このところ、台湾関係の本を何冊か読んだ。その中の1冊が「近代日本と台湾~霧社事件・植民地統治政策の研究」(春山明哲著 藤原書店 2008年)である。
本書は、第1章「霧社事件と日本人」、第2章「台湾統治政策の展開ー原敬・後藤新平・岡松参太郎」、第3章「日本における台湾史研究の回顧と展望」に分かれている。
日本近代史などまともに勉強していない私なので、第3章から読み始めたが、台湾史研究の発展過程や後藤新平について詳しく知ることができた。
「霧社事件」については、昨年、花蓮の資料館を訪れたときも展示があったので、ずっと気になっていた。この本を詳しく読み込みたいと思う。
著者は国会図書館に長らく勤務、本来は理系(化学専攻)の人なのだが、自らの生い立ちとも関連して、ほとんど顧みられなかった台湾研究を志した。その集大成とも言えるのが本書である。
確かに、イデオロギーを振りかざした中国研究書は星の数ほど出版されたが、本書のような台湾研究は極めて珍しい。
著者は次のように述べる。
「わたしに多少”歴史観”というものがあるとすれば、そこには”ナショナリズム”の契機が非常に希薄だということである。植民地主義が悪であるとしても、”日本人”として私が”反省”しなければならないとか、”台湾人”として日本の過去を弾劾するとか、”中国人”として歴史を鑑にせよ、とか主張する気はまったくない」(p398)
この記述からも分かるように、著者は台湾と日本の両方の血を引いているのだ。
基礎知識に乏しい私には攻略が難しい大著だが、著者の情熱ははっきりと伝わってくる。
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本書は、第1章「霧社事件と日本人」、第2章「台湾統治政策の展開ー原敬・後藤新平・岡松参太郎」、第3章「日本における台湾史研究の回顧と展望」に分かれている。
日本近代史などまともに勉強していない私なので、第3章から読み始めたが、台湾史研究の発展過程や後藤新平について詳しく知ることができた。
「霧社事件」については、昨年、花蓮の資料館を訪れたときも展示があったので、ずっと気になっていた。この本を詳しく読み込みたいと思う。
著者は国会図書館に長らく勤務、本来は理系(化学専攻)の人なのだが、自らの生い立ちとも関連して、ほとんど顧みられなかった台湾研究を志した。その集大成とも言えるのが本書である。
確かに、イデオロギーを振りかざした中国研究書は星の数ほど出版されたが、本書のような台湾研究は極めて珍しい。
著者は次のように述べる。
「わたしに多少”歴史観”というものがあるとすれば、そこには”ナショナリズム”の契機が非常に希薄だということである。植民地主義が悪であるとしても、”日本人”として私が”反省”しなければならないとか、”台湾人”として日本の過去を弾劾するとか、”中国人”として歴史を鑑にせよ、とか主張する気はまったくない」(p398)
この記述からも分かるように、著者は台湾と日本の両方の血を引いているのだ。
基礎知識に乏しい私には攻略が難しい大著だが、著者の情熱ははっきりと伝わってくる。