澎湖島のニガウリ日誌

Nigauri Diary in Penghoo Islands 澎湖島のニガウリを育て、その成長過程を記録します。

井上隆一氏(大東文化大学)の著作

2009年02月19日 20時25分52秒 | 中国
井上隆一氏(1910-1987)は、中国語学者で元・大東文化大学教授。
残念ながら現在、著作のすべてが絶版になってしまっているが、その中国および中国人に関する理解・認識の深さは、今なお輝きを失っていない。

「毛主席の袖」「中国の風と光~中国に暮らして」というふたつの著作は、戦前の中国体験に基づいて書かれたエッセイ集だが、日本人とは全く異なる中国人の人生観、生活感覚が詳しく記録されていて、時代を超えた今なお教えられることが多い。

1960-80年代初期までに書かれた日本人の中国論は、もはやゴミ箱入りになったものが圧倒的に多い。それらは特定のイデオロギーに基づき、「新中国」に夢を仮託したに過ぎず、本当の中国を見ていなかったためである。本ブログでも採り上げた安藤彦太郎氏(元・早大教授)などはその典型である。

井上隆一氏は、中国人というものを知り尽くし、心から中国を愛した。それはイデオロギーとは無縁だったので、時代を超えることができるのだ。
教育者としても、多くの学生に「本当の中国」を知らしめる努力を惜しまなかった。今なお氏の面影を偲ぶ人は数多い。

ぜひ、著作の再刊を期待したい。



鉄道游撃隊 (1980年)
知 侠
竜渓書舎

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毛主席の袖 (1974年)
井上 隆一
明治書院

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中国の風と光と―中国に暮らして
井上 隆一
白帝社

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