澎湖島のニガウリ日誌

Nigauri Diary in Penghoo Islands 澎湖島のニガウリを育て、その成長過程を記録します。

何でも「風評被害」にしてしまう、この欺瞞

2011年06月07日 13時18分44秒 | マスメディア

 昨日、原子力保安院が原発爆発による放射性物質の排出量が、東京電力が発表した数値の二倍以上だったことを明らかにした。

 3月15・16日の原発メルトダウン時に、わたしたちは食い入るようにTVを見ていた。そのとき、NHKの水野解説委員は、「福島の原発事故は、チェルノブイリに次ぐ大事故」だとして「逃げられる人は、逃げた方がいい」と退去勧告とも受け取れる発言をした。これを見ていた私の友人は、東京から京都に避難し、およそ一ヶ月、関西に滞在した。政府筋は、原発被害を出来るだけ少なく見せかけるために、この水野発言を封殺し、3月18日の菅首相記者会見で「安全宣言」を行った。

 このような経緯を思い出すと、いま「風評被害」に負けずに…云々という報道も、実はウラがあるのだと思えてくる。何故かと言えば、①現実に、福島県を中心とした広範囲な地域に放射性物質の汚染地帯があるのに、国は「安全基準」そのものを勝手に緩めてしまった。子供の放射線許容量を200ミリシーベルトとしたのがその典型だ、②ある食物や一定地域の放射性物質汚染が、「基準内」で安全だとしても、一人の人間がトータルに吸収してしまう放射線や放射性物質の量は、実は計測できないので、分からないのだ。
 
 だとすれば、主婦が買い物に行ったとき、被爆地に近い農産物を避けるというのは、「風評被害」の結果などではなく、止むに止まれぬ「苦慮の選択」ということになる。マスメディアは、こういう消費者行動を「風評被害」を引き起こすなどと間違っても言うべきではない。

 さらに、外国から日本を見れば、全く同じことが言える。例えば、中国人が日本に旅行しようとするとき、彼らの興味は日本の文化遺産などではなく、富士山と買い物くらいしかないのだから、「放射能に汚染されているかも知れない日本製品」をわざわざ買う義理などは全くない。それを「風評被害」だと言い募ってあたふたすることは、全く筋違いと思うのだがどうだろうか。

 今後、海洋汚染の実態がますます明らかになるだろう。近海魚の刺身を食べたら、同じ網で獲れた検体魚にプルトニウムが含まれていることが判明というケースもありうる。プルトニウム検査は、2週間ほど時間がかかるそうだから、刺身を食べてからではもう手遅れ…。そして、プルトニウムは体内に2万年も残留する…。

 1945年の「敗戦」を日本人は「終戦」と言い繕った。2011年のいま、現実にある「放射能汚染」を「風評被害」と言い換えるつもりか。日本人は、全く変わっていない。

 

 


映画「トロッコ」を見る

2011年06月07日 02時33分15秒 | 音楽・映画

 昨年、劇場公開された日本映画「トロッコ」が、DVDになって発売された。

 この芥川龍之介の作品「トロッコ」が、台湾の花蓮を舞台に制作された意義は大きい。監督自身が語っていることだが、トロッコが現存するロケ場所を探しているうちに、台湾に目が向けられたという。
 花蓮は、日本統治時代に日本人によって開発された街。今なお、その時代の建築物が市の文化財として大切に保存されている。お年寄りは流暢な日本語を話し、親日感情も今なお強い。
 だが、台湾の日本統治時代に触れることがタブー扱いされている現在の日本では、若い人達が日本と台湾の歴史的絆を知る機会が極めて少ない。その意味でぜひ、この映画は若い人達に見てほしいと思う。

 台湾人の友人は、早速DVDを購入して、この映画を見たという。その感想を次のように記している。

「先日 インタ-ネットで映画『トロッコ』DVDを買いました。
今日 映画『トロッコ』をみました。
 日本人観点から 台湾年配のおじさんは悲しい気持ちです。
日本人時代とき 一生懸命日本人になりたいです。
日本政府戦争戦敗とき 台湾年配のおじさんたちは捨てられました。
あの時 悲しい気持ちです。
日本政府は 台湾で人造森林を作りました。偉いです。
あの人造森林は空気がいいです。きれいな景色です。」
                      (原文のまま)

 台湾の日本語世代は、一生懸命、日本人になろうとした。しかし、日本が敗戦して、日本語世代は、(日本に)見捨てられました。それが どんなに悲しいことだったのか。日本統治時代、台湾に林業が導入されました。偉大な事業。その森林はいまでも空気が澄んでいて、美しい…このような意味だろうか。民主国家になった台湾では、このように日本統治時代に対して、好意的な感慨を持つ人が多いようだ。
 
 
もちろん、揺れ動く少年の心を描いた作品自体のテーマも心を打つが、それ以上に日本と台湾の絆に思いが至る作品である。 


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映画『トロッコ』予告編