台湾映画「海角七号」の魏徳聖監督が「霧社事件」の映画化に着手。
霧社事件は、日本統治時代、原住民が起こした武装蜂起だが、魏徳聖監督は「抗日映画をつくるつもりはない」と語ったようだ。
民主化された台湾では、国民党時代につくられたような「反日映画」は、もはや冷笑の対象でしかない。台湾人の視点で制作された「海角七号」は、台湾と日本の絆をテーマにして、多くの人々の共感を呼んだ。主人公の名前「小島友子」も、日台の絆を確認するかのようだった。今年公開された「一八九五乙未」は、日本の台湾接収に対する客家(ハッカ)の抵抗運動を描いているが、これも単純な「反日映画」などではなかった。
だから、魏徳聖監督の「霧社事件」にも、大いに期待がもてる。ぜひ、見てみたい映画になるはずだ。
また、霧社事件79周年行事が行われたことも伝えられている。タイヤル族の関係者は「愛と包容の気持ちで、日本人も含めた犠牲者を追悼していきたい」と語っているようだ。この言葉もじつにいい。
台湾で霧社事件を映画化 注目の若手監督
【台北共同】日本統治下の台湾で1930年、中部の先住民が武装蜂起した「霧社事件」を描いた映画が台湾で制作される。作品を手掛ける魏徳聖監督は事件発生から79年を迎えた27日、事件が起きた南投県霧社での記者会見で「恨みを描くのが目的ではない」と話し、抗日映画をつくるつもりはないと強調した。台湾での公開は2011年の予定。
魏氏は日台の若者の恋愛を描いた「海角七号 君想う、国境の南」(日本公開は今年12月)の大ヒットで、台湾での映画興行収入記録を塗り替えた若手監督。
会見には主演する台湾人女優、ビビアン・スーさんらも出席。「レッドクリフ」の大ヒットで知られ、今回はプロデューサーとして参加するジョン・ウー監督も姿を見せた。11月末から撮影を始めるという。
台湾の先住民族 抗日79年で式典
2009年10月28日 朝刊(東京新聞)
27日、台湾中部の南投県で開かれた「霧社事件」79周年の祈念式典=栗田秀之撮影 |
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【大同村(台湾中部南投県)=栗田秀之】台湾中部、南投県の山間部に住む先住民族が一九三〇年十月、日本の統治に反発、蜂起した「霧社事件」から七十九周年の二十七日、同県大同村(霧社)で祈念式典が開かれた。
事件は、高圧的な同一化策などに反発したセイダッカ族の一部が地元の学校や警察などを襲い日本人百三十四人が死亡。日本側は鎮圧に乗り出し翌年までに約千人の先住民族が死亡したとされる。
式典では、集落のリーダーだったモーナ・ルダオのひ孫モーナ・パワンさん(50)が来年の八十周年に合わせ、事件の舞台となった学校(現在は電力施設)を記念館として整備するよう求めた。パワンさんは「愛と包容の気持ちで、日本人も含めた犠牲者を追悼していきたい」と話した。