中川昭一のコンプレックス
「脱官僚主導」を掲げる民主党政権になってから、マスメディアの公務員攻撃はますますひどくなっている。無駄遣いの洗い出し、天下りの禁止など、もちろん、きちんとやってもらわねばならないのだが、中川昭一死去のニュースを聞いて、「やっぱり」と思ったことがある。
彼の長女は、フジテレビの記者だという。上智大学卒で、フジテレビに入社したというのだが、父親の”威光”はなかったのだろうか? こんなことを言うのも、中川昭一自身が、慶應大学を経て東大法学部に入ったからだ。慶大生として”隠れ浪人”を続け、一般受験で東大文一に受かったのならたいしたものだが、慶應を卒業してから、受験者が著しく限られた学部編入試験で入ったのなら、果たして父親・中川一郎の”威光”がなかったのかが気になる。
もし、そうだとしたら、酒と睡眠薬におぼれた中川昭一の鬱屈したコンプレックスがよく理解できる。
マスコミ各社に溢れる政治家・有名人の子弟
「忘れられた”公共”の電波」という記事を見つけた。元毎日放送記者・鎌田正明という人の記事らしい。
http://plaza.rakuten.co.jp/mimolove18/diary/200910060003/
この記事は、政治家や有力者がその子弟をこぞってマスメディアに就職させていることを問題にしている。ざっと挙げただけでも、このとおりだ。
NHK=片山虎之助の長男 故松岡農水大臣の長男 青井某というアナ(丸井の御曹司) 遠藤某(遠藤周作の息子)、浅野温子の長男、魚住優、田中邦衛の娘、東京都副知事猪瀬の娘、中曽根の娘、鈴木宗男の娘
日本テレビ=みのもんた娘、福留功男の娘 小渕優子 、石原伸晃、みのもんたの次男、福留功男の娘、嵐・櫻井の妹、
TBS=みのもんたの長男、森元首相の誰か、海部俊樹の息子 加藤紘一の娘 西岡武夫の息子、文藝春秋社の重役の娘・雨宮塔子
フジテレビ=中川昭一の娘、日本香堂の社長次男、かまやつひろしの長男、宇津井健の長男、野球の田淵の息子
毎日放送=橋本元総理大臣の姪
さらに鎌田氏は、次のように指摘する。
「民放ではコネ採用は企業戦略の一つとして、むしろ 積極的に行われている。腐臭を放ちながらも温存されてきた、それら「悪習」の影響は自ずと 番組内容に反映される。私はこうした民放の構造的問題が、そのまま日本社会全体に悪影響を与えているような気がしてならない。」
放送免許に基づく”公共の電波”を使いながら、現実にこのように”電波の私物化”が行われているのだ。
国家公務員Ⅰ種採用試験こそが公平で公正
この就職難。どこでもいいから…という学生さえ、就職浪人を余儀なくされている。それなのに政治家や著名人、財界人の子弟の多くが、人気が高く高給で知られるマスメディアに就職しているのは偶然なのか。私が知るところでは、フジテレビにアナウンサーとして就職した有名野球選手(すでに引退)の息子は、A学院大学の卒業単位が危ないという状況でも、フジテレビと電通に受かったそうだ。マスメディアと政治家、芸能人は、持ちつ持たれつの関係なのだ。
まあ、マスメディアに入るにはコネが必要とは、昔から言われてきたことだ。それ自体、今さらどうでもいいが、問題はマスメディアによる官僚攻撃だ。
ニュース・ショーと称する民放番組の中で、口汚く、あるいは面白おかしく「役人攻撃」をするアナウンサーの大半が、コネ入社だと考えると、まともに番組を見る気がしなくなる。視聴者はそのことを考えたことがあるのだろうか?テレビ朝日系の吉澤某などは、特に腹立たしい男だ。
東大法学部を出て、国家公務員Ⅰ種に合格し、「国のため」「公共のため」と思いながら、深夜まで働き「薄給」(マスメディアの半分しかない)に耐えている霞ヶ関の官僚たち。この人達が、不満社会のはけ口になるのを見るのは、残念なことだ。彼らは、国家公務員法に縛られていて、マスメディアの攻撃に対して反論できない。職務専念だとか守秘義務などで、とにかくがんじがらめなのだ。だから、マスメディアは、サディストのように官僚攻撃ができるというわけだ。
だが、言っておく。国家公務員Ⅰ種試験には、コネはない。明治以来、門閥を問わないこの試験は、貧しくても優秀な学生の登竜門だった。有名人の放蕩息子がコネにものを言わせても、受かるような試験ではないのだ。
マスメディアの官僚攻撃によって、最近、国家公務員Ⅰ種試験には優秀な学生が集まらなくなったと聞く。東大法学部の最も優秀な学生は、外資に行ってしまうという。この国の将来にとって、これは憂うべき事態ではないのか?
「第四の権力」を監視しなければならない
「第四の権力」であるマスメディアには、何のチェックも働かない。コネ採用の社員が、下請けプロダクションに番組制作を丸投げして、高給を得る。「報道の自由」とかの名目のもと、弱い立場の人々を批判し中傷する。大手マスメディアが本気で「報道の自由」を追究する気があるのなら、朝鮮総連や創価学会にまつわる問題に取り組んではどうか。自分にとって手強い相手、都合の悪い相手には決して”勝負”せず、いたぶれる相手だけを叩くというのが、今のマスコミの手口ではないか。
コネ採用は、組織を腐食させていく。最近、NHKでも「アジアの”一等国”」のような”トンデモ”番組が出てくるのも、そのことと無関係ではないだろう。
優秀な公務員がマスメディアによって駆逐されていくような社会には、たいした未来はない。いま官僚たちに向けられている不満や嫉妬、怨嗟は、マスメディアによって人為的につくられたものだが、それらはマスメディアにこそ向けられるべきなのだ。