。オルファの鋭角刃(商品名は『特専黒刃』、特選ではない)を取り付けた中型カッター(コレ自体が少数派)を弓状に撓らせながら削り取るだけ。慣れてない人は面を傷めるのがオチなのでやらないほうが良いかも。殆どの場合はこの作業の後でオイルストーンを掛けてやればOK。カッターで削り取るのが困難な場合は、ある程度ガスケットを剥がした後にスケルトン(塗装剥離剤)を塗ってやればアッサリ剥がれる。
既にエンジン屋さんからバルブガイドを打ち換えたヘッドは帰ってきているので、バルブを摺り合わせる。シートカットはエンジン屋さんでやってもらった。
以前にもこのブログに書いた事があるが、俺はタコ棒を使わない。アッという間に完了。
サブロッカーアームの位置決めの為に入っているウェーブワッシャーを万力で潰してロードを落とし、フリクションロス低減を狙う。
その他、ポートの拡大研磨とかバルブポリッシュとか、やれそうな事は色々あるが、このエンジンではこのまま。大体からしてシリンダーも死んでるし。もしも次回このエンジンを開ける事があれば、スリーブ入れ替えて腰上をME08化するのが面白そうだな。で、実際にそれが可能か?・・・という事でザッと検証してみたところ・・・不可能ではない、といったカンジ。
問題になるのがカムチェーン周りの寸法やレイアウトの違い。タイミングチェーンはXLRよりもMD30の方が細い。フリクションロス低減とコンパクト化の為かな?
写真を見てくだされい。以下の写真は全て右がMD30、左がXLR。
オイルポンプは別にすると、全ての部品がMD30の方がコンパクトにできている。時々話題に上るカムチェーンテンショナーの固着だが、年式によって異なる為か、俺がバラした最初期型のMD30のエンジン2基では固着どころか完全に押し切っていた。ニギニギしてXLRのテンショナーの張力と比べてみたが、感覚的には全く張力の差を感じなかった。オイルポンプの上にあるギヤはオイルポンプのドリブン。歯数が異なるので互換性無し。せめてコレが同じならば、下に説明する作業が楽になりそうなのだが、どの年式の物でもダメ。カムスプロケットについてはまどろっこしくて理解し難いこちらの記事をどーぞ。
タイミングスプロケットはMD30の方が巾が狭い。そしてチェーンラインがエンジンの中央に寄る事となる。以前の記事でカムスプロケットの位置がカムシャフトに対して異なる事は紹介したが、腰上をMD30又はME08にすると必然的にタイミングスプロケットもMD30又はME08用を使用する事となる。
で、MD30はタイミングスプロケットの隣にギヤが二枚。コレは大きい方がプライマリードライブギヤ(一次減速を行う)。小さい方がオイルポンプのドライブギヤ。
対してXLRではギヤが一枚。プライマリードライブギヤがオイルポンプドライブギヤを兼ねている。XLRにはパルスローターも共締めされる。
クランクシャフトのスプライン部分の長さはXLRの方が約2mm長い。感覚的にはパルスローターの厚みの半分くらいの差。プライマリードライブギヤの厚みは同じ。なのでプライマリードライブギヤを二枚用意して、旋盤かフライスで削って厚みを減らしてスペシャルオイルポンプドライブギヤを作れば(治具が必要になるので面倒臭そう。しかも多分、二枚とも削らなければならない)、腰上の載せ換えは可能と思われる。
果たしてそこまで苦労する価値があるか?・・・という事になるが、改良された部品が使えるとか、パーツの選択肢が広がるって所がメリットか?
MD22の純正部品はまだそれなりに普通に出るみたいだが、万が一廃盤になった時の逃げには有効かもしれない。