エッセイ  - 麗しの磐梯 -

「心豊かな日々」をテーマに、エッセイやスケッチを楽しみ、こころ穏やかに生活したい。

待った無しの 自然保護対策

2019-12-08 | 環境問題

                                                                              ヒメシロチョウ 2019.6.20撮

四方を山に囲まれる会津若松の自然は素晴らしい。

今年も、日々癒されながら身近な里山の生きものを見つめてきた。

そんな里山の自然環境が少しずつ変って来ていると実感している。

例えば、数年前から、方々でイノシシの掘り起こした穴を見かけるようになり、クマの目撃情報も相次いだ。

また、地球規模の温暖化により、南国のウラギンシジミや、ツマグロヒョウモンなどが普通に見られるようになった。

その一方、鳥や虫などは少なくなり、ヘビに出会う機会も減ったと感じている。

特に、絶滅が心配されるヒメシロチョウはかつて無い危機にある。

数年前から町内の子どもたちとヒメシロチョウの幼虫が食べるツルフジバカマを緑地や道路沿いに植え始めた。

いつかヒメシロチョウが舞う、潤いある豊かな町を取り戻したい願いからだ。

今こそ、坐して待たずに、積極的な自然保護対策を実践すべきと思っている。

2019.4/15撮

 


ヒメシロチョウ やはり心配

2019-09-10 | 環境問題

台風一過の晴天、9時過ぎに生息地へ様子を見に行った。市内での生息地はここだけだ。

9月始めに刈り取られた土手に、ツルフジバカマは結構成長していた。

刈り取り後、産卵の出来る成長までには約10日は欲しい。

背の低いカタバミはかられずきれいに花が咲き,ヤマトシジミが飛び交っていた。

奥の方の刈り残された「土手のオアシス」では、ジャノメチョウ、ツバメシジミ、ウラナミシジミ、シオカラトンボ、ミヤマアカネなど

全ての虫たちが集まっている。白いチョウは,ほとんどモンシロチョウ、モンキチョウ♀で、弱々しい飛び方のヒメシロチョウはいなかった。

先日、4~5頭を見て安堵したが、今日はツルフジバカマの花を弱々しく舞い吸蜜するヒメシロチョウ♂が1頭のみ。

また、絶滅の文字が浮かんだ。

昨年秋は、何度も来たが1頭も確認出来ず,この春は本当に心配だった。

4/13に初見したが、個体数は春、夏型共に僅かだった。

刈り取り方を再検討したい。

  

  シオカラトンボ♀

ナツアカネ アジアイトトンボ

 ゴイシシジミ  


レンコン池

2019-08-29 | 環境問題

近くのレンコン池は無くてはならないビオトープだ。

春先、この池が消える心配をした。

年中水がたまっているこの池に水が入らず、長い間干からびていた。もうレンコン栽培が終わったのかと思われた。

持ち主に様子を伺う寸前に、水が入った。

オアシス復活を喜んだ。

この方面の里山を巡るときは、先ずこの池をのぞいて季節の移ろいを感じていた。

市街地の水辺と違って、自然に恵まれた地域でのビオトープは重要だと思う。

いろいろな水生生物がすぐに棲みつく。

 

  

 

ツチガエル  ギンヤンマ

 

問題はこの水辺の管理だ。

かつて絶滅危惧種が棲みついた水辺があるが、行政の無関心で、いまや死の池に化してしまった池がある。

訴え続けているが、あれから10年にもなる。

残念でならない。

 


ザリガニ天国

2018-10-20 | 環境問題

  

 

  今年も里山を巡り、身近な自然に大いに癒された。

しかし、秋も深まり、小さな虫たちの命を見つめてきたシーズンを振り返るとき、深刻な自然環境の異変に気づかされている。

一つは、恐れていたヒメシロチョウの絶滅の心配だ。

市内に唯一細々生息する地で、例年見られる第3化の姿を全く見ることが出来なかった。

来春の発生を憂え、より積極的な保護対策の必要性を痛感している。

 

【ヒメシロチョウ】  環境省レッドリスト 絶滅危惧第ⅠB類に分類   (A類ほどではないが、近い将来における野生での絶滅の危険性が高いもの)

  

 

もう一つは、猪苗代湖西岸に広がる多くの水辺環境の危機だ。

今年、思いもしなかった貴重な水辺に指定要注意外来生物のアメリカザリガニの侵入を確認した。

かつて貴重なトンボ類が舞い、タガメやコオイムシも見られた池は一変、雑食性のザリガニ天国と化してしまった。 

【5~6年前まで見られた集団産卵】

 オツネントンボ     アオイトトンボ

 植生の管理も含め、ザリガニの駆除など水辺環境の保全対策を幾度となく関係当局に訴えてきた。

県と市は縦割り行政でなく、「自然環境の保全」を共通のキーワードとして緊密に連携し、さらなる対策の実践を急いで欲しい。

待ったなしの状況だ。 

*********************************

(参) 

 ○「アメリカザリガニの及ぼす影響」   http://www.bdcchiba.jp/endangered/crayfish/zarigani_mondai.html

 ○「アメリカザリガニは侵略的外来種」econavi.eic.or.jp/ecorepo/live/376 -

 ○ 拙ブログ 「恐ろしいアメリカザリガニ」 https://blog.goo.ne.jp/tosimatu_1946/e/333382c986c6834feb0d8ce17467d900

*********************************

心配なヒメシロチョウ

2018-09-17 | 環境問題

ヒメシロチョウの3化は、例年8月末から9月中旬に現れ、9月中に産卵を済ませている。

寒さの来る10月末までには蛹化させたいが、そんなことは本人が十分知っているはずだ。

今日、娘に土手へ連れて行って貰った。薄日の射す土手のヒメシロ発生の様子を見たかった。

9月始めには除草前で、ツルフジバカマが満開だったが、ヒメシロチョウはいなかった。

多分、蛹状態で羽化を待っているものと考えていた。ジャノメチョウが元気に飛んでいた。

ところが、9月に入って2週間になるのに、土手にはヒメシロチョウが全く見られなかった。

例年9月始めに行われる大がかりな土手の除草は済んでいた。

除草前  除草前

 除草前  除草前

除草後 除草後の新芽 

数年は、河川事務所と協議し、ヒメシロの生息に影響のでない除草時期や、刈り残し場所などについて協力を頂いていた。

 今年も数カ所残されたツルフジバカマ

しばらく様子を見てみたいが、羽化直前だったはずの蛹に何があったのか。草刈りの影響は。

若松市内唯一の生息地になにか異変が起こっているのでは。少し不安になった。

 

カタバミに集う蝶

 

ヤマトシジミ産卵 モンキチョウ♀

ミヤマアカネ ♂  

ナツアカネ アキアカネ


待望のホタル発生

2018-06-12 | 環境問題

夕食後、ホタルを見に行く。数日前は発生していなかった待望のホタルがほんのり光っていた。嬉しかった。

と同時に、明日の命を疑い心配が募った。

確認は4匹、ほんの5~6mの範囲の草むらだ。

  

  

血液センターまでの200mほどの水路を覗いたが、5年前に開発された住宅地入り口あたりのその一角だけの発生だ。

上流は2年前開発され水路は消えた。

S邸横から清流が注ぐ水路、3年前の発見はアパート裏~町内唯一残る畑の横を通る水路一帯に見られた。

ホタル幼虫は遡上はしないようだ。また、ホタルもあまり遠くへは飛ばない。

発生場所が狭まる不安が募る。 水路の確保、土手の除草なども、ホタルの保全を考えていかなければと思っている。

 

先日の町内会関連の市の研修会で、〈特色ある町内〉に関連して、自然環境に目を向けた「ホタルやチョウの舞う町」の試みを話したばかりだ。

ほんのり光るホタルの灯りを見て込み上げるものがあった。

すべての小さい命が愛おしい。

数年前まで飛び交っていたホタル、3年前に甦った。

どうか、生き延びて欲しいと願っている。

 


ホシミスジに思う

2018-06-09 | 環境問題

6月始め、ホシミスジが幸せの舞いを見せてくれる。

ホシミスジの食草は、シモツケ、ユキヤナギ、コデマリなどである。

いずれも数株が庭にあり、この時期の我が家の癒しの風物詩となっている。


初見  交尾

  

 ♀  ♂

町内では、つい先頃まで残っていた田んぼや畑も開発され、何となく寂しくなった。

かつてはホタルが舞い、水路にはサワガニも見られたのに。チョウも例外ではなく最近は少なくなった気がしている。

家を建てた40年ほど前には、庭のウメの木にオオミスジが舞い、コムラサキ、オオムラサキも訪れた。ゴマダラチョウも、もう何年も見ていない。

このホシミスジ、どうかいつまでも我が庭を舞っていて欲しい。

 

「ヒメシロチョウの舞う街」を夢見て、いろいろ考えている。

先月の町内の行事で、子ども達と一緒に緑地にヒメシロチョウの食草ツルフジバカマを植えた。

挿し芽で殖やしておいたものだ。

その後、血液センター道路の側溝増沿いに、何度か一人で植えている。

秋には、今咲くナヨクサフジのようにきれいな花を咲かせるだろう。

刈られても強い草だ、町中に殖やしたいと思い、いろいろ計画中だ。

 血液センター道路 26号緑地にも

     ナヨクサフジ

○ハナバチの仲間   

よく似ているが、ツルフジバカマは夏の終わりから秋に咲く。

 

今舞い始めたホシミスジもいい。シモツケやコデマリなど、庭に植えても問題ない。町中に殖やして・・・ホシミスジも、と考えている。

むしろチョウは山よりも殖えるに違いない。

アゲハ、キアゲハ、クロアゲハ、ジャコウアゲハ・・・それぞれの食草を各戸の庭に育てて欲しい。

きっと、チョウも増えると思う。子供の発想だろうか。

 

庭の花々を撮った。

 イモカタバミ  ナツツバキ

 ユキノシタ   シラン   ムラサキツユクサ ウツギ    ヤマボウシ

バイカウツギ  シモツケソウ

経済優先、物質的な豊かさを求める風潮は嫌いだ。

今もう一度、昔の自然を思い出したい。

里山もしかり、徐々に虫の棲みにくい環境になっている。


チョウの舞う街を夢見て

2018-05-28 | 環境問題

 

先週の日曜日、町内行事「花いっぱい・美化運動」で、緑地公園に花苗を植えた。

一緒に、挿し芽で殖やしたヒメシロチョウの食草ツルフジバカマも植えた。

食草を殖やし、絶滅が心配されているヒメシロチョウの舞う街を夢見ている。

 総勢約80名  子ども育成会中心26号緑地

 さくねん植えたツルフジバカマ 発芽

 ツルフジバカマに吸蜜

   シミスジ 羽化

道はアスファルトで覆われカタバミすら生えないからか、かつてどこでも見られたヤマトシジミも激減している。

庭の梅の木を旋回するオオミスジもすでに遠い思い出、今年も心待ちにしているホシミスジがなんとかユキヤナギで細々と命をつないでいる。

 

訪れるチョウは少ないが、庭にはアゲハのためにサンショウ、キアゲハにはフランネル、ジャコウアゲハにはウマノスズクサと、いろいろな食草が産卵を待っている。

食草があれば“チョウの舞う街”になるに違いない。

 アゲハ産卵キアゲハ終令幼虫

 ジャコウアゲハ  2令幼虫 

 

我が家への未舗装の路傍には、今、カラスノエンドウの赤紫色の花がひときは美しく、輝くタンポポにウスバシロチョウが蜜を吸っている。

精一杯に生きる雑草に安らぎを感じるのは私だけなのだろうか。 

 

 


授業「貴重なヒメシロチョウを守る」

2018-04-18 | 環境問題


毎年の出前授業、B小学校で、新しい5年生の授業「総合学習」に出かけた。

先ずは、「昆虫じーちゃん」の自己紹介を兼ね、昆虫少年だったころの話しから始めた。

例年は、7月はじめの授業でヒメシロチョウの感動の産卵の様子を観察していた。

今年は何故いまの時期か・・・昨年秋から飼育していたヒメシロチョウの蛹が冬を越し、そろそろ羽化しそうだ。

この蛹を前に、何とかみんなに羽化の様子を見せたいと思った。

とはいえ、丁度の羽化の瞬間んどは無理な話、目的はいつも同じ、ふるさとに生息するヒメシロチョウを知ってもらう授業だ。

昆虫について、何枚もの写真で話した。

中心はヒメシロチョウ、食草のツルフジバカマを植えた鉢4つを持参、それぞれに蛹の付いた枯れた茎を添えた。

  

教室では3人グループで鉢を囲み、蛹やツルフジフジバカマをスケッチさせた。

ツルフジバカマは昨年採っておいた種の鞘を割り、種を取り出させた。

全員が意欲的で、家に帰って種を蒔くという。

  

観察を終えた鉢を教室にプレゼントした。おそらく数日中に羽化するチョウを見て欲しかった。

ツルフジバカマは、学校の中庭に移して、成長の様子をときどき見てもらうようにした。

やがて花を見て、種を取って、来春の芽吹きまでを身近で観察してほしい。

13名の5年生、2時間の授業は楽しくつかの間に過ぎ去った。 生徒たちは、熱心で積極的に質問も飛び、興味を持ってくれた。

前半の話しをしたところで、窓を見ると雨はほとんど落ちていない。野外へ出ることを決定した。

野外観察は、まず、事前調査の際に気づいた土手のオクウスギタンポポを観察から始まった。

だが、事前に確認したはずの白いタンポポがなかなか見つからない。ようやく雨で開きかけの1株を見つけ、ついでにエゾタンポポとセイヨウタンポポの区別などを話した。

途中、雨が落ち始めN先生は乗り気でなかったが、傘を持ちに戻り、野外観察を続行した。

  

約200mの目的のツルフジバカマの野原へ向かうと、赤い枯れた茎の間のあちこちに5~6cmの新芽が出ていた。

途中の道路沿いのナズナやハコベ、ノジスミレ、ヒメオドリコソウなどを、摘んだりメモを取ったりしながら熱心に観察して歩いた。
 

教室に戻ってのまとめ  ○生物多様性について ○森林生態系について、そして○ヒメシロチョウを保護について かみ砕いて話した。

最後に、机で学ぶ勉強も大切だが、今日の自然観察のように、実際のものに触れ、体験することが大事なこと、いつも自然に目を向けてと話した。

残念ながら、ヒメシロチョウには会えなかったが、我が自作のパンフレットでヒメシロチョウを詳しく学ぶことができたと思っている。

こうした小学校での授業は,考え抜いた保護の具体的実践の一つだ。

これまでの3年で30数名がふるさとの貴重なチョウを知ったはずだ。

自分たちの地域で,絶滅の危険性が高い(絶滅危惧第1類)ヒメシロチョウが生息していることを知ること。

そこから興味関心が高まり、保護の思想が生まれるはずだ。

今日の拙い授業から子ども達の自然への興味・関心が少しでも高まってくれればと思う。

授業後のいつもの感想である。


絶滅が心配なチョウ・トンボを守るため

2018-03-07 | 環境問題

長い冬期間に、雪に覆われたトンボ池を考えない日はなかった。

自称トンボ池の状況を憂い、関係行政(県、市)へ要望に出向いた。

トンボ池が、既に死の池に化しつつある危機的な状況だ。

池を管轄する県へは、トンボ池の意義やここに至った経緯等について話し、この池の適正な管理をお願いした。

Yさん,Wさんが真摯に聞いてくれた。

要望の基礎は、「自然環境の保全」で、

現状の問題点を挙げ、それらの具体的な対策をお願いした。
 ○ 池の水位え、水質の定期的な観測、
 ○ 生態系破壊の要因として植生の管理、
 ○ 要注意外来生物のアメリカザリガニの駆除
 ○ 木道の改修 etc

その足で、市の赤井谷地を管理する課へ寄った。

過日、新聞報道で知った「赤井谷地湿原の観光誘致」の真意を尋ねたかった。

初めての、突然の訪問だったが、Iさんが真摯に耳を傾けてくれた。

そして、谷地周辺のビオトープネットワークの意義や、現在の保全の危機的の状況や、

自然史遺産としての活用などについて話を聞いていただき、参考資料を添えた。

 ********************************

   ・産卵するマダラナニワトンボ                      姿を消して 6~7年になる    

         

 ・チョウトンボも姿を消した

   ・かつて見られたオオアオイトトンボの集団産卵  

 ・かつての豊かな水辺       池の9割がアシに占拠  開放水面1割    植生が変化し、アメリカザリガニが侵入し その他の水生生物も消えている

   

 

(参)里山の自然 荒廃を憂う    2016-11-17 | 環境問題

https://blog.goo.ne.jp/tosimatu_1946/e/29f0486c36f3a0c52874d6215c8a5c3a


恐ろしいアメリカザリガニ

2018-03-02 | 環境問題

県の野生動植物保護サポーターの研修会があった。

夜は町内の第1回の合同役員会の会議があり、会場の三春までの往復はきつかった。

 

研修内容はふくしまレッドリストに関わる内容で、昆虫に関しては塘教授から〈希少な昆虫の保全について〉の興味ある話があった。

    

  

小生が保護の対象にしているトンボについては、マダラナニワトンボは変わらず絶滅危惧第Ⅰ類だが、

コバネアオイトトンボはこれまでの絶滅危惧第Ⅱ類から準絶滅危惧へダウン、

カラカネトンボは変わらず第Ⅱ類のまま、チョウトンボは準絶滅危惧種だったがこんかいは情報不足となっている。

また、ミヤマシジミが絶滅Ⅱ類から絶滅Ⅰ類へ益々心配な状況となった。

会津若松市内では絶滅したものと考えている。ヒメシロチョウも準絶滅だったものが第Ⅱ類へ危険が増した。
 
 すばらしい講演の後、アメリカザリガニの駆除について質問した。
 ○ 自称トンボ池が、死の池と化している現状、

   ○ 池の生態系は池の植生、水質、外来生物により生態系が改悪し徐々に崩壊したこと、

   ○ 特に「要注意外来生物」アメリカザリガニの侵入により水生生物が危機状態にあることを訴えた。

  そして、アメリカザリガニの駆除方法についてを伺った。幾つかのヒントをいただくことが出来た。

  なるべく早く、駆除方法を検討し、実践したいと思っている。

研修会で県への要望と提言をまとめ、持参した。

その一部を、ときどきお世話になっている福大の塘先生へ手渡した。

今後アメリカザリガニの駆除について指導を仰ぎたいと思っている。

帰路、三春町内で信号待ちに土手にキタキチョウを見つけた。

車を降りて観察した。もう羽化したのだろうか、越冬個体だろうか。
 

高速道で帰宅、何とか町内の会議に間に合う。 (2018.3.1)

 


赤井谷地の観光化 英知集め悔いなく

2018-02-14 | 環境問題

 

 昨年の秋、新聞で、会津若松市が「赤井谷地」での観光誘致を検討しているとの報道に触れた。

 http://www.minpo.jp/pub/topics/59preject/2017/10/post_683.html

 まさに突然の驚きのニュースに戸惑いを覚えた。

  

天然記念物の赤井谷地には立ち入れないが、いつもネットワークを構成する周辺のビオトープを巡り、小さな虫たちの生息に一喜一憂の日々だった。

特にかつてトンボ類の宝庫だった谷地周辺では、乾燥化や植生の変化が進み激減、

つい最近まで見られた絶滅危惧種のマダラナニワトンボやチョウトンボなどが突然姿を消した池もある。

マダラナニワトンボ チョウトンボ 

 また、わずかな食草に産卵し命をつないでいたチョウ類も減少していった。

 最近は谷地周辺で見られなくなったヒメシロチョウ

谷地周辺の豊かだった池はいつしか生態系が変わり、死の池と化した。

ふるさとの宝である谷地の自然の魅力を地域活性化に生かすのであれば、例えばこどもたちの環境教育の場や、

懸案の自然史博物館等の自然関連研究施設の誘致もあるだろう。

手つかずの自然の残る谷地でなくてもいい。周辺のもっと守るべき池や沼はたくさんある。

長い間放置されてきたこの貴重な自然の活用については、十分に英知を集めて悔いの残らない気配りが欲しい。

 何とか生息し続けるコバネアオイトトンボ

 


ふくしまレッドリスト

2018-01-30 | 環境問題

昨年末、県内に生息する動植物のうち絶滅のおそれのある種をまとめた「ふくしまレッドリスト」が公表された。

リストを見ながら、絶滅危惧のチョウやトンボの保護を願っている。

2001年以来の今回のデータでは、予想通り絶滅の危険性の高い種がかなり増えた半面、一覧から削徐された種もあった。

しかし、いつも里山を巡っているが、リストに掲げられていない希少な種の生息もあり、かなりの虫たちが心配で安心できる状況ではない。

例えば、トンボ類の宝庫だった赤井谷地周辺では、乾燥化や植生の変化が進みトンボは激減している。

数年前まで見られた絶滅危惧種のマダラナニワトンボやチョウトンボなどが突然姿を消した水辺もある。

マダラナニワトンボ♀チョウトンボ♂

要注意外来生物に指定されているアメリカザリガニの進入が進み、豊かだった池は死の池になりつつある。

あらためて、小さな虫たちの生息環境を奪った要因を徹底的に検証し、より積極的な保護対策が急務だと思う。

生態系が変わり絶滅の危機にある虫たちが愛おしくてならない。

昨年の里山巡りを振り返ると、心配なチョウやトンボは沢山。HDから拾ってみた。

コバネアオイトトンボ♂ 

ハッチョウトンボ♂ 

アマゴイルリトンボ  

 ギフチョウ ヒメシロチョウ

モートンイトトンボ 未成熟 庭で命をつなぐホシミスジ

他にもいっぱい。 みんな みんな 愛おしい。 保護対策が急がれる。


 残された群落に 命の営みを見る

2017-09-12 | 環境問題

大川の土手にツルフジバカマの紫色の花房が見事に咲いている。

一部刈り残されたこの群落を前に、ひとり歓喜の声を上げた。

   群落の境

ヒメシロチョウ  モンシロチョウ

モンキチョウ  あわれヒメシロ

  刈られたツルフジバカマ 

                                           ツルフジバカマに止まるヒメシロチョウ、よく無事で羽化してくれた。

    

  刈られた後に伸びた新芽が好きなのだろう。 刈り取り後1週間もすれば、何とか伸びてくれる新芽だが、群落も大いに助けになる。

 

ツルフジバカマは絶滅危惧種ヒメシロチョウの食草で、例年この土手はすべて除草され、初秋に咲き始めるこの花を見ることはなかった。

ツルフジバカマが分布するこの土手一帯は、ヒメシロチョウの市内で唯一の生息地だ。

草刈りの時期や方法、そしてその功罪を検討しながら、昨年から数か所を刈らずに残していただいた。

このチョウの絶滅を深刻に受け止め、特別な配慮をいただいたA河川事務所のWata氏に感謝している。

 

刈られた茶色い土手に蘇った群落にはヒメシロチョウが嬉しそうに乱舞し、産卵行動も観察できた。

  ツルフジバカマ 

繰り広げられる豊かな命の営みに胸が詰まる思いだった。

この土手に点在する群落はヒメシロチョウの命をつなぐ楽園だ。

この輝く紫色の花園が大川土手の秋の風物詩となればいいと思っている。

 

                               


セミやトンボ 小さな命に思う

2017-07-29 | 環境問題

 
今日ミンミンゼミの初鳴きを聞いた。未だ梅雨は明けないが、暑い夏を待ちきれずに鳴いたのだろう。小さな林を抱く我が家の庭では、6月末からヒグラシが鳴き始める。白々と夜があける朝方、そして日が傾く夕方には、すべてを超越するこの純粋さわやかな響きに癒されている。昨日は、絶滅が心配されているコバネアオイトトンボの撮影に森の中の水辺に行った。やがて、林床の木漏れ日のササの葉にイトトンボを見つけた。この独特な橙色の胸部は、羽化直後の未成熟のコバネアオイトトンボ、今年も会えた喜びが湧いてきた。誰にも邪魔されずひっそりといのちを長らえている小さなトンボを思った。林に中は、昼中にもかかわらずヒグラシのセミ時雨が響いていた。生物多様性の危機が言われるが、セミもトンボも例外ではない。消えつつある物言わぬ小さな虫たちにもっと目を向けていかなければと思っている。


 
《数年前のコバネアオイトトンボ》

 ♂   ♀♀ 確かに翅は短いか

      交尾  産卵

 

数日前に出会った未成熟個体

翅胸前面の橙色はアオイト、オオアオイトと異なる。今年も成長した個体と会えることを願っている。