澎湖島のニガウリ日誌

Nigauri Diary in Penghoo Islands 澎湖島のニガウリを育て、その成長過程を記録します。

言葉狩りの愚かさ

2008年02月15日 10時43分26秒 | マスメディア
テレビ朝日系「報道ステーション」で古館一郎が「アダルトチルドレン」という言葉を誤用したとして、視聴者に謝罪したそうだ。私自身は、この番組が嫌いなので見ないが、ああだこうだとうるさい視聴者が多いのだろう。

先日、「ジプシー」を「ロマ」に言い換えろという話を取り上げた。これは身近な話なので、英国人の執筆者に確認してみた。その返答は次のとおりだった。

The word "gypsy" is not an offensive or insulting word in English. The word preferred now is "Romany" but "gypsy" or "gipsy" (it has both spellings in English) has been in use for many, many years. It describes those travelling people who are scattered throughout Europe and North America. It comes from the word Egyptian (meaning someone from Egypt), as it was originally mistakenly thought that these people came from Egypt.

つまり、アメリカ・インディアンと同じ様な使い方をされた次第なのだ。

「ジプシー」は日本人にとって遙か遠い存在なのに、それは差別語だから「ロマ」に言い換えろと主張する日本人がいることに違和感を覚える。そういう人たちは、「報道ステーション」でも週刊誌でも、何か「差別語」はないか、と血眼になっているに違いない。ある種の正義感か、ひねくれた趣味で「言葉狩り」を楽しんでいるのではないかとさえ思えるのだ。

英国での「ジプシー」の使い方は、上記の説明にもあるように、いたって寛容なのだ。欧州から遠く離れていて、ジプシーとは何の関わりもない日本人が、何故、英国人より過激な言葉の自己規制をするのか、私には理解できない。

大ざっぱに捉えると、これは文化受容の問題なのだと思う。海の彼方から新しい文化(武器でも陶器でも思想でも…)を受け入れてきた日本人は、まず最初に海外の情報を得ることがその道で成功する秘訣であることを、無意識的に熟知しているのだ。海外で「ロマ」だ言えば、真っ先にそれに飛びつき、未だ「ジプシー」と言う人を「遅れた人」として偉そうに批判できるという訳だ。

「言葉狩り」の愚かさをまたまた感じた。