フィリピン人家族の不法滞在問題に結論が出た。
埼玉・蕨のフィリピン人一家不法滞在:家族に帰国日決定要求 入管が通告
退去強制命令を受けながら日本での生活を求めているフィリピン人の中学1年生、カルデロン・ノリコさん(13)=埼玉県蕨市=と両親に対し、東京入国管理局は13日、27日まで2週間の仮放免延長を決め、帰国の日を決めるよう両親に伝えた。一家3人で帰国するか、ノリコさんを残して両親が帰国するか、いずれかの判断を求めたという。
ノリコさんの両親は92~93年、他人名義の旅券で入国。母のサラさん(38)が入管法違反で逮捕された。父アランさん(36)は「ノリコだけを置いてはいけない」と話し、在留特別許可を求めた。ノリコさんは「3人で日本に残りたい」と訴えた。【石川淳一】
毎日新聞 2009年2月14日 東京朝刊
ずっと気になっていたニュースだが、当然と言うべき結論が出て、安堵を覚える。
というのは、マスメディアが当該家族の中学生の娘ノリコさんをクローズアップして、「友達と別れなければならない」「大好きな日本にいられなくなる」といったようなセンチメンタルな報道を続けていたからだ。特に、TBS系列は、この問題に固執していて、大いなる”偏向報道”ぶりを見せつけた。
昨今、マスメディアが行政の中立性、公正性にまで踏み込んで、大層なキャンペーンを張ることが多い。本件もそのひとつなのだが、そのフィリピン人の娘を可哀想だというだけで、特例を求めるようなキャンペーンは、そもそもマスメディアの責任を自ら放棄しているも同然なのだ。
外国人が日本に不法滞在して、子供をつくり義務教育を受けさせる。そういう既成事実があれば、国外退去にならないというのなら、これからどういうことが起きるのか本気で考えたのだろうか。
ここで繰り返すが、私は「不法滞在」のことを言っているのであって、正規に入国した外国人を排外的な感情で中傷しているのではないということだ。
ふだん「国際人」「地球市民」などと暢気なことを言っていても、いざとなれば、「国籍」は個人の運命を左右する。そんなことも分からない人が、マスメディアの中にもいるのかと思うと、本当にぞっとするのだ。
今回の件で、法務省入国管理局が極めて妥当な結論を下したのは、まだまだ行政の公正性が担保されていることを示したもので、望ましいことだ。
森本敏氏(拓殖大学教授)は、本件について次のようにコメントしていた。
「いったんご家族で帰国して、正規に来日してはどうか。娘さんも日本語が出来るのだから、さらに日本語を磨いて、将来、両国の架け橋になるような仕事をしてほしい」
今後、一部のマスメディアは、国外退去を拒否する家族の映像を入手して、「可哀想」キャンペーンを張ろうとしている。こんなことが許されていいのだろうか。