澎湖島のニガウリ日誌

Nigauri Diary in Penghoo Islands 澎湖島のニガウリを育て、その成長過程を記録します。

民主党「地方主権」の行き着く先

2009年12月09日 11時17分19秒 | 政治

民主党がマニフェストで掲げた「地方主権」は、有権者にとって心地よい響きがするのだろうか。「地方のことは地方で」というと、自分たちのことは自分でできる、さらには、自分のやりたいことができるとまで”夢”が広がるのだろうか。

だが、地方に強大な権限を委譲するとどうなるかという見本が、現に各地で起きているのをご存じだろうか。名古屋市・河村市長は、住民税の一律10%減税をブチ上げて、市議会と衝突し、彼を支持する”市民”とともに、市議会議員の給与を半額にする条例案で対抗しようとしている。河村市長は、TV番組でも名を売った人なので、マスメディアの使い方を熟知している。たとえエキセントリックな改革案でも、マスコミを抱き込めば、うまくいくと踏んでいるようだ。「住民税の10%減税」案は、地方税法上は可能であるとしても、旧・自治省下では実現不可能な選択だった。地方の首長が人気取りに「減税」を言い出すことを許さなかったのだ。それ故に、地方自治体間の財政状況の均衡・公平が保たれていたのである。「地方自治」がポピュリズムに堕しやすい危うい制度だという認識が、中央政府にあったことは間違いない。
ところが、民主党政権になってすぐに河村市長は、ポピュリズムの手法でこれをぶちこわそうとしている。その結果が住民にとって吉と出る保証は全くないのだが。

東京・杉並区長の山田某も同様だ。「杉並師範塾」などという教員養成塾を作って、教員の質を向上させると言っているが、これには重大な疑義がある。この塾に採用される人は、地元の有力者の子弟であったり、教育関係者の子弟であったりするのではないか。香川県で問題になったように、教員採用には教育界独特のウラがあるのだが、「杉並師範塾」はこれらの批判をかわすための、公然たる「コネ機関」ではないだろうか? 「自治権」の名の下に、公然たるコネ採用が正当化されかねないという危惧を感じるのだ。

極め付きは、次の事例。「公務員攻撃」を旗頭に当選した市長が、国法も無視して、あたかも独裁者のように振る舞う光景が目に見えるようだ。

民主党の掲げる「地方主権」がすすめば、全国各地でこのような事例が続発するだろう。民主党のマニフェストが、いかに日本社会の実態と乖離したものであるかがわかるだろう。

阿久根市長、張り紙はがした元係長ボーナスゼロ

(読売新聞 - 12月09日 03:09)

読売新聞

 鹿児島県阿久根市の竹原信一市長(50)が、庁舎内に掲示していた職員人件費の張り紙をはがした係長の男性(45)を懲戒免職処分にした問題で、市は男性に期末・勤勉手当(ボーナス)を支給しない方針を決めた。
 市条例の規定では、市は男性が処分前に勤務した約60日と、鹿児島地裁が処分の効力停止を決定した後の約40日の計約100日分について、支払い義務がある。男性の代理人弁護士は「行政の長が法律を無視している。法治国家にあるまじき行為」と非難している。
 市総務課によると、冬のボーナスは「一般職に属する職員の給与に関する条例」に基づき、6月2日以降の勤務状況に応じて今月10日に一斉支給される。
 竹原市長は、張り紙をはがした男性の行為を「行財政改革を支持する市民への挑戦」として、7月31日付で懲戒免職処分にした。
 だが、男性は6月2日から処分日までは通常通り勤務。さらに、鹿児島地裁が10月21日付で処分の効力停止を決定した後は、職員としての身分が法的に認められている。このため、条例に従えば、約100日分の約50万円が支給される計算になるという。
 市は地裁の決定を不服として即時抗告したが、福岡高裁宮崎支部は4日付で棄却した。しかし、市長はこれまで「復職させた場合、他の職員と一緒になって市長の命令に背くようになる」として司法判断を受け入れず、男性の職場復帰を認めない上、給与も支払っていない。
 男性は同地裁の決定後、市役所に出勤して働く意思を示しているが、市は門前払いを続けている。男性は市を相手取り、未払い給与を請求する訴訟を地裁に起こしており、ボーナスが不払いの場合、同様に請求する訴訟を起こす予定。
 男性の代理人を務める増田秀雄弁護士は「度重なる司法判断を無視し、復職を認めない市長の行為は、行政の長として許されない」と批判。自治労鹿児島県本部の高橋誠書記次長は「市長自らが条例を守らないのであれば、阿久根市は治外法権を宣言しているようなものだ」と話している。
 市側は取材に対し、「市長の指示で払えない」と説明。読売新聞は8日、市長に取材を申し込んだが、市長は応じなかった。